レジ袋有料化に物申す
わたしは今とても怒っている。
毎日、買い物に出るたびに怒っている。
レジ袋の有料化に怒っている。
前々からうすうす感づいていた、世の中にレジ袋を有料にしてやろうという動きがあることは感づいていた。
制度やら方針やらは調べていないが、体感としてこの4月から本格的にレジ袋が有料化した。コロナと時を同じくしてレジ袋有料化第一波が到来した。
そしてまた、身近ないくつかの店舗の張り紙を見るに、レジ袋有料化第二波は7月にも到来するようだ。これは恐らくコロナより早い。恐ろしいスピードである。
ここで、そもそもなぜレジ袋有料化が猛威を振るっているのかと考える。
聞きかじった半端な知識だが、所謂プラスチックごみ問題に端を発していると認識している。人が無責任に投棄したプラスチックごみが海を汚し、生態系を狂わせているという由々しき事態だ。
打ちあげられた子クジラの胃から、ウミガメの胃から、大量のプラスチックが発見される。消化されないプラスチックで胃がぱんぱんになり、肝心のえさが食べられず命を落としてしまうのだ。ビニール袋にいたってはクラゲと間違えて飲み込んでしまうそうだ。考えただけでおぞましく、悲しく、心が痛む。
自然を、生態系を守るために、投棄されるプラスチックの量を少しでも減らそうと社会全体がプラスチック使用の削減に取り組み、我々の身近な部分で削減対象となったのがレジ袋(とストロー)だったのである。
・・・投棄される前提なのがもうつらい。
本来であれば取り締まられるべきは不法投棄であって、適切に処理されているプラごみにまで目くじらを立てなくても…と思うのだが、まあでも60億人いる人類各人の行動抑制よりは大元を断ってしまうほうが手っ取り早いという考えはわかるのでここは飲み込む。
しかしながら、上記内容を理解していてもなお、わたしは怒っている。以下に、怒りの矛先を列挙していこうとおもう。
おいパン屋!
4月からこぞってレジ袋有料化に舵を切った業態の中に、パン屋がある。
駅構内やショッピングモールなどにテナントを構えるようなチェーンのパン屋は軒並みレジ袋を有料化した。
正気か?とおもう。
パン屋で扱っているのは、パンである。
やきたてふわふわのパン、マヨネーズやチーズがたっぷりかかった総菜パン、りんごやマンゴーが乗ったさくさくデニッシュパン。
それらを、マイバッグという名のズタ袋にいっしょくたに入れたらどうなるか。
つぶれる。
もれなくつぶれ、ぺちゃっとなる。
場合によってはべちゃっとなる。
…プライドを持ってほしい。己らの商品にプライドと愛を。
そしてまた、パン屋のパンはほとんどがそのまま口にするものだ。スーパーの主力商品であるパッキングされたチルド食品や、自宅で洗うなり煮るなり焼くなりする生鮮食品とはわけがちがう。
なんなら、スーパーはいちごのようなデリケートな商品には無料で専用袋をくれる。お弁当のような傾いてはいけない商品にもくれる。焼き芋のような温かい商品にもくれる。
そんな中、デリケートが売りといっても過言ではないパンを、うっすいポリ袋で隙間だらけにふわっと包み、使いまわしのズタ袋にえいやと投げ込むことは果たして衛生的なのか。
コロナ禍の海外では衛生面に配慮してエコバッグの使用が禁止されたという報道を目にしただけに、わたしはパンを直でズタ袋に入れることに不安を感じてしまう。
となると、結局有料のレジ袋を購入せざるを得ない。
これは確信犯ではないのか。
パン屋にレジ袋が必須であることは承知の上で有料化に踏み切ったのであれば、これはそもそもの「プラスチックごみを減らそう」の趣旨に沿わない。完全にただの経費削減である。
おい紙袋の選択肢!
これもなかなかに怒れる。憤怒できる。
レジ袋を有料化した店の中には、やたらと袋の選択肢を設けている店がある。
スーパーや薬局なんかはせいぜいがビニール袋のサイズくらいなのだが、雑貨屋や服屋には紙袋の選択肢が用意されている。
そして大体がビニール袋2~5円、紙袋20~50円という値段設定がされている。
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そぐわない。全然そぐわない。
大前提はプラスチックの削減である。
紙はこの際全然関係ない。なんなら今まで再生紙ですエコですと胸を張っていたじゃあないか。
むしろ、紙袋の選択肢があるのなら、当社はレジ袋を紙袋に統一します!以上!でいい、それが自然を愛し、自然を守るための企業努力。惚れる。
なのにも関わらず、便乗して紙袋まで有料にし、挙句の果てにはビニール袋と比較するとべらぼうに高い価格設定をした結果、消費者にビニール袋を選ばせるという元も子もない方針を打ち出している。ビニール袋の消費、増えるんじゃないか。K●LD●は紙袋のイメージだったぞ。
これも結局は経費削減、本来企業が払っていた袋代を消費者にまんまと転嫁している。
企業にとって紙袋のショッパーは特に消費者が持ち歩くことによる広告効果の意味合いが大きい。いままでは広告費も兼ねていた紙袋代を消費者に転嫁するということは、消費者に金を出させ自社の宣伝させている、ということになる。
おいコンビニ!
これは第二波の話になるのだが、コンビニもレジ袋が有料化するらしい。ぜひ、マイバッグをご持参ください!とのことだった。
コ ン ビ ニ の 存 在 価 値
いかないだろう、わざわざマイバッグ持ってコンビニにはいかないだろう、だったらスーパーにいくだろう。
会社の休憩時間、外回りの合間、待合せまでの暇つぶし……コンビニは計画的に行く場所ではない。必然的に有料レジ袋に手を出すことになるだろう。
ここで問題なのはそれだけではない。
コンビニのレジ袋はそのまま購入したもののゴミ袋になることが多いと思う。
パックジュースと菓子パンとおにぎりを買って、公園のベンチで食べて、食べ終わったらレジ袋にまとめて入れて手近なゴミ箱に捨てる、ごみ箱が見当たらなければそのままカバンの中に忍ばせ帰宅後に捨てる。
上記行動をルーティーンで取っているひとは多いのではないか。
しかし、たかが2円されど2円でレジ袋を購入しない客も出てくるはずで、そういった客がゴミ箱を見つけられないとどうなるか。
最悪、ポイ捨ての選択肢も出てくるのではないだろうか。むしろ、ごみが増える。もはや本末転倒。
…怒りに任せて長々と書いてしまった。2655文字。
レジ袋有料化すべてが悪いというわけではない、できることから一歩ずつ、の信念は必要だと思うし、かくいうわたしも張り切ってモンベルで2600円もするエコバッグを購入するくらいにはウミガメを守ろうと意気込んでいる。
けれど、削減してよい店とそうでない店は絶対にあるはずで、便乗して自社の利益を出そうとしている魂胆が見え隠れすると途端にフンヌっとしてしまう。
こまった。
本来わたしが書きたいと思っている、ほんわかとあたたかくて、くすっと笑える文章とは遠くかけはなれたものになってしまった。
こんなの書いたのはじめて。
全部、レジ袋有料化のせいだ。
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