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ぼくの株の話 part2

 この記事を読んでる人の中には僕のことをすごい人と思っているかもしれないけど、全くそんなことはない。せいぜいが普通。アベレージってところ。でもそんな人間にも、いやそんな人間にだからこそ株は希望だった。

〇お金を増やすためのたった一つの冴えたやり方

 今自分の歩いてるレール、その先に絶望した僕は何とか抜け出したいと思ったが、なんら具体的な計画があるわけではなかった。ノープラン。夢見る子供のたわごとと変わらなかった。この境遇から抜け出すのに足りないものそれはお金だった。それはわかった。でもどうしたらいいのか。仕事を辞めても困らないだけのお金をどうしたら手に入れられるのだろう。その可能性がある株で大損していた。それもそんな昔じゃない。せいぜい一年前に。

 とりあえず仕事を辞められるだけの大金をできる限り短期間で「手に入れる」にはどうしたらいいんだろう。それを自分なりに調べて、書き出してみた。

①宝くじ

②起業

③銀行強盗

④相場(株、FX)

 株で大損して心に傷を負った僕は相場を四番目に書いた。でも前の三つとも現実ではなかった。

 まず宝くじ、ググったら確率的に一生買い続けても当たらないと書いてあった。ダメじゃないか・・・。期待値マイナス・・・ダメすぎる。しかも完全に運任せだ。オカルトな数字選びが意味のないことくらい、屠殺直前の豚でもわかる。この方法はだめだ。

 次に起業について考えてみた。この方法はかなり行ける気がした。当時はネットビジネスがもう一般大衆に認知され始めて十分な時間がたっていて、そういう話が世の中にはごまんとあった。しかし冒頭でも述べたけど、僕は自分の能力に懐疑的だった。それにリスクも可能な限り取りたくなかった。今の会社を辞めてみじめな生活をするくらいなら、会社にしがみついてダサい生活を送ったほうがましだとすら思った。それに元手もなかったし、もっと言えば借金まみれだった。奨学金の返済総額は600万だった。更にはネットやプログラミングの知識もなかった。ホリエモンみたいになれる自分を全く想像できなかった。現実感のない選択肢、それが僕にとっての起業だった。いろいろと言い訳じみた言葉を並べたがシンプルに言えば自分にできそうではないと思った。この選択肢は保留となった。

 銀行強盗、これには憧れるものがあった。僕はオーシャンズ11が結構好きだった。ジョージクルーニー、ブラッドピットそんな知的で行けてるおっさん達が仲間たちと成し遂げる偉業。映画の中ではとても輝いてた・・・だめだ。あほだ。僕はジョージクルーニーでもブラッドピットでもなかった。よく言ってただの平均的な日本人だった。そもそもブラッドピットであったなら銀行強盗をするまでもなく毎日がサンシャインだ。ロマンスだ。自分は豚小屋で泣いてる豚だった。泣いた。ぶひー。

 相場・・・やはりこれしかないのか・・・。そうだ相場だ。これが一番楽そうだ。リスクも少ない。仕事しながらできる。これが一番いけてる。これしかない。みんなそう思う。間違いない。ボタンポチポチして1億だ。これ以外の選択肢なんてあるわけがなかった。これしかない。そうこれしかないんだ。

 でも知っての通り僕はすでに株で大損していた(ネットゲームのRMTでためた50万円はどこかのうんこ野郎が画面をポチポチして奪っていってしまった。今思えばこの大切な大切な50万円を奪っていった奴はきっとぼくのtwitterのタイムラインにいる。間違いない。許せん・・・)。そんなわけで僕はもっと楽そうな()FXをやることにした。なるほどなるほど。チャートだボリンジャーバンドだ!支持線だ!なんて簡単そうなんだ。これはきっとお金が増えるに違いない。いけるきっといけるそう思った。

 そうはいっても元手がなかった。奨学金の返済も重い。だから僕は必至で切り詰めた。手取り20万円そこから奨学金を返済して諸々の生活費を差っ引いて月8-10万ほど貯めた。ボーナスはもちろん全部突っ込んだ。最初のボーナスは少ない。親にちょっとしたプレゼントを買った残り。命の欠片。

 半年ほどFXをやり続けた。ダメだった。ボリンジャーバンドも、指示線もわけのわからないオシレーターも自分がポジった時だけ機能しなかった。みるみる減っていくお金。ある日思った。世界の中央銀行もきっとぼくを監視していたに違いない、そうでなければなぜこんなにもお金が減るのだろうかおかしいだろう。実は僕には眠った力があってNHK的なサムシングが監視している。だから勝てないんだ。早く目覚めてくれ俺のなんかすごい力よ・・・。もちろん力は目覚めなかったし、その間にも、現実逃避してる間にも順調にお金は減っていった。そして遂に世界からのいじめに耐えかねた僕は、マウスを壁に投げつけてカツどんを食べに行った。かつ屋が家の目の前にあった。僕が買うべきはカツどんではなくアークランドサービスの株だった。そんなこともわからない資本主義の哀れな犠牲者の僕は相場でお金を散々むしり取られたあげく、なけなしのお金で食べたカツ丼、その利益は強欲な資本家に吸い上げられていたのだが当時は知る由もなかった。資本という概念を僕はまだ知らなかった。投資家という存在を僕はまだ知らなかった。だけどやはりこれでは、このままではだめだということは認めざるを得なかった。

続き


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