見出し画像

【Twitter連携企画】クイズ★進振りケース(CASE06)

 オンライン授業が始まって早1ヶ月。新しい生活様式での「大学生活」に慣れてきた人も多いのではないだろうか。しかし一方で、定期試験や成績評価、そして特に、進学選択、いわゆる「進振り」には不安を抱えているだろう。コロナ禍の影響を完全に取り除くことはできないが、我々にできるのは進学条件を今一度確認し、問題なく志望学部・学科に進む準備をすることだ。
 UT-BASE公式Twitter( https://twitter.com/UtBase )で行われている、進振りのあれこれを具体的な例を用いて理解する「クイズ 進振りケース」。第6回は前回と打って変わって、単位を取得しそびれた後の動きについての問題だ。解説もあるので、ぜひ参考にしてみてほしい。なお、断りの無い限り、既習外国語(英語)と初修外国語を選択した非TLP生を想定しているので、これに該当しない人は適宜、『履修の手引き』を見て確認してほしい。

CASE06 【再履修の諸注意】

【問題】
文科一類1年生の米主(べいす)君は、追い出しと再履修の違いが分かっていない。彼の1年生終了時点での成績表(一部)から言えることとして誤っているもの、このツイートに続く選択肢から選べ。

スライド25


【選択肢】
① 「経済Ⅰ」は再履修でもあり追い出された科目でもある
② 再履修した科目は「経済Ⅰ」と「記号論」である。
③ 追い出された科目は「経済Ⅰ」と「記号論」である。
④ 「生態学」は追い出しでも再履修でもない。

(Twitterでの出題はコチラ)

知識の確認

 今回は単位を落としてしまったときの後処理の話だ。この記事を読んでいる皆さんは全員天才東大生なので落単することはまずないと思うが、もしもの時のために読んでおこう。まずは、よく色々なことと混同されがちな、「再履修」について学ぼう。

■再履修
 「再履修」(『履修の手引き』37ページ)とは、履修登録はしたが単位を取得できなかった科目(一部例外あり)について、次の学期以降にこれと同じ科目をもう一度履修することである。これには単位を取得できなかった(落単した)当該科目の成績を上書きする効果があり、進振り点(基本平均点や指定平均点)を有意に高くすることができる。そのため、再履修は履修戦略上欠かすことのできない要素であるが、この制度について誤解している人も散見されるので、誤解を取り除くべく以下で丁寧に説明しよう。

(再履修の例)
1Sセメスター「再履一列」(30点)
☟再履修
2Sセメスター「再履一列」(100点)
⇒元々の30点が100点に上書きされる

■再履修できないもの
 誤解の一つ目としては、「ギリギリ単位は取れたけど成績が悪かったから、再履修します!」と意気揚々になるパターンが挙げられる。上述したように、残念ながら、単位取得済みの科目については再履修することができない
 これは何故かというと、東大には、「履修済み科目の履修制限」(『履修の手引き』11ページ)という、履修に関する一般的な制限事項が設けられているからだ。履修に関する一般的な制限事項は他にもいくつかあるが、とりあえず、「一度単位を取ったら最後、もう同じ科目は原則として履修できない」と覚えておこう。
 再履修できない場合は他にもある。
①再履修しようとしたが、他の(必修)科目と曜限が被ってしまった場合
②再履修しようとしたが、そもそも不開講だった場合
③受講できる学年と科類が指定されていて、自分が履修できない科目であった場合(「他クラス聴講」が可能なものを除く)
④「履修済み科目の履修制限」の適用対象外だった場合

 先程、原則として単位を取得した科目は再履修できないと説明したばかりだが、これには例外があり、④がそれである。この例外は総合科目の一部、主題科目、展開科目で適用されるが、基本的に進振りに関わるのは総合科目なので、これについて詳しく説明する。

