見出し画像

【Twitter連携企画】クイズ★進振りケース(CASE05)

 オンライン授業が始まって早1ヶ月。新しい生活様式での「大学生活」に慣れてきた人も多いのではないだろうか。しかし一方で、定期試験や成績評価、そして特に、進学選択、いわゆる「進振り」には不安を抱えているだろう。コロナ禍の影響を完全に取り除くことはできないが、我々にできるのは進学条件を今一度確認し、問題なく志望学部・学科に進む準備をすることだ。
 UT-BASE公式Twitter( https://twitter.com/UtBase )で行われている、進振りのあれこれを具体的な例を用いて理解する「クイズ 進振りケース」。第5回は前回に引き続き、基本平均点ついての問題だ。解説もあるので、ぜひ参考にしてみてほしい。なお、断りの無い限り、既習外国語(英語)と初修外国語を選択した非TLP生を想定しているので、これに該当しない人は適宜、『履修の手引き』を見て確認してほしい。

CASE05 【不足単位の扱い】

【問題】
理科X類の鍔江(つばえ)君は2S終了時、総合科目を、画像に示す科目しか履修してこなかった。理科一類の基本平均点の計算方法を見て、鍔江君の総合科目だけの基本平均点を算出しよう。(総合科目以外の科目は考えなくてよい。)

スライド21

【選択肢】
① 76.4点
② 60.0点
③ 57.1点
④ 40.0点

Twitterでの出題はコチラ

知識の確認

 今回は基本平均点のやや特殊な話として、「重率1の枠」に満たない場合の話である。『履修の手引き』55ページの表を見てほしい。ここでいう「重率1の枠」とは、基本平均点計算で重率を1として計算する単位数のことを指すオリジナルの用語だ。「重率1の枠」は、例えば「初修外国語」でいえば、重率が1として計算される6単位、理系の「総合科目」であれば、重率が1として計算される、系別の単位取得条件を含めた成績上位15単位のことである。(この点については前回(CASE04)の解説記事で詳しく解説しています。なんのこっちゃ分からんという人はコチラよりCASE04の解説記事を読むことをおすすめします。)
 では、前提が確認できたところで、取得した(≠履修した)単位数が「重率1の枠」に満たない場合、どのような処理が行われるのかを見てみよう。先に結論だけ述べると、是が非でも「重率1の枠」を満杯に埋める処理がなされる

■取得単位数が不足しているときのルール ~不可・欠席の場合~
 科目を履修したものの、試験がふるわず不可になったり、「撤退」して評価が欠席になったりすることは誰にでも起こりうることである。そこでもし、不可・欠席になったことにより取得単位数が同表の「重率1の枠」に満たない場合、どのような成績処理がなされるのか、一般的なルールを紹介しよう。

1. <前提>落単した単位でも「重率1の枠」に算入される
2. もし、「重率1の枠」が単位を取得できた科目で満たされない場合
→不可になった科目(単位)のその点数が、重率1でそのまま算入される。
 欠席になった科目(単位)は0点が重率1で算入される。
<参考>
『履修の手引き』56ページの②

 例えば、初修外国語で「〇語二列」が30点で不可のまま進振りを行った場合を考えてみよう。基礎科目の初修外国語の「重率1の枠」は『履修の手引き』55ページと9ページによると6単位である。画像の例では、この6単位に「〇語一列①」と「〇語一列②」が算入されることは疑いのないことであるが、それでは6単位中2単位が不足している。そこで、30点(不可)の「〇語二列」が余った重率1の枠に算入される。このようにすることで、重率が1である6単位の枠を埋めることになる。

