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景気が分かる!原油価格から見える未来 第1回

皆さん、こんにちは!アメリカ株式義塾です。
今回のテーマは「原油価格」

最近ふと、現在のように、景気が後退するのか、それともソフトランディングするのかを見極めることが重要な時期において、景気の重要な指標となる原油価格やエネルギー価格の見通しについて興味を持つ読者の方が多いのではないかと思いました。

写真の出典: みんかぶ

今の原油価格は高くもなく、かといって低くもない本当に微妙なレベルです。これが今後上がるのか、それとも下がるのかについて判断するための基準もすべて曖昧な状況です。

石油とエネルギー業界において、世界で最も主要な3つの機関や組織を挙げるとすれば、OPEC、EIA、IEAは外せません。これらの機関が発行するエネルギー予測レポートを見たことがあるかもしれませんが、これらのレポートには皆さんが思っている以上に重要な情報が記載されています。

そこで、今日のコンテンツでは、特に製造業やエネルギー業界に投資するアメリカ株投資家の皆さんが絶対に知っておくべきOPEC、EIA、IEAのエネルギーレポートについて紹介し、さらに私たち<アメリカ株式義塾>独自のインサイトも提供します。

それでは、早速始めましょう! 



OPEC、EIA、IEAを素早く理解


世界最大のエネルギー機関3つを、一挙ご紹介!

さあ、まずは略語から理解していきましょう。

OPEC:Organization of the Petroleum Exporting Countries(石油輸出国機構)

EIA:U.S. Energy Information Administration(米国エネルギー情報局)

IEA:International Energy Agency(国際エネルギー機関)

OPECは、石油市場の安定と効率的な価格管理のために、石油の生産調整等を行う主要産油国の集まり(というものの事実上のカルテル)です。イランやサウジアラビアを含む、中東やアフリカの国々で構成されています。
 
EIAは、アメリカの国益とエネルギー面での自立に焦点を当て、世界最大の産油国であるアメリカのエネルギー政策全般を決定する米国の政府機関です。このため、原油の需要や生産量などに関する統計を継続的に収集・分析しています。

最後に、EIAと混同しそうなIEAは、「国際エネルギー機関」という名前からもわかるように、世界中の国々を対象にエネルギー関連の政策やその方向性を調整する機関です。

これらの機関は、それぞれ独自の方法で原油の需要と供給が今後どう変化するかを予測するレポートを発行します。このレポートの発行間隔は機関ごと、レポートごとに異なりますが、原油や天然ガスを含むエネルギーの需給が今後どう変わるかを予測する上で非常に重要です。

しかし、OPECは中東・アフリカ諸国の集まりであり、EIAはアメリカの政府機関、IEAは国連のような世界的な機関です。それぞれの利害関係も、予測方法も異なります。

例を挙げてみましょう。


繰り返しになりますが、OPECは産油国の集まりです。

彼らがやるべきことは単に各国の供給量の情報を加盟国から集めて分析するだけで済みます。その後、各種データを収集し、世界の経済指標を分析し、地政学的なイベント(特に加盟国の地域で起こるもの…)をモニターし、市場の状況を評価して原油の需要と供給を予測します。 そして、このように予測したものを基に月次石油市場報告(MOMR)、世界石油見通し(WOO)として発行します。

Klook

OPECにとって非常に重要なことは、「原油需要の予測」です。その理由は、中東の産油国の多くは、国内の大部分が何もない砂漠であり、原油一つだけで生計を立てているからです。そうなると、通常は自分たちに不利な話はしません。需要と供給を予測する必要があっても、供給は自分たちが握っているので、自分たちの都合に合わせてコントロールし、需要を予測することも十分に可能です。

これをEIAに当てはめてみると、今度は逆にEIAはアメリカの立場を代弁します。EIAの活動には、世界第一の産油国として、同じ産油国の仲間でありながらも言うことを聞かない中東の国(代表的にはサウジアラビア)の首根っこを押さえて揺さぶりたいアメリカ政府の意図が介入せざるを得ないということです。

EIA

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