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原動力にしてた怒りを失ったはなし 【savepointラジオ(3)】

こんばんは、ラジオの時間でーす。

この番組は、「メンタルクエスト」の製作者であり、クリニックの(元)スタッフでもあるライターのみきさん、イラストレーターのかなさんの3人でお届けします。

いやあ、「鬼滅の刃」が終わったね。
吾峠先生、ほんとありがとう。お疲れ様でした。
僕はメガ盛り定食屋のくだりにいちばんほっこりしたよ。

【フリートークのコーナー】

さて、今日のフリートークはこないだ僕とみきさんがゆるりとした雑談を、ラジオ的にお届けしようと思ってるよ。
テーマは「原動力にしてた怒りがなくなった」というはなしね。


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みき:そういえば、最近自分にとって大きな変化があったんですよね。

ゆうすけ:おお、なになに。

みき:私、今まで10年間ほどずっと教育に関わることをやってきたんです。大学は教育学部で、大学院でも教育について研究して、就職先も教育系の会社に就職して。

「今の教育は子どもたちに【正解】を押し付けるようなものだ。だから、もっと一人ひとりが自分の意志を大切にできる教育に変えていかなきゃ」って思って、いろんな活動をしてたんです。

でも、最近「教育を変えなきゃ!」という強い焦燥感みたいなものがあまりなくなってしまって。

ゆうすけ:ほお、それはなかなか大きな変化だね。

みき:そうなんですよ。

ゆうすけ:それはさ、みきさん的にはなんでそういう変化が起こったと考えてるの?

みき:うーん、たぶんなんですけど、根底にあった「怒り」みたいなものが消化されてしまったからかなと思うんですよね。

ゆうすけ:「怒り」っていうのは?

みき:中学も高校も進学校だったこともあって、勉強と部活と行事が生活の全てだったんですよね。学校で「これをやりなさい」と言われたことをこなす毎日というか。

放課後も友達と遊びに行ったこともほとんどなくて、カラオケも漫喫も行ったことない。家と学校の往復で。でもそれが「正解だ」って信じていたから、何も考えずにその生活をしていたんですね。

でも、大学にきたらその生活が一気に変わっちゃった。

今までは「正解」があったから、それに合わせて生活を送っていればよかったけど、それがない。だから自分が何をしたいかがわからないんですよね。遊んだこともないから「趣味は?」「好きなゲームは?」「好きな漫画は?」とか言われても答えられない。

そうなってくると「なんでこんなに面白みのない人間になっちゃったんだ」という絶望感がわいてくるわけです。

ゆうすけ:それはわりと抑圧的な環境だったのかもね〜笑

みき:そうなのかもしれません笑。
でも、そうすると、そんな面白みのない自分になってしまったのはなんでなんだろうと落ち込む。そして、責任をどこかになすりつけないと、やっていけなくなっちゃうんですよね。

それで私は教育のせいにすることにしたんだとおもいます。

「こんな自分になっちゃったのは、自分が受けてきた教育のせいだ」「受けてきた教育さえ違えば、もっと自分は違う人間になれていたはずなのに」って。

ゆうすけ:それが「怒り」ってことだね。

みき:そうです。でも最近、会社を辞めてフリーランスになったんです。そしたら、会社が「これをやりなさい」言ってくれないから、どんな仕事を誰とするのか、どれくらい稼ぎたいのか、うまく仕事をしていくために何をすべきなのかを全部自分で考えなくちゃいけなくなったんですよね。


それで、やってみたら意外と楽しくその自己決定ができた。なんだ、こんな教育を受けてきたから「もう自分は変われない」と思っていたけど、今からでも十分自分の思うように人生送れるんじゃんって気づいたんですよね。そしたら、教育に対する「怒り」がふーっと消えちゃったというか。


ゆうすけ:なるほどね。きっと、今までみきさんにとっては「教育」っていうのは人生にとって大きな影響を与えるものであり、一度間違った教育を受けてしまったらその後の人生は自分では変えられないという「不可逆性」みたいなものを感じていたんだろうね。幼い時期にそこを間違うと、人生終わるな、くらいの感覚だったのかもしれないね。とりかえしのつかないことしやがって、みたいな。


みき:そうなんですよね〜。でも、意外とそうじゃないんだってわかったら、そこへのこだわりみたいなものも消えてしまった。もちろん教育の重要性は今でもあると思っているし、そういう活動をしている人を応援したい気持ちは今もあるんです。

でも、「やりたいこと」の核にあったはずの強い怒りの感情がなくなったことで馬力が落ちちゃって、困ってる気持ちもあります笑


ゆうすけ:それはキャリア的には困ったねw
でも、そういう変化ってみきさん的にはどう考えてる?