スライド22

なお、「重率1の枠」が埋まっている状態で、それでもまだ履修した単位がある場合は、一部例外を除いて重率0.1で算入される(「追い出し」)。

☕Coffee Break~撤退~
 「撤退」というワードをご存じだろうか?確実に単位が取れなさそう(=落単しそう)な科目の授業に出ず、期末試験を未受験/最終レポートを未提出で終えることである。「撤退」を行う理由はたくさんあるが、単に授業についていけなくなり再起不能になった場合、キャパ的に限界になってしまった場合、再履修して高得点を狙いたい場合などが挙げられる。特に3点目は”戦略的撤退”とも呼ばれ、進振り点を高める手法でもあるが、再履修(や追い出し)に失敗したときのダメージは大きい。
 上記で説明した通り、「撤退」を行うと成績は「欠席」(0点)となり、再履修をしない限りは進振りに影響してくる。(再履修についてはCASE06を参照。)「撤退」は免罪符ではない。将来の負債である。このことをしっかり認識しよう。

■取得単位数が不足しているときのルール ~未履修の場合~
 次に、そもそも履修した単位数が「重率1の枠」に満たない場合を考えよう。俗にいう「0点算入」の話である。

1. <前提>重率1の枠が満たされない場合は、満たされるように補充がなされる。
2. 未履修により、同表の取得単位数に満たない場合は、不足単位数を0点(重率1)として基本平均点に算入する。(いわゆる「0点算入」)
参考:
『履修の手引き』56ページ②
「成績表の見方」( https://www.c.u-tokyo.ac.jp/zenki/news/kyoumu/216941b0398062c0979189bd32292cabb32a419b.pdf )の(2)基本平均点・各科目区分の平均点(最終アクセス日:2020/05/27)

 「重率1の枠」に単位数の不足がある場合は、当該科目を0点として重率1の枠に算入する。未履修の科目も「0点算入」によって“履修した”とみなすことにより、重率が1である枠を埋める。例えば、総合科目L系列では英語中級(または英語上級)の3単位の履修がマストだが、1単位しか履修していない場合、残りの2単位については0点算入が行われる。

スライド23

 0.5秒くらい考えればわかることだが、「0点算入」は著しく基本平均点を下げることになるので絶対に避けたい。なお、1Aセメスター末や2年次に発表される成績表に掲載される基本平均点は、「0点算入」を行った点数である。(下記参照)

☕Coffee Break
 1年生のAセメスター末に発行される成績表には、「基本平均点」の欄があり、そこで初めて自分の基本平均点が表示される。このとき、まだ未履修の必要単位がある人は要注意。(理系は2Sセメスターに必修があるので全員に当てはまる。)この成績表に記載される基本平均点は「0点算入」を行っているものなので、未履修の科目がある分、著しく低い点数が表示されるのだ。最初一目見てぎょっとする人が多いが、その点数の低さは「0点算入」のせいなので、どうか焦らないでほしい。その代わり、UTES( https://www.utes.jp/ )というサイトや自分の手で、「0点算入」無しの基本平均点を算出してみると良いだろう。その際、計算方法は、
1:現時点で履修してきた科目に絞り、2Sに履修すべき必要単位を無視して計算する
2:未履修科目の点数を予想して、0点の代わりにその点数を算入して計算する
3:未履修科目の点数を50点として計算する
の3種類がとれる。特に、1番と2番を両方とも計算すれば、今後どれだけ頑張ればよいのかが自ずと分かって来る。3番は最低防衛ラインの計算だ。
 逆に、「もう未履修の必要単位はないよ」という文系諸君、もし成績表に低い基本平均点が記載されていたら、それは「0点算入」の無い、今のありのままの成績だ。重く受け止めてほしい。

問題の解説

さて、今確認したことの復習がてら、問題の解説といこう。
【問題】

スライド21


【選択肢】
① 76.4点
② 60.0点
③ 57.1点
④ 40.0点

【解答】

【解説】
 『履修の手引き』55ページを見ると、総合科目は「系別の単位取得条件を含め」た15単位が重率1の枠だとわかる。この「系別の単位取得条件」は9ページに記載されているものであり、9ページの表の下の注の内容も含む。したがって、理科X類の「系別の単位取得条件」は、次のようになる。
1. 総合科目L系列:「英語中級・上級」で3単位(文系のL系列は「〇語初級(演習)①・②」などを含む)
2. 総合科目A~D系列:2系列以上にわたり6単位
3. 総合科目E~F系列:2系列にわたり6単位

