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曲紹介『虹を描く』

せっかく文字数制限がないので、曲の説明的なものもしたいな、と思います。
前の記事にも挙げたので初回は『虹を描く』について。
曲紹介ってよく分からないので細かすぎる話まで色々してみました。
いや後半マジで細かすぎるな。長ぇ。

↑音がボヤけてますがフルの音源です。

虹を描く
詩/曲:大塚雄哉

鏡の中ぼんやりしている自画像は何色なんだろうとか
ただ反射している自分を眺めていた

次から次へとまたページめくって走り書きばかりしていた
未完成の世界は七色だった

定刻を告げるチャイム 突然引かれた白線
こっち側とむこう側 踏み越えるとしたら、今だ

さよならが始まるとき 虹がそっと消えていく
僕らはたったひとつの色を選んでキャンバスと向き合う
始まりが始まるとき はじめて僕を描き出すんだ
覚束ない筆先 滲んだ放物線
下手くそな自画像を照らせるように


雨上がり、見上げてももう虹は架からない
鏡から先に動いたりはしない


だからまだここで一人怖がってしまう自分に
さようなら、ありがとう 君を描くために行くよ

さよならが始まるとき 虹がそっと消えていく
僕らはたったひとつの色を選んでキャンバスと向き合う
始まりが始まるとき はじめて僕を描き出すんだ
覚束ない筆先 滲んだ放物線
下手くそな自画像を照らせるように


おおまかな話

前も書きましたが、原型のメロディ(サビだけ)は2010年ごろに出来て、ずっと温めていた曲です。いま、最大限に前向きな表現をしました。

僕は2010〜2020年頃は1,2ヶ月に1回の路上ライブでしかギターに触ってなくて、新しい曲はできない、歌える曲は減ってく、ゆっくりと下手になってる感じでした。
それが、体調・心境の変化もあり、コロナ禍頃になってからまた音楽と向き合い始めました。

その中で、2021年6月に『いないいないばあ』という曲ができました。
実に5年振りくらいの新曲で「うわー曲作れんじゃん俺。この流れ、逃すまじ」と白羽の矢を立てたのが、お蔵でホカホカに温まっていた『虹を描く』です。


作る話

詞の話

地味に変遷を経ていたのですが、この時点で出来ていたのはサビのメロディと歌詞2行分のみ。どうしたものか。

さよならが始まるとき 虹がそっと消えていく
僕らはたったひとつの色を選んでキャンバスと向き合う

この2行は「卒業」を意識して書いたものでした。

「夢を眺めているときの景色は美しい。けれど、いざ夢に踏み出すとき、きれいだった景色は消える。そこからは自分で色を選び、自分が描き始めなければいけない」

2行のフレーズを書き出した時の考えを思い出しました。よし、このまま、この物語でいこう。

ということは、Aメロは踏み出す前の情景を表さないといけない。

学生のとき、自分は"夢"なんてハッキリ持ってたっけ?いえいえ、なんにも考えてなかったYO
"夢"について考える時も、曖昧なことしかイメージせずその場その場の思いつきで済ませてましたん。
「自分を知ろうと思っても、リアルな感覚が持てなかった。ただ鏡を覗くだけで、自分を本気で知ろうとはしなかった。」

鏡の中ぼんやりしている自画像は何色なんだろうとか
ただ反射している自分を眺めていた

けど一応、好きなことには向き合った。高校は2年間、家の中でひたすらギターを弾いていた。一方で部活もしたし、恋愛とかもした(一度も叶わない)
学校行事も真面目に参加したし、3年でフォークデュオを組んでからは受験そっちのけで路上ライブもした(志望大は落ちた)。
「まるで走り書きのように、目の前のキラキラに手を伸ばした。」

次から次へとまたページめくって走り書きばかりしていた
未完成の世界は七色だった

まぁそれがキラキラしていたと語れるのは歳をとったからだけどね。当時僕は「二軍にしがみつきたい三軍キャラ」だったでござる。恋は叶わないし(リピート

Bメロはサビの展開へと繋ぐ大事な部分。

時間とともに、それまで意識しようとしなかった場面の転換が訪れる。
「まるで急に引かれた白線のように、"時間だよ"と告げるチャイムのように。」
「意識してなかった、ではなくて意識しようとしなかった。ここからどうすべきなのかは知っていた。」
「なら、進むしかないじゃないか。」

定刻を告げるチャイム 突然引かれた白線
こっち側とむこう側 踏み越えるとしたら、今だ

サビに帰ってきました。
もうここまで来れば物語は勝手に動き始めています。それに従うだけ。
「さよならが始まる、ということは、はじまりが始まっているということ。」
「まだうまく描くことはできない。それでも、あの頃見た虹のように、いつか自分自身を照らせるように。」

