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【読書】『鏡の国のアリス』~夢の中と現実、どちらが奇妙なんでしょうね~


 『不思議の国のアリス』に続いて、『鏡の国のアリス』を読みました。本をきちんと読んだのは大人になってから。さすがは名作ですね。大人だとしても面白いと思える作品です。

 『鏡の国アリス』では、アリスがチェスの駒となり、物語全体がチェスの盤となっています。チェスのルールを知らない私では、物語の面白さの半分も理解できていないかもしれません。

 とにかく、ラストではアリスが女王となるお話です。

 『不思議の国のアリス』と同じように、アリスの、もしくは誰かの夢の世界だということになっています。夢は見ても、いずれは覚めるものですが、この物語でもアリスは自ら夢を破るような行動をとります。

 女王となったアリスが宴会を開くことになりますが、アリスが来る前にすでに客人がいます。食べ物は動くし、あれこれ文句は言われるしで、アリスの思った通りにはいきません。

 怒ったアリスはテーブルクロスを引っ張り、テーブルの上のものをひっくり返してしまいます。威張っていた赤の女王は小さくなり、様子がずいぶん変わっていきました。

 赤の女王を抱き上げたと思ったアリスは、目の前に子猫がいることに気が付きます。すっかり夢から覚めたアリスは、先ほどまでの夢のことを考え子猫に向かって話すのです。

 夢には「明晰夢」があります。これは、夢の中で自分は「夢を見ている」と自覚している状態をいいます。さらに、夢の内容を自分でコントロールできるんです。

 明晰夢とまではいきませんが、私も夢の中で夢を変えたことがあります。電車の中で殺人事件が起き、ナイフを振り回す人が隣の車両にいました。あまりにも怖かったので、「こんな夢、見たくない!」と叫んだら夢の場面が変わって安心したのを覚えています。

 アリスが旅する世界は、奇妙な生き物が出てきます。変な出来事も起こります。ですが、奇妙なことばかりではありません。理解できないような出来事の中にも、親切や優しさに出会います。

 アリスが成長すれば夢の世界ではなく、現実での様々な出来事に出会います。奇妙なものにも出会うでしょう。困惑するような出来事にも遭遇するかもしれません。

 成長したアリスは、子どものときに見た夢と大人になってから向き合う現実と、どちらがより奇妙に思えるんでしょうね。



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