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兎がほざく

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ショート•エッセイ、140字以内。毎日投稿、どこまで続く?
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2022年7月の記事一覧

兎がほざく🐇493

兎がほざく🐇493

勤め先のビルのロビーのBGMはクラシックのピアノ曲です。

派手な演奏の多い中、サティのジュトゥヴ・ヴァルスの気取らない演奏が耳を引きました。

演奏者はわかりませんがなかなかです。

SNSの投稿も同じように作者は知られなくても、なかなか、と目を引くといいな思いました。

兎がほざく🐇492

兎がほざく🐇492

東京ドームシティを通ったとき、そこのイメージガールになりそうな女性とすれ違いました。

黒髪ガッツリ刈り上げで化粧は目元とリップ濃い目。

ボトムスはパンツでざっくりしたブルゾン。

アイスコーヒーを啜りながら敏捷なステップ。

渋谷にいない、カッコいいタイプ。

兎がほざく🐇491

兎がほざく🐇491

その日その日にやるべきことに忙殺されるのはかえって心の救いになります。

自分の向き合うべき問題をしばし忘れられるからです。

職業上の笑顔さえ作れます。

人間は忙しさに逃げたいのだとさえ思いたくなります。

そして手を動かしながら新たな展開を待っているのです。

兎がほざく🐇490

兎がほざく🐇490

ぼくはお酒が飲めないのでわかるのですが会社で仲間内に入るには毎日のように役職員同士の飲食に付き合う必要があります。

女性の昇進のガラスの天井の正体はそういうオールドボーイズクラブです。

飲食で繋がる男性クラブ。

自腹での飲食が原則の会社だと天井は薄いみたいです。

兎がほざく🐇489

兎がほざく🐇489

所用の途中東京ドームシティを通りました。

遊園地を独りで歩くのは寂しいものです。

トロッコを漕ぐアトラクションはいいなと思いましたが遠慮しました。

ティーンや子連れやスポーツ観戦者の屈託ない表情を眺めて自分もその仲間だと想像しながらコンビニの珈琲を飲みました。

兎がほざく🐇488

兎がほざく🐇488

優れた精神分析家はクライアントの聞き役に徹すると聞きました。

本人が語ってゆくうちにおのずと変化していくのを見守るのです。

普段目に見えないかみさまが洋服を着て聞いてくれるような感じ。

独りぼっちでなかったと思えればそれだけで重荷が半分ぐらいになるのでしょう。

兎がほざく🐇487

兎がほざく🐇487

放送には一日中言葉が溢れています。

図書館には何万冊の本に言葉が溢れています。

その中で人の心に留まる言葉はほんの少しです。

それにメッセージがうまく通じているとは限らないでしょう。

言葉が多くの人の耳目に触れやすいかどうかと言葉の力とは全く別だと思います。

兎がほざく🐇486

兎がほざく🐇486

ぼくはSNSの投稿や電子メール送信の時、いってらっしゃい、と心でつぶやきます。

無事に届いてメッセージが伝わりますように。

たとえ意が十分通じなくても相手が怒ったりしませんように。

言葉のクラウドに送り出す感じ。

さあ、兎がほざく、今夜もいってらっしゃい!

兎がほざく🐇485

兎がほざく🐇485

過去が夢のようなものならば、今だってそのうち夢のようになるのでしょう。

夢のようといっても今には決まりがあって、たとえば肘は外には曲がりません。

今とは本当は矛盾したことしか言えない場所でしょう。

過去では矛盾は既成事実としてもう決着しています。

兎がほざく🐇484

兎がほざく🐇484

愛とは振り返りをお願いして求めるものならば祈りに近いといえます。

赤ちゃんが最初に口にする言葉はお願いして求めるものです。

言葉とは祈りであり愛である、と繋げてみたくなりました。

詩歌の言葉は少なくともそういえます。

振り返って!と思うのが愛ですよね。

兎がほざく🐇483

兎がほざく🐇483

不思議なのですが一生のうちにどうしても片付けておきたいあることに急に手を付けています。

気を長く持ったほうがよいと知っていても焦りを感じます。

成否よりもとにかく手は着けたという自分の気分のためのようです。

でもいつかは手を着けるべきことだったのです。

兎がほざく🐇482

兎がほざく🐇482

両国の国技館までよく散歩します。

場所があると櫓太鼓が打たれ賑わいがあります。

敷地に入れる時は2社の稲荷を参拝します。

帰りは横綱横丁を抜けて芥川龍之介の旧跡の看板の脇を通ります。

その筋向かいは旧国技館跡。

芥川は相撲に縁があったのです。

兎がほざく🐇481

兎がほざく🐇481

もしもぼくが殺されてしまうならば、体の痛みの奥で他者に存在を感じてもらえなかった悲しみを感じるでしょう。

それはこの世の捨て子だと確定された悲しみでしょう。

捨て子かなと思いながら耐えてなんとか生きていたのに。

それともやっと諦めがついて安堵するでしょうか?

兎がほざく🐇480

兎がほざく🐇480

ラジオのDJはパーソナリティと投稿者と聞き手とが出逢っている感覚がほかのメディアより強いと思います。

SNSと違って言葉が人の声に乗るからでしょう。

流し読みということはないので読み上げる時間の流れを聞き手も共有します。

テレビよりも言葉の肉体感覚を感じます。