始まりが始まるとき はじめて僕を描き出すんだ
覚束ない筆先 滲んだ放物線
下手くそな自画像を照らせるように

なおこの曲には1サビ後に展開があります。
ここの詞は一瞬で書けたんですが、この2行にこの曲の全てを込めることができたと思っています。

雨上がり、見上げてももう虹は架からない
鏡から先に動いたりはしない

だからこそ、自分が意志を持って、描き始めなければならない。

曲の話

だいぶソングライティング的なワカリヅライ話をします。

この曲の演奏部分のポイントはBメロと展開だと思ってます。まずBメロから。

こんなコード譜を作ってます

AメロとBメロの間1小節のコードって軽く悩みませんか?(作曲目線
7thやsus4、分数コードを使ったり、ストロークで変化したり、もしくは演奏は何もせず歌で持っていったり。

この時は分数コードを選択しました。”定刻”の”テイ”に合わせてベース音をド→レに上げる(C→C/D)ことで、メロディにも跳躍感が出ると考えたからです。

この”C→C/D”が呼び水になったんですが、"ベース音による跳躍の連続"を成立できたら面白いなと思いました。
メロディに合わせてコードフォームがリズミカルに動くのは見ていても楽しいですし。
幸いその後のFM7やGは色々と"いじりやすい"コードだったこともあり、

"FM7→FM7/C→FM7/D→G/E→G/D→G/B→G/C→Ddim"

というコード進行ができました。まぁ技術的には大したことないです。
また、最後のDdimは"突然引かれた白線"に対しての困惑感を出すために。
Ddim7と迷いましたがボイシング(音色)として強いレが欲しかったのでdimを選びました。

それと、Bメロ終わりに2小節のイントロがあります。
以前から"サビ前に短いイントロを挟むやつ"をやってみたかったんですよね。Mr.Childrenの『HANABI』的なやつ。
とくにこの曲はサビ前の"今だ"で一気に落ちるので、ここからサビに向けてテンションを上げ直さないといけない。

で、こういう"せり上がり感"を出す場合、経験上ベース音による向上感が効果的です。
なのでまずベースラインを先に決めて、それに合うコード進行を納めていきました。
また、ギターという楽器の特性から、いま抑えているポジションをシンプルに高音側にずらすというのも"せり上がり感"を演出できます。Em→Csus4の部分はそうやって決めました。Fmは合わんかった。

続いて展開。

イイ詞だ。

ここはもう単純に転調したかったんですよね。
今まで"ラスサビで1音上げる"とかの単純な転調しかしたことなかったんですよ。
けどそういう盛り上げる転調じゃなくて、空気を変えたかった。なので別のアプローチをしました。
といっても、"経験上Cメジャーキーで比較的登場しやすいE♭M7を持ってきてみた"だけなんだけど。

けど転調としてのE♭M7を鳴らしたときの情景感に強く惹かれました。情景とともに、心情をさらす内面的な響きでもある。あぁここはこの響きだって一発で思えたんですよね。
なので、ここの詞は一歩引いた情景を写すとともに、強い決意を後押しする事実を描きたいと思いました。
また、「架からない」「動いたりはしない」という"否定の言い切り"を繰り返すことで、言葉の強さを出すこともできたと思います。

で、この転調からどうやって元のキーに戻るの?という疑問から音楽理論を少し調べたりしました。
ここから急に理論に強い興味が湧き、しばらく音楽理論の勉強→実践を繰り返すことになります。
それはまた別の機会に。

曲については他にも細かいこと色々やってます。

ラスサビ前のイントロはGを1小節追加してラストの盛り上がり感を出すとか、

サビ最後の"照らせるように"は、1番は分数コードによるせり上がりを演出しつつ、ラスサビはノンコードにして透明感(未来感)を出すなどの工夫をしています。

あとサビ内のメロディ繰り返し部分も、安直に同じコードは選ばず、より曲の展開や詞に合うコード/ボイシングを探すようにしています。

結果として、自分の曲のコード進行が覚えられないという弊害が出まくり之助ですが


しめくくり

やばい書きすぎた。
全部読んでくれる人いるんだろうか。
曲紹介ってこれで合ってるの?いやなんか違う。てか毎曲こんなボリューム書けんよ。

ということで、まぁ気が向くたびにオリジナル曲についての解説をしていけたらいいな。

これ、曲の良さを伝えることできてるの?

まぁいっか。では。

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