【経済学部編入】3年次編入試験合格体験記

前回の記事の続きです。

編入を決意した私は滑り止めの大学に進学することになります。周りのように晴れやかな気持ちで大学生となって新生活を楽しみたい気持ちも当然ありましたが、この選択をしてよかったと思えるためにこれからの2年間はすべて受験勉強に捧げるつもりでした。正直行きたい大学に行けないことよりも、尽く失敗して負け癖がついてしまうことの方が恐かったです。
ということで、うたまろ大学生編スタートです。

大学1年生

4月~7月

編入するのを決めたはいいものの、かなりの情報不足に陥っていました。とりあえず経済編入に関する記事を漁ったり、メルカリで過去問をひたすら集めていました。

ここで編入受験生に知ってほしいことがあるんですが、過去問(解答例があるとなお良い)は早いうちから集めた方が絶対にいいです。一般的な大学受験と違って編入の過去問はすぐにアクセスできるものではないので、必要なときに過去問が無いのでは大きなタイムロスになります。

そして一通り調べ上げた結果、受験する大学の候補が東北大学、埼玉大学、横浜国立大学、滋賀大学、大阪大学、神戸大学に絞られました。この六大学の共通点はTOEICが課される(=独自の英語試験を実施していない)ことです。よって、私の第一の目標は「秋までにTOEIC800点をとる」ということにしました。

しかし、この期間は初めての下宿やアルバイトに時間を取られ、まとまった勉強時間を確保できませんでした。ただ何も行動に移さないのは罪悪感があったので、公開テストだけは5月から毎月申し込んで受験することにしていました。全然対策できなかったので英語力は伸びてませんが、試験慣れするという点では意味があったと思います。そして何とか7月(3回目)の公開テスト受験で800点(L:405 R:395)をとることが出来ました。完全に大学受験時に培った英語力でゴリ押してました。真似しないでください。

8月~9月

ひとまずTOEICの目標が達成されたので、1年生の夏休みから専門科目(経済学、数学)の勉強を始めました。

私の勝因の一つは、この専門科目を始めた時期の早さと言っても過言ではありません。というのも、一般的に編入受験生は1年生のときはTOEICに集中し、2年生の4月から専門科目を始める人が多いです。実は経済学をはじめ専門科目は勉強する範囲が限られているため、半年あれば間に合うという通説があります。ですがこれって勉強計画を立ててみると結構キツキツで、精神衛生上はあまりよろしくありません。逆に、1年プランで専門科目を勉強すれば早い時期から余裕を持って他のライバルに大きなアドバンテージをつけることが出来ると言えましょう。

実際に、Twitterでこの時期に専門科目の勉強をしている同世代の方は自分以外に見かけませんでした。私は優越感を感じつつも、進捗を話し合う編入仲間が欲しかったので寂しさを覚えながら入門書を読んでいた記憶があります。
あと、TOEICをもう少し点数を上げたいと思っていたので、今度はちゃんと公式問題集と金フレを買って真面目に勉強しました。そして9月に4回目の公開テストを受験したところ、815点(L:405 R:410)という結果になりました。ちゃんと問題を解いて対策したのに15点しか上がらんものか、と悔しさが上回りましたが、「800点あれば十分」と書いているブログを多く見てきたため、妥協して815点で出願することにしました(このあと経済編入の圧倒的TOEICインフレに悩まされることになります…)。

この時期の一日当たり勉強時間は2時間です。長期の勉強計画を組むと一日の勉強時間が少なく済むのがメリットかもしれません。

10月~12月

経済学は定番の入門書を読み終えたので、今度は中級書に移りました。内容もどんどん説明に数式が増えていき、明らかに1ページを読むのに費やす時間が増えました。高校時代に少しは触れたことがあるとはいえ、大部分は初学の内容だったので、文字をすべて追って頭に落とし込む作業は本当に大変でした。個人的には編入受験生活を振り返るとこの時期が一番つらかったです。そもそもインプットする行程が苦手なだけかもしれない。