みき:まあ、困ってはいるんですけど、そんなに悪い風には考えてないですねー。馬力は落ちたけど、むしろ「自分の人生は自分でつくっていける」って考えられるようになったという意味では、いい変化なのかなと。


ゆうすけ:おもしろいねー。「過去にとらわれてる」とか「もう取り返しがつかない」みたいな感覚がなくなって、楽になったのはあるのかもね。

怒りってディーゼルエンジンみたいなもので、パワーは出るけどすげー黒煙が出て環境とか身体に悪いし、疲れちゃうみたいなことってあると思うんだよね。怒りの純度が高いひとの近くにいると、どうしても心が荒立ってしまうしね。そういう意味でみきさんが「怒り」をエネルギーにしなくてもよくなったっていう話はポジティブな変化として捉えてもいいのかもしれないよね。

そういえば、昔そんな内容のやつを書いたな。


ゆうすけ:でもさ、いまは環境にやさしいクリーンなディーゼルエンジンも出てきているらしいから、ディーゼルエンジンを悪者にするのはもうやめたほうがいいかもね。……あれ、なんの話だっけ笑。(おわり)


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曲いきまーす。

今日の一曲目は、15年前くらいに買った坂本真綾さんの「ニコ☆パチ」ってアルバムが超好きなんだけど、その中でも特にお気に入りの曲。
コーラスで入ってくる「ダッタン人の踊り」の旋律がとても綺麗で聴き入ってしまう名曲。坂本さんの声超きれいだよね。

大学時代は軽音楽部に入っててカバーしたこともあるんだけど、難しかったわ。英語が。どうぞ〜



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さて、今日はまだまだ続くよー。

この前の記事でも少し書いたけど、先日Twitterで人気のF太さんとこんなイベントをやらせてもらったのね。


最近のこんな感じの社会情勢も影響して、ちょっとメンタルが弱っているよという人たちからの相談にF太さんと僕で答えさせてもらったんだよね。

そこでもらった相談は「うんうん、たしかにそういうこと悩むよね〜」というような、ほんとうにいいものばかりだったので、ちょっとこのラジオでも番外編的に何回かにわたってその内容を紹介させてもらおうと思ってるよ。


ではではさっそく。最初の相談は、今回のイベントをオーガナイズしてくれたしむしむことnoteの志村さんがくれたものです。

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もともと私、一人で遊ぶのがすごく得意なタイプだったんですね。でもコロナウイルスの影響でずっと家に一人でいたら、やっぱり寂しくてメンタルが落ちてきて。みんな人に会えていないくて私だけが寂しいわけじゃないのにって思うんですけどね。なんとかできないものかなあと考えています。

ということなので、ここからは、F太さんと志村さんと僕が当日話したことをちょっと抜粋しつつ、お伝えしようと思うよ。

ゆうすけ:めちゃくちゃいい質問ですね。大前提としてね、今って、社会においてものすごく大きな変化が起こっているんですよ。だから、みんな多かれ少なかれストレスは受けているはずで。

だから「メンタルが落ちている自分は弱いんじゃないか」「寂しいと思っている自分なんてかっこわるいんじゃないか」って思うかもしれないけど、そんな必要はなくて。「みんなメンタルが落ちて当たり前なくらい大変な状況にある」って考えとくのは前提としてめちゃくちゃ重要だと思いますね。

志村:確かにこれだけ大きな変化が起きてたら、落ちるのもしょうがないというか、当たり前ですよね。

ゆうすけ:そうそう。そもそもね「すぐに対応できたよ」っていう人のうち半分くらいは過剰適応の可能性もあるなと思っていて。過剰適応っていうのは、大きな環境の変化に対応しようと身体と心が無理やり頑張っている状態。そういうときって、3ヶ月とか半年後に反動がくる可能性もあるんですよね。

だから、バテて当然だよ〜くらいに思っておいたほうがいいかなと思います。

実際、僕もけっこう最近までメンタルが落ちてたんですよ(笑)

一人で家に引きこもることがどれくらい得意なのかを測る「Stayhome耐性診断」っていう診断があるんですが、知ってますか?エムグラムという会社がやっている診断で。

僕もやってみたんですが、Stayhome耐性はなんと0でした(笑)。コミュニケーション量が減ったことで、如実にストレスを受けるタイプだという結果がでて。すごく納得しましたね。こんなにメンタルが落ちるのも当たり前だな、と。

志村:そういえば、著書の「メンタル・クエスト」のなかでも、自分のタイプを知ることが大切だという話がありましよね。

ゆうすけ:そうそう。今回の話に関係するところでいくと、本のなかでは「愛着スタイル」っていうのを紹介しました。愛着スタイルっていうのは、周囲の人たちとどんなつながり方を望むか、どれくらい親密になりたいかを左右する傾向のことですね。

この愛着スタイルは、主に自分が育ってきた養育環境によって3つのタイプに分かれると、ジョン・ボウルビィさんっていうイギリスの精神科医が提唱してるんです。

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