望月
望月(ぼうげつ)とは「月を望み見ること」でもあり、一方で「満月」という意味もあります。
静岡県だけで特に多い名字として「望月」「杉山」「佐野」があります。
個人的な話では、小説咲夜姫を編纂してくれた人も佐野さんで、富士宮にある書店の人も佐野さんで、また別の書店の人も佐野さんでした。
また静岡へ移住した当初に勤めた会社では、部署ごとに望月さんと杉山さんがいました。何となくこれらの名字の方は、たぶん地元の出身なのだと思うようになります。
静岡では、月を見上げると同時に富士山を見上げることにもなり、望月という名字の由来もきっとそうではないかと思っています。小説の中ではたびたび富士山や空の情景描写などがあり、望月という言葉も是非使おうと考えていました。それが冒頭の文です。
この作品は竹取物語を主軸としていますが、原案とした"富士の竹取物語"では帰る先は月ではなく富士山なので、月の位置付けは妙なところになります。上の文は第一章の最後で、幼少期の咲代さんは月を見上げるもすぐに視線を落とします。興味がないというか、まだ帰りたくもない様子です。