経済学の勉強に飽きたら数学Ⅲの勉強をしてました。数Ⅲは高校数学(ⅠAⅡB)の延長線上にあるので知識の拡充だけすればよく、脳のリソースをそこまで割く必要が無いので良い気分転換になってました。というかもともと数学は好きだったので、勉強している感覚は無くどちらかというと趣味みたいな感じでした。あとは阪大用に統計学もぼちぼち始めてました。

11月になると上の年度の経済編入の試験が行われ、Twitterに続々と難関大学合格者が現れました。本当に受かる人がいることを認識してかなりモチベーションが上がりました。一方で合格された方々のbioを見ると妙なことに気がつきます。「うわっ...私のTOEIC、低すぎ...?」神戸大学や名古屋大学に合格したのはTOEICで870~920点を取得している人が大半で、800点ちょっとで受かっている人は少数でした。

そうです。近年(特にここ2,3年?)の経済編入はTOEICで求められる点数が急激にインフレしていました。数年前の800点でアドバンテージをとれるという認識はもはや通用しなくなっていたのです。

815点で出願するつもりだった私は焦りはじめ、900点を目指してTOEICの勉強を再開することになりました。と言っても確実に高得点に直結する勉強法を全く知らなかったので、問題集を追加で2冊購入して模試を脳筋で解きまくってました。周りはabceedというアプリを使って柔軟に勉強している人が多かった印象があります。

この時期の一日当たり勉強時間は2時間30分です。進捗が小さくてもいいから、勉強しない日は絶対に作らないようにしてました。

1月~3月

このあたりで編入試験レベルの経済学の全容をおおよそ掴み、勉強するのが苦ではならなくなりました。(少なくとも編入試験レベルの)経済学では基礎概念や前提知識をある程度覚えれば、あとは状況を立式して正確に数値を求める能力をひたすら磨くことになります。今までよく分からないまま覚えていた理論が、自らの計算能力が向上するにつれて仕組みが明らかになっていくわけですから、そりゃ楽しいですよね。

一方で数学は数Ⅲを一通り学び終え、線形代数をはじめとする大学数学に移行しました。こちらは内容が進むにつれて抽象度が上がっていき、かなり苦しめられました。ε-δ論法とか理解しても数学科以外で役立つことある…?とか今でも思ってます。

TOEICに関しては1年生の間に満足いく点数を確保しようと考えていたので、問題集を使い込んでひたすら演習してました。金フレは30周くらいした気がします。この努力が功を奏し、2月の公開テストで855点(L:470 R:385)をとることが出来ました。目標は900点だったので3月のテストも受けたんですけど慢心していたせいでカスみたいな点数しかとれなかったので、最終的にこの855点で出願することになります。

TOEIC公開テスト2月の結果

あと、このあたりからオンライン編入学院さんのサークルコースに加入し、過去問の改題を毎週解くようにしました。サークルコースでは他の編入予備校と並ぶほどの高い合格実績を上げているにもかかわらず費用は3000円/月と圧倒的低価格だったので、貧困大学生の私にとっては非常に助かりました(ステマではないです)。何としてでも編入を成功させたかった私はこのコミュニティでトップになれば高確率で合格できるに違いないと考え、出題された問題の解答をすべて提出するなどしてサービスをフル活用しました。実際に積極的に活動していた同期のサークル生はほぼ全員難関大学に合格しています(神戸、筑波、横国など)。コスパ最強。

この時期の一日当たり勉強時間は3時間30分です。大学の後期の授業が終わったあと徐々にブーストをかけていきました。

大学2年生

4~6月

専門科目(経済学、数学、統計学)のインプットがほとんど終わったので、演習書や問題集を中心に取り組み、重要事項を正しく理解できているか、学び漏れが無いかなどを確認していきました。編入試験の範囲に限ればもはや新しく勉強することが無くなっていたので面白味が無かったのですが、ここで怠けるとこれまでの勉強が無駄になると思って感情を無にして手を動かしていました。