 今回の問題では、2.の総合科目A~D系列だけに着目すればよく、これに、鍔江君の成績表を照らし合わせると、次のことが分かる。

①総合科目A~D系列は6単位必要なところ、4単位しか履修していない。
②「日本国憲法」は不可であるが、①より重率1として計算される。
③不足した2単位は「0点算入」される。

 したがって、0点算入の科目が1科目2単位あり、全ての科目が重率1である。これを基に基本平均点を計算すると

 (80点*2単位*重率1 + 40点*2単位*重率1 + 0点*2単位*重率1)
 ÷ (2単位*重率1 + 2単位*重率1 + 2単位*重率1)
= 40点

になる。念のために注意をするが、本来基本平均点は総合科目ごと、基礎科目ごとに出されるものではなく、自分の成績全体で算出する。このクイズでは、計算を楽にするために、便宜的に総合科目A~D系列のみに絞っているだけである。

 さて、見た目は80点と40点の平均(60点)であるはずなのに、「0点算入」を行うことでここまで点数が下がってしまうのが分かったと思う。それでは最後に、各選択肢の計算方法を紹介しておこう。
① 76.4点…「0点算入」なし・「日本国憲法」の重率0.1
② 60.0点…「0点算入」なし・全科目重率1
③ 57.1点…「0点算入」あり・「0点算入」の重率0.1
④ 40.0点…「0点算入」あり・全科目重率1

(終)

 以上のことは基本的にほぼ全て『履修の手引き』に掲載されている。万が一履修条件の抜け漏れがあった場合は、すぐに手引きを参照しよう。特殊な成績計算方法を採用している学部・学科もあるため、各位志望に合わせてチェックしてほしい。
 また、進振りに関する詳細な情報を掲載しているUTaisaku-Webや成績を入力すると自動で基本平均点を計算してくれるUTESなどのサイトを活用するのも有効だろう。
もちろん、UT-BASEでも進振りに関する耳より情報をご提供していく予定なので、参考にしていただければ幸いである。次回はテーマを変えて、「再履修」について出題する。お楽しみに!

補充問題

【CASE05 補充】
以下の画像は、ある文科三類に所属する学生の、2Sセメスター終了時点での成績表である。この成績表によると、この学生は、「進学選択が可能となる条件」(『履修の手引き』8ページ)を満たしているので進振りに参加することができる。この時、この学生の基本平均点は何点になるか、計算し、少数第1位で四捨五入しなさい。なお、この学生は成績表記載の科目の他は一切履修していない。

スライド24

【解答解説】
 今までの総復習的な問題であるが、面白いのでかなり特殊な例を出題した。これに関連して、下記の「Coffee Break」を読むと面白いかもしれない。解説については今までの復習なので、簡素に行う。(『履修の手引き』55ページと9ページを参照。)

・既習外国語について
 既習外国語は、「平均合格」(『履修の手引き』42ページ)をすることで全科目について単位を取得したことになっている。
・重率1で計算される科目
基礎科目 →履修21単位中21単位(全て)
 0点算入:社会科学2単位、人文科学2単位
総合科目 →履修25単位中23単位(D系列の下位2単位以外)
 0点算入:総合D~F系列でD系列以外から2単位
・重率0.1で計算される科目
総合科目 →D系列の下位2単位

以上より、基本平均点は約40.04点になる。これを少数第一位で四捨五入すると、答えは40点だ。

☕Coffee Break
 上の補充問題で、進振り点が50点以下なんてそんなばかな!と思った方もいるだろう。驚くこと勿れ、2016年度の進振りにおいて、法学部の第2段階、文科一類の底点は39.2点である。上記の補充問題では40点だったから、これよりも低いことになる。(例えば、総合科目でA系列だけしかとらなければ実現できる。)この人は39点で法学部に内定しているわけだが、不足した単位を取りきり、無事進学することはできたのだろうか…
<参考>
UTaisaku-Web, https://todai.info/shinfuri/law.php. アクセス日:2020/05/27


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?