見出し画像

「君がかけた僕への呪い」-秒速5センチメートル

もうすぐ、
リバイバル上映されるということで。

ーーーーー

「秒速5センチメートル」
という作品は皮肉にも、
とある事件の
指名手配犯が観た作品として
テレビに取り上げられて
私は知ることになってしまった。


興味本位で
父親に頼み、

(当時の私はDVDのレンタルの仕方すら知らなかった)

「秒速5センチメートル」
とたまたま
同じ新海誠監督作品である
「言の葉の庭」
をレンタルし、
視聴した。


18歳の夏だった。
見終えた後大号泣したのを覚えている。


ーーーーー

アニメ映画で泣いたのは
人生で初めてだった。

親の度々の転勤、つまり、

“親の都合”=“不本意な都合”

で生きていく場所を選ばされる少年、貴樹。

その時出会った
同じように
“親の都合”に振り回される少女、明里。


2人は惹かれ合い、
幼いが故に“恋”とか“愛”にはならない感情が
歳を重ねれば
“恋愛になる”
そう、貴樹は思っていた。


そんな矢先、明里の親の転勤。
明里は貴樹と同じ中学に行けなくなってしまう。

ーーーーー

嗚呼、この理不尽さは 
このどうしようもない感情は…
このどうしようのない感情に名前を付けた作品だ、寄り添われた作品だ!!!!


ーーーーーー


私は当時、病気が理由で
全日制の高校を辞めて単位制の高校に
転入したばかりで。

全日制の高校へ最後行った時
その時とてもよくしてくれた先生からの

「また会いましょうね。」

という言葉が呪いになって付き纏っていた。

“マジナイ”になって
頑張れた時と
“ノロイ”になって
泣いた夜もあった。

主題歌の山崎まさよしの
「One more time, One more chance」
の歌詞が刺さって刺さって。

小さな賞でもいい。
小さなこと、大きなこと、なんでもいい!!!
新聞に載って、
あの人に私の名前が目に届いて

「頑張って生きているんだ」

と伝えたい。
そう思って生きていた。

そんな当時、
私のぽっかり呪いのせいで空いた何かに
“同情”させてくれた作品は
たったひとつだけ、
「秒速5センチメートル」
だった。


ーーーーーー

あの“脅迫的な感情”はいつ頃治まったのだろう。
旦那と婚約してからは思い出すことも少なくなって。
でも確かに10年近くは苦しめられて。


貴樹のようにさまよった日々も
明里のように“大好きな人との日々を血肉に変えられた”日々も
今となっては宝物で。


「秒速5センチメートル」
という作品がハッピーエンドかバッドエンドかは今もわからない。

でも、私のように

“不本意”な何かにぶち当たった人には見てもらいたい作品である。

この記事が参加している募集

#映画が好き

3,298件

既婚アラサーヲタク。色々書きます。