加えて、4月から専門書を2冊を購入して経済史の勉強を開始しました。ところがこの本が非常に難しくて、暗記するどころか文字を追って何となく理解することだけで精一杯でした。そういえば高校時代に社会が苦手すぎて何時間費やしても点数が伸びなかったことを思い出し、潔く諦めてこれらを本棚の奥にしまってア〇コウさんの某経済史用語集を覚えることにしました。もし専門書を使い続けていたら通し読みするだけでかなりの時間を費やしていたと思うので、この判断は正解だったと思います。結局試験直前までに経済史はア〇コウさんの用語集を数十周も回して、載っている用語の意味および各時代の流れを一言一句暗記しました。

編入サークルでは応用期がはじまり、8校(京都、大阪、神戸、名古屋、東北、横国、新潟)の過去問の改題が一週間に数問出題されました。名大の出題形式は特殊なので除くとして、残り7校の問題は必ず解くことにしました。問題状況を理解する→解法の方針を固める→メモ用紙で計算して答えを算出→解答用紙に清書するという行程を踏むのは試験本番でも同じなので結果的に良い予行練習となりました。

この時点でサークルで出題される問題はそこそこ解けていたので、志望理由書と面接のみで選考される滋賀大と埼玉大は志望校候補から除き、完全に試験問題の点数勝負である東北大学、横浜国立大学、大阪大学、神戸大学の4校を受験することに決めました。

この時期の一日当たり勉強時間は6時間です。勉強習慣がついたおかげでコンスタントに時間を確保できました。というか1日に勉強する科目(マクロ経済学、ミクロ経済学、微分積分、線形代数、経済史、統計学)が多すぎて、やるべきタスクをこなしていたらそのくらいの時間になった、というのが正しいです。

勉強机に並べられた参考書たち

7~10月

持っている参考書を一通り周回し終わり、過去問演習を始めました。解いた大学は東北大、横国大、京大、阪大、神戸大の5校です。過去問を解くことで自分の実力や最終目標を分析できるので、着実に実力をつけている感覚が分かって楽しかったです。1日1年分を目安に解いて、4か月で60年分×2を解きました。とにかく合格可能性を上げたいならこれくらい解くといいと思いますが、現実的には受験校6年分+αくらいでも十分な気がします笑。間違った問題の理解と解き直しを含めると途方もない時間がかかりますからね。

せっかくなので以下に各大学の問題(経済学)の所感を述べていきます。

京大→経済学の本質を問う良問が多い。論述中心の年は(内容自体は)そこまで難しくないものの、正確な理解が求められる。計算中心の年は武隈ミクロレベルの問題が出題される。
阪大→計算量が多く難易度は高めだが、確実に取れる問題を取捨選択すれば7割以上は得点できる。たまに二神マクロ、奥野ミクロレベルの難問が出題される。
東北大→以前は芦谷ミクロと中谷マクロさえ読んでいれば満点がとれる内容だったが、R4年度から難易度が急上昇した。計算問題多め。
神戸大→基礎的な問題しか出題されないので、どれだけ取りこぼさないかが鍵となる。語句説明問題はマイナーな用語が出題されがち。計算問題多め。
横国→難易度高すぎ。一橋大学院経済学研究科の入試問題より余裕でムズい。H30年度以前は標準的な難易度なので問題演習におすすめ。

この時期の一日当たり勉強時間は6時間です。試験直前には1日10時間以上勉強する受験生もちらほら出てきましたが、自分は1年前から勉強しているのだから大丈夫、と言い聞かせてペースを乱さないようにしていました。

4月から10月の勉強時間

試験本番

神戸大学経済学部

初の受験校が神戸大学だったので、めちゃくちゃ緊張しました。そのせいで経済学で計算ミスにより20点失い、合格発表まで地獄のような心持ちでした。まあ見直しを1度もしなかったので自業自得でしょう。出題内容は傾向通りの典型的な計算問題だったので、過去問研究した甲斐はありました。
手ごたえは経済学7割、数学8割です。

大阪大学経済学部

神戸大受験を経て本番に耐性がつき、そこまで緊張しませんでした。おかげで計算ミスは1つもなく、自分の実力を完全に出すことが出来たと思います。内容はやや易化していたので、40分くらい余りました。
手ごたえはマクロ10割、ミクロ9割、経済史8割、統計10割です。