 総合科目L系列の「外国語初級(演習)①」、「外国語初級(演習)②」を除く外国語科目とD系列の大科目[身体運動科学]の中の「スポーツ・身体運動実習」、「スポーツ・身体運動実習Ⅱ」および「スポーツ・身体運動実習 Ⅰ (PEAK)」、「スポーツ・身体運動実習 Ⅱ(PEAK)」は、例外的に履修に関する制限である「修得済科目の履修制限」および「複数履修制限」が適用されない。これにより、一度取得単位を取得した科目であっても、何度でも受けなおすことができる。特に、総合科目L系列の「英語初級・上級」、「○○語初級・中級・上級」(「初級(演習)①・②」除く)は、別途制限が『履修の手引き』24ページで加えられるが、何度でも単位取り放題であることは覚えておこう。

 …「あれ?それなら再履修できるじゃん」と思った人もいるだろう。しかしながら、これには続きがある。これらの科目については、「成績は履修した科目毎に付けられ、以前に履修した科目の成績が上書きされることはない」という条件が付いていて、履修した科目それぞれが別科目として扱われてしまうので、再度の履修はできるが、「再履修」はできない、ということになる。だから、例えば「英語中級」で不可を取ってしまった場合でも、再履修はできず、その不可は永遠に残り続けることとなる。なお、この例外は後々「追い出し」を説明する時にもう一度出て来るから、しっかり覚えておいてほしい。

スライド26

<参考>
『履修の手引き』37ページ(再履修)、23ページ(制限の例外)

☕Coffee Break
 思えば、「英語中級」や「英語上級」、「○○語初級(インテンシヴ)」などの科目は、1Sセメスターで一度単位を取得したとしても1Aセメスターに履修登録できるし、インテンシヴの授業に至っては、同じ名前の科目を週2コマも履修登録することができている。(「英語中級」などもやろうと思えば複数科目を同時に履修できる。)これを不思議に思っていた人もいるだろうが、そのからくりは、履修制限適用の例外であったのだ。
 また、上記で紹介した履修に関する制限事項が適用されない科目は、さらに追加で履修制限がかけられている場合があるので注意してほしい。詳細は『履修の手引き』を参照のこと。 

■再履修と追い出しの違い
 よくある誤解の2つ目は、再履修と追い出しの効果を混同している場合だ。追い出しは、基礎科目の例外を除いては、失敗した科目の成績を完全になかったことにはできない一方、再履修は、失敗した科目の成績を完全になかったことにできるシステムである。たまに、追い出しをすると再履修と同様の効果が得られると勘違いしている人がいるので注意しよう。また、そもそも再履修は失敗した科目と同じ科目を履修するが、追い出しは別の科目を用いるという相違点もある。
再履修 = ある科目の失敗を、同一の科目を履修して完全になかったことにする(上書きする)システム
追い出し = ある科目の失敗による損害を、別の科目を履修して極小化するシステム

■再履修したときの成績
 次に、再履修した科目の成績の扱いについて説明する。今まで書いてきた通り、再履修すると、再履修する前の成績が後の成績で上書きされる。少し悲しい話だが、もし再履修した結果、再履修後の成績がその前の成績より下がってしまった場合、成績の上書きは行われない。
 基礎科目の再履修については注意が必要だ。基礎科目の多くは、クラスごとに指定された授業を受ける形式であるため、再履修をする場合は「他クラス聴講」(『履修の手引き』40~41ページ)というものを行う必要がある。通常、再履修後の科目は100点満点で点数が算出されるが、「他クラス聴講」による基礎科目の再履修には成績の上限が設定されているので注意しよう。例えば、テストの素点が満点であっても、上限以上の点数が切り捨てられる結果、科目の成績としては50点しか得られないという状況になりうる。

スライド27

<参考>
『履修の手引き』37ページ(再履修)、40ページ(他クラス聴講)

