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うたふ兎🐇宇治 君秋
2021年1月11日 13:59
だらだらと隅田川の方に下る坂の途中に、その和菓子店はある。 早春の昼前、眼鏡にリュックの男が店に入ると、七十代と思しき白衣の店主が声をかける。「いらっしゃい」「金龍を一つ、大きい方で」「包み方は普通で?」「はい」 店主が菓子を包む後ろ姿に、男が話しかける。「正月明けにこちらに来て、俳句ができました。」「ほう、それはそれは」 男は俳句を朗詠するかのようにゆっくり口ずさむ。「松明