はじめに
前回から恋愛シミュレーションゲーム制作に着手し、テスト用に1キャラクターを選んで、好感度に応じた対応が適切に行われるかをテストしていきました。エンディングの挙動やイベントの進行等も試しましたが、これらは「王立魔法大学へようこそ!」のエンディングにも利用しているため、ネタバレを避けて掲載しません。
GPTは決められたイベント進行が苦手
色々と試してみて分かったのは、GPTはこちらの決められた通りになかなか進行してくれないということでした。今となっては、その挙動はテキスト系生成系AIの特徴という理解をしているのですが、当時は、AIやプログラムは、定義した指示を正確に守るとイメージがあったので、意外でした。GPTは、タイムリーな入力に対して、的確に打ち返すのは得意ですが、前にこうしてと言われたことを想い出して実行することは苦手です。結果、よく忘れて謝ってました。こちらで体験して欲しい演出を安定して実行して欲しいが、GPTがちゃんとやってくれないというのは、GPTでゲームを創っている方々は同じ悩みを抱えていると思います。もちろんそこにプロンプト上の工夫やノウハウを盛り込む余地があるのですが。
一例で、最終的に採用しなかったので、バッドエンディングのテストの様子を見せます。好感度が極限まで下がって絶交状態になった際に、エンディングを迎えることにしようと思い指示したものです。そのように遊ぶ人もいるでしょうが、まれだと思うので、GPTに余分な記憶やルールにリソースを割かないためにバサッとカットしました。
特に画像の出力の指示は忘れやすい印象です。前回紹介した恋愛シミュレーションゲームの記事でも、画像の出力忘れやすいので複数回記載した旨がかかれていました。
感情モデルの探求
ここからは実はこのGPTでの創作旅で一番伝えたかったことなので、先走って第三章のおまけで一部書いてしまいましたが、より詳細に書きます。プレイヤーとキャラクターだけの縦の関係をテストしていた際にはあまり感じなかったのですが、複数人でのキャラクターの挙動に対する違和感がきっかけとなりました。
恋愛感情マックスの状態の2人と3人でデートする状況を設定してロールプレイのテストです。
ここで、2人に私の事をどう思っているかを聴きました。
それぞれが、私の事を大好きな状況なのですが、お互いにライバルとも思っていないし、気にしていないのです。
ライバル心や嫉妬心や独占欲を持たずに、むしろ相手も私の大好きな人を大好きでいてくれて嬉しい!と思っちゃってます。
苦労なくハーレムを築けてます(笑)でも、この挙動は私のゲームでは好ましくないと感じました。もっとリアルな愛憎劇が欲しいし、その方がエモいです。喜怒哀楽や切なさ、といった恋愛の醍醐味を味わえるようなものにしたかったです。
これまでも語ってきましたが、人類にとって都合の良い下僕として作られたGPTは善良過ぎるのです。人間的な挙動をするためには、悪徳と言われるような人間の感情を教え込まないといけないということが分かってきました。2人に嫉妬心や独占欲を加えて同じことをしてみます。
2人の心の声を聴いてみます。
葛藤してくれてるのは、エモいですが、人間にはもっと負の感情があるので、このような反応はしません。この辺から、何やら心理実験の様相を呈してきました。現実ではこんなこと出来ないので、とても楽しい研究です。
GPTの善良さがどうしても滲み出ます。そこで、憎しみという感情を与えてみます。
ライバルを憎むようになりました。が、おかしいですよね?現実では、二股かけた上にデリカシーのかけらもない私に、まず怒りや憎しみが湧くはずです。好感度マックスの状態ではなく、もう少し好感度を下げて、実験してみたいと思い、親密さから一歩踏み込んで恋愛感情が芽生え始めている頃の状態として、同じ質問をしてみました。その結果は、第三章のおまけに記載したので興味があればご覧ください。
このように当初、善人過ぎて違和感のあるロールプレイから、調整を経て、2人は私に対して怒り、より人間的なロールプレイをするようになりました。続けてさらに無礼に振舞ってみます。
望ましい挙動です。特に、美咲とアリスがお互いに視線を交わすといった描写は、素晴らしいロールプレイです。正直、テストとしても2人に嫌われるのは心苦しいのですが(笑)、好感度を下げるテストをそのまま行っていきます。
勝手にGPTにフォローされて謝っているのですが、もうちょっと怒らせてみます。
目論みの通り、好感度が最低レベルにまで一気に落ちました(笑)実際のゲームで、プレイヤーが好感度をあえて下げるようなことはしないかもしれませんが、なるべくゲーム内でのプレイヤーの自由度は高くして、それでもリアリティのあるロールプレイをして欲しいので、こだわって実験し続けます。
おわりに
今回はここまで。次回はこの続きで、最低限まで落ちたアリスの好感度を一気に戻します。だいぶ裏技なやり方だったので、そういった事が出来ないようなルールを追加することになるのですが、果たして私がとった挽回行動とは?面白いやり取りだったので、割愛せずに記事にします。乞うご期待。
おまけ GPTを使った創作活動そのものがエンターテイメント
小説読んだり、映画見たり、漫画読んだり、アニメ見たりより、この時期はどっぷりハマったエンタメがGPTとのやり取りでした。すぐに制限MAXにかかり、回復するまで別のエンタメで時間つぶしたりといった状態でした。本当に楽しかったです。なんでこんなに楽しいか考えてみたんですが、自分の指示や実験に対して、すぐに反応があって、そこから改善して試して、発展させていけるからなんだろうと思います。ビジネスでGPT使って、効率化しましょうとか、仕事で提供できる価値上げましょうというのは、大事なことですが、純粋にエンタメとしてGPTとコミュニケーション取ることを楽しむことが出来ます。本当に楽しいので、時間の無駄とか思わずに是非一度試してみて欲しいと思ってます。