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香港の女の子との文通を思い出す。

高校1年生の頃、香港の女の子と文通をしていました。ちょうど香港が中国に返還される直前。20年も前のことです。確か同い年だったように思います。いま考えてみれば、私の下手くそな英語に、よく飽きずに付き合ってくれたなぁと思うのです。

隣国ということもあり、郵便もすぐ届くのですね。1週間に1度くらいのペースでやり取りしていました。よく覚えているのが、お互いの国の文化、芸能の話をしたことです。

当時、日本ではファイナルファンタジーが流行っていて、私は、フェイ・ウォンの「Eyes on me」をピアノで弾いて遊んでいたんです。そのことを文通に書くと、「どうしてフェイ・ウォンを知ってるの!?」と驚いてくれました。なんだか嬉しかったですね。そして彼女からは、「香港では酒井法子が有名だ」と返事がきたものですから、私もびっくりしたものです。

プリクラを貼って送ると、向こうも貼って送り返してくれました。香港のプリクラは、日本とサイズもデザインも変わりませんでした。便箋や封筒のイラストの文字に、ハングル語が使われていたのは興味深かったです。緑色の軍服を着た軍人のイラストでした。

一番おかしくて悲しかったのが、お香事件です。その頃の私はお香が好きで、雑貨屋で安いお香を買っては、部屋で焚いていたのです。そのことを手紙に書いたら、彼女が香港のお香を送ってくれたのです。

I am glad that you like Chinese incense because I have got quite a lot!(私はたくさんのお香を持っているので、あなたが中国のお香を好きだと知って嬉しいわ!)

香港ではよくお香を焚くのだそうです。手紙の中で、彼女の祖母のことを挙げ、

They believe in Buddhism!(仏教徒なのよ!)

と言っていましたが、日本のお線香よりも、香りが強いものではないかと思います。

さて、お香が入っている手紙を開封してみました。すると―――

スティックタイプのお香を、直接封筒に入れて送ってくれたものだから、輸送途中ですべてバッキバキに折れて2、3cmくらいに細かくなってしまっていたのです。。

せめて!!せめて箱に入れるか、台紙を付けて送ってくれ!!!

まだ高校生とはいえ、スティックのお香をそのまま航空便で送るって、今考えるとアグレッシブ。

それから、お互いに勉強が忙しくなり、文通の頻度がだんだん減り、そしてなんとなく送らなくなってしまいました。

今は香港も状況が変わってしまって、連日のように、市民による抗議デモのニュースが流れます。あの子は元気だろうか?子どもはいるんだろうか?ときどき気になるんです。怪我をしていないといいなぁと思っています。海を隔ててはいるけれど、ずっと無事を祈ってるよ。

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