■再履修の履修登録
 再履修の科目の履修登録は2通りある。
①受講できる学年や科類、クラスの指定がない科目
    UTASで通常通り履修登録
②受講できる学年や科類、クラスの指定がある科目
    「履修認定カード」を用いて履修登録
※②については、留年・降年して再履修する場合は、新しいクラスが割り振られているので、クラス指定のある科目を新しい所属クラスに基づいて受講できる場合は、通常の履修登録(①)で再履修できる。

 「履修認定カード」は、クラス指定外の授業や英語中級の追加募集など、UTASから直接履修登録をすることができない場合に教務課に提出することで、その科目の履修を可能にする魔法の紙である。教務課前期課程3番窓口(アドミニストレーション棟1階)で配付される。「履修認定カード」の手続き方法については割愛するが、代わりに、「履修認定カードによる申請の手順」という2018年の資料のリンクを以下の<参考>の欄に貼っておく。

<参考>
『履修の手引き』37ページ(再履修)、29ページ(通常の履修登録)、31ページ(履修認定カード)、45ページ(留年・降年)
「2019年度Sセメスター(S1・S2ターム)履修認定カードの配付について」, http://www.c.u-tokyo.ac.jp/zenki/news/kyoumu/all/2019/0319104928.html, アクセス日:2020/05/29
「履修認定カードによる申請の手順」, https://www.c.u-tokyo.ac.jp/zenki/2018_risyu_card.pdf, アクセス日:2020/05/29

問題の解説

さて、再履修について詳しくなったところで問題の解説といこう。

スライド25

【選択肢】
① 「経済Ⅰ」は再履修でもあり追い出された科目でもある
② 再履修した科目は「経済Ⅰ」と「記号論」である。
③ 追い出された科目は「経済Ⅰ」と「記号論」である。
④ 「生態学」は追い出しでも再履修でもない。

【解答】

【解説】
 上の「知識の確認」で学んだことのおさらいだ。再履修とは、成績が「不可」または「欠席」の科目について、当該科目と同一の科目を改めて履修しなおすことであった。米主君が不可を取っている科目は「経済Ⅰ」と「記号論」であるが、米主君の1Aセメスターの成績表を見ると、「記号論」は履修していないことが分かる。よって、「記号論」は再履修していないので、②が誤りであることが分かる。

 ①Aセメスターの時間割を見れば、「経済Ⅰ」が再履修されていることが分かるだろう。そのうえで、米主君は社会科学の単位を余分に取得しているから、成績が一番低い「経済Ⅰ」は追い出されることになる。(「追い出し」については次回説明する。)よって正しい。
 ③「経済Ⅰ」が追い出されていることは今確認した。次に「記号論」が追い出されているかを確認する。『履修の手引き』9ページによると、文科一類の総合科目A~Cの取得条件は、「2系列以上にわたり6[単位]」である。すると、米主君は既に総合科目A~C系列で6単位より多く取得していて、「記号論」が追い出されても取得単位は2系列に渡るので、成績の一番悪い「記号論」は追い出される。よって正しい。

 ④成績表によると「生態学」は1Sセメスターで不可になっていないので再履修ではない。さらに、総合科目D~F系列はまだ「生態学」の2単位しか履修していないので、追い出しのしようがない。よって正しい。
(終)

 以上のことは基本的にほぼ全て『履修の手引き』に掲載されている。万が一履修条件の抜け漏れがあった場合は、すぐに手引きを参照しよう。特殊な成績計算方法を採用している学部・学科もあるため、各位志望に合わせてチェックしてほしい。
 また、進振りに関する詳細な情報を掲載しているUTaisaku-Webや成績を入力すると自動で基本平均点を計算してくれるUTESなどのサイトを活用するのも有効だろう。
もちろん、UT-BASEでも進振りに関する耳より情報をご提供していく予定なので、参考にしていただければ幸いである。次回は進振りの醍醐味、「追い出し」の問題にいよいよ突入する。お楽しみに!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?