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短歌集

202
和語だけで旧仮名遣いの和歌と、和語以外も入り現代仮名遣いの短歌との両方を収録しています。
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2021年12月の記事一覧

芋味見する 【短歌】

芋味見する 【短歌】

おせち料理の準備で忙しいなか、煮上がるまでしばしnoteを眺める方もおられるでしょうか?

去るものは追へず来るもの拒めずに年を越すとて芋味見する

アッサムティー 【短歌】

アッサムティー 【短歌】

ゆく年はゆくにまかせて湯を注ぐアッサムティーの色のたそがれ

髪の冷えぬ間に 【短歌】

髪の冷えぬ間に 【短歌】

この腕にうづめよ髪の冷えぬ間に
山茶花紅く地に散らぬ間に

誰か罪なき 【短歌】

誰か罪なき 【短歌】

身体から言葉の焔衝き出でて
湧き立つ愛よ誰か罪なき

鋼鉄の唇に 【短歌】

鋼鉄の唇に 【短歌】

ぼくの街の今朝の空は青いです。

空凍ててその鋼鉄の唇に触るるマッチの焔を持たず

宵の口から 【短歌】

宵の口から 【短歌】

牝狐のなんとはなしに十三夜
宵の口から落ち着かなくて

シボレーのボンネット 【短歌】

シボレーのボンネット 【短歌】

シボレーの自分で開けたことのない
ボンネットから溢れ出すもの

煙むらさき 【短歌】

煙むらさき 【短歌】

十三《じゅうそう》のモスリン橋や姐さんの
化粧を崩す夕陽の情け

パラダイス昭和俗悪三業地
写真の撮らぬ煙むらさき

月の肌色 【短歌】

月の肌色 【短歌】

思ひ出すひと夜の君の黒髪の
揺るる匂ひを浜の潮風

黒繻子に鋏の先で穴開けて
空になまめく月の肌色

身の上は何も言ふまじ極北の
星の凍りて輝く如く