見出し画像

【詩】誰かはわからなくても覚えてる

必死に追いかけた

必死に流れに乗ろうとした

必死にまわりに合わせようとした

何もかもが流れていく中で

残ったものは何だろう

立ち止まって

歩いて

じっくり考えてみても

何も浮かんでこなかった

必死で走っていた自分は何をしていたのだろう

何も残っていないということはないはずだ

口を開いた

言葉がこぼれた

友人からもらった言葉だった

音が聞こえる

どこからでもない自分の体の奥から

メロディが流れる

共に歌った歌だった

誰だったろう

覚えてない

覚えてない

なのに言葉ははっきり覚えてる

歌も歌える

ああ

遠くに置いてきてしまった友人

取り戻せるかな

取り戻せないかな

ふりかえって後戻りすることはできないけど

また一緒に手をつないで

歌を歌おう

ぼんやりと輪郭が浮かんだ

懐かしい友人の姿


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?