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短歌集

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和語だけで旧仮名遣いの和歌と、和語以外も入り現代仮名遣いの短歌との両方を収録しています。
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2022年2月の記事一覧

春だもの 【短歌】

春だもの 【短歌】

誘われてどこか行きたい春だもの
緋寒桜の色の外套

大人びて 【短歌】

大人びて 【短歌】

この春卒業を迎える人も多いでしょう。

マフラーを直す仕草も大人びて
河津桜の咲き初むる朝

ぶつかりぶれず 【短歌】

ぶつかりぶれず 【短歌】

なんだか感心していました。

掃除するルンバのごとくひるまずに
ぶつかりぶれず押し通す意志

くるぶし浅い 【短歌】

くるぶし浅い 【短歌】

週末の夕方の職場の情景です。

事務員は女に戻り履き替える
くるぶし浅いエナメルの靴

二の腕細き 【短歌】

二の腕細き 【短歌】

たまに触れてみたくなるような彫刻に出合います。

あかがねの笑みを崩さぬ彫像の
ニの腕細き肌の冷たさ

半ばまで開く 【短歌】

半ばまで開く 【短歌】

早春の宵闇、梅が開けば一刻千金です。

半ばまで開くくちびる梅が香に
雪解の雫濡るる黒髪

雪の破片 【短歌】

雪の破片 【短歌】

くすぶれる野性をくるむ外套に
雪の破片よ刺され斜めに

願ひは祈りはいづこ 二首 【短歌】

願ひは祈りはいづこ 二首 【短歌】

見る人の文の伝統蔦のごと
絡む鉛筆これでよいのか

ブロンズに凝固し終える胸像よ
熱き願ひは祈りはいづこ

青雲のうなじ 【短歌】

青雲のうなじ 【短歌】

印象に鮮やかです。

日の下にきらきら清ら青雲のうなじとなりて尼僧生まるる