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こんな日がたくさんあってほしい

 大体いつもお昼前くらいに起きるのが常だ。
 1限は入れないと決めている。長く寝れば寝るほど良いというのが自論なので。(実際は9時間以上寝るのは体に毒、みたいなことがあるらしい)
 目が覚めてからもぐうたらと眩しい窓に背を向けてみたり、枕元のスマホで昨日の続きから漫画を読んでみたりする。

 朝ってばなんでこんなにまぶしいの起きろ起きろと言ってるの

 起きたくないので一句詠んだ。
 たまたま思いついた言葉が五七五七七のリズムに揃うとなんだかきもちがいい。日本人の性なのか。

 それでようやく布団から這い出る。いつもならもっともっと長居できるのに。ふわふわ、ごろごろ、そのまま二度寝までできちゃうのに。しかし今日は起きなければ。めずらしくバイトと遊びと寝る以外の用事がある。友人が紹介してくれたまつげパーマに行くのだ。
 まつ毛をくるくるにしようなんて、いったい誰が考えたのだろう。なんでわたしはまつ毛があがるとうれしいきもちになるんだろう。知らないけどそうなのだから仕方ない。むずかしいことは考えない、享楽主義がモットーだ。

 そういうわけなのでアイメイクはしないでいそいそと家を出る。ものすごい美人のお姉さんが担当だったらどうしようかと考える。どうしようもないのに。自分よりかわいい人を素直に褒められる人ってすごい。うらやましく思ってしまうばかりだ。素直な人になりたい、とずーっと思っている。ずーっと、なれていない。

 ものすごい美人のお姉さんが担当だった。こんなきれいなまつ毛にわたしもなれるだろうか。中では何人かのお客さんがベッドに寝て、みんなまつげをくるくるにしていた。案内されるままにその一員に加わる。

 一時間って一瞬だ。ぐう、と眠ってしまって、気がつけばくるくるのまつ毛になっていた。いつもよりちょっと気分もくるくるになる。気分がくるくるってなんだ。ふふふふ、いつもよりおしとやかに笑える気がする。ふふ、溢れる笑みをそのままに、家路についた。

うわあ、しか言えなかった空

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