東北大学経済学部

東北大は最初から倍率の面で受かる気がしなかったので、チャレンジ校として気軽に受験しました。R5年度は数学は例年通りの難易度でしたが、経済学は大幅に難化していました。ただ経済学の難しめな計算問題は院試用のテキストで対策していたので、全微分とかでゴリ押してどうにか乗り切りました。
手ごたえは経済学8割、数学8割です。

横浜国立大学経済学部

出来るわけがありませんでした。まともに解けた問題は1問もありません。試験が始まって10分経っても周囲で鉛筆を走らせる音が全く聞こえなかったのが印象的でした。R5年度に合格した人は化け物です。すごすぎる。
手ごたえは経済学1割です。まじで。

合格発表

最初に合否を確認したのは神戸大学でした。正直計算ミスのせいで落ちてる気しかしなかったのですが、おそるおそる確認すると何とか合格していました。倍率が約3.5倍と比較的受験者が少ない年だったので、それに救われた部分も確実にあるでしょうね。受かった嬉しさよりも、努力が報われたことの安堵の方が圧倒的に大きかったです。受験費を捻出してくれた家族にまっさきに連絡しました。みんな心から喜んでくれて、今まで編入のために頑張ってよかったと初めて思えた瞬間でした。

次は東北大学です。手ごたえは悪くなかったけど受かってるわけないだろうな~と思いつつHPを開いてみると、合格してました。まじかの一言です。それはもう画面の前で固まってました。一応編入を目指した動機は「受験にリベンジして東北大学経済学部に合格する」ことだったので、その目標は幸いにも果たすことができました。ちなみに私の受験番号の前後は15人落ちてました。おそろしい。
(追記:首席でした)

その次は横浜国立大学でした。何がどう転んでも受かってる気がしませんでしたし、案の定不合格 …。合格された方おめでとうございます!!

最後の発表は大阪大学でした。筆記試験はよくできたものの、面接で志望理由を深堀りされた際に数秒間沈黙した挙句支離滅裂な返答をしてしまったことで、自信はあまりありませんでした。しかし、結果は合格でした。合否はほぼ一次試験(筆記)で決まるという噂は本当なのかもしれません。まさか自分が京都大学に次ぐ名門大学に合格できるとは夢にも思いませんでしたし、しばらく実感も湧きませんでした。笑


編入試験を終えて

ということで、神戸大学、東北大学、大阪大学に合格し、十分すぎる実績を残して編入受験生活を終えました。当初の受験にリベンジするという目標も達成できたのでもう思い残すことはありません。ちなみに各大学の研究・就職実績などを総合的に考慮した結果、大阪大学に進学することに決めました。

ここまで読んできた方なら分かっていただけると思うんですが、編入はあまりコスパの良い選択肢ではありません。私は編入試験のために約2000時間勉強しましたが、経済学的に考えるとその時間を時給1000円のバイトに費やしたと考えたときの機会費用は200万円にもなります。なにもバイトではなくても、サークル活動にいそしんだり、恋愛に没頭したりできたはずです(ほんまか?)。それを犠牲にしてでも編入したい、難関大学に合格したいという強い思いがあったので2年間を勉強に捧げました。

私が考えるに、大学編入のために最も必要なものは覚悟です。地頭とか記憶力はそこまで関係ないです。やれば誰でも出来るようになります。問題はその状態に行きつくために、なりふり構わず継続して勉強する固い意志があるか、ということです。

いま、大学編入したいと考えている人が100人いるとしましょう。その中で50人は今いる環境に満足して編入を辞めます。25人は途中で勉強に飽きるか挫折して出願せずに編入を諦めます。20人は実際に受験しても実力不足により不合格となってしまいます。残りの5人は受験して見事合格します。

データをとったわけではなくあくまで体感ですが、これが実体験に基づいた割合です。編入志望のあなたはこの5人になれる自信はありますか?

おわりに

ここまで読んでいただきありがとうございました。
今後もnoteでは編入関連の投稿をしようと思っています。いいね、フォローなどしていただけると励みになります!

うたまろ

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