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「教える人」じゃない。僕は、材料や道具と子供たちの最良の出会いの場をつくりたい。

自己紹介みたいな記事です。
”自分って一体何者なんだ?”
「図工の先生」じゃないのかもしれないという記事を以前こちらに書きました。

そんなことを人に漏らすと「”プログラミングの先生”とか?」と言われることもあります。・・・実はその方が、もっと違和感があります。

僕はプログラミングが得意だと思ったことはないし、例えば趣味でやってるとか、アプリつくったことあるとか、メカニックなもの好きとか、実は全部当てはまりません・・・。本音を言えば、”好き”ではないかもしれません。

じゃあ何でやってるんだっけ?
自分の振り返りも兼ねて、今回はそんなことを書いていきます。

▼きっかけ

​ 2016年、勤務していた学校が”東京都教育委員会ICT環境整備支援事業指定校”となり、タブレット端末とWIFI環境が学校にやってきました。僕はこの事業を校内で推進・運用する担当に。きっかけはこれに尽きます。
 ICTをどう活用すれば学校が、授業がもっと面白くなるだろう?と色々チャレンジしました。その中のひとつがプログラミングだったのです。まず自分の授業で取り入れてみようか、と。しかし、当時図工×プログラミングの実践はほとんどありませんでした。そんな時に出会ったのが”VISCUT(ビスケット)”だったのです。

▼ VISCUITとの出会い

知人に紹介してもらった”VISCUT”。最初は”へー!こういうのがあるんだ!”くらいにしか思っていなかったのですが、なんと直後にVISCUITをつくっている会社の方と出会うことになるのです。「あぁ、もうこれは学ばなくては!」とそのまま、ファシリテーター講習を受講。プログラミングって言葉だけで、実はとっても身構えていたのに、これが本当に面白かった。これなら子供たちと一緒に楽しめる!と自信をもてました。
 そして授業をしてみたら、まぁ子供達の楽しそうなこと!!これは間違いないと思いました。そして”東京都教育委員会ICT環境整備支援事業”の研究発表にて、図工×プログラミングとして、授業を公開するに至ります。
(▼当時の記事がこちら)

これがどうやら”VISCUIT×図工”は日本初だったらしい(!?)で、この公開授業がきっかけで僕の授業は様々なところで紹介いただくことになるのです。
読売新聞週刊東洋経済プロカリ日本教育新聞/その他)

文科省×経産省×総務省のプログラミング教育サイトにも載せていただきました。

「図工の先生になった」という僕のびっくり転機と同じくらい、 VISCUITは僕の人生を変えてくれました。「別にプログラミングを教える必要はないんだ。すべてを僕が知っている必要なんてない!」とわかったのです。他の図工の授業と同じで、子供たちと一緒に楽しんだり、悩んだりすればいい。正解のない図工的なアプローチをすれば、授業は絶対楽しくなる!そういう想いが、この先に出会うテクノロジーツールを取り入れることへの抵抗感を吹き飛ばしてくれるのでした。

▼キュベット/embotとの出会い

 次に出会ったのはキュベット。そしてembot
この2つの出会いのきっかけをつくってくれたのはNPO法人CANVASフェロー会。ここで引き合わせてくださって、「授業で使ってみませんか?」「やってみます!!」の2つ返事で、学校に取り込んでしまいました。
 この2つのツールは、実際に動く!ということで、子供達が喜ぶ顔が目に浮かびました。そして何よりキュベットを扱うチームの方々、embotを扱うチームの方々の人柄がとても温かいんです。ツールと出会ったというよりも、人と出会って突き動かされた、という印象の方が強いです。一緒に仕事がしたい!と心から思いました。それぞれへの想いは下記サイトでたくさん語らせてもらっています。

▼ KAGURA /Springin'との出会い

 この出会いのきっかけをくれたのはSOZO.Ed代表の海老沢穣さん。"KAGURAっていう音楽ソフトを体験してみたんだけど、これ面白かったよー!”と教えてくれたのは2018年2月。「僕も体験してみたーい!」と好奇心全開にしていたら、KAGURAをつくる株式会社しくみデザインの代表取締役・中村俊介さんがすぐに会いに来てくれたのです!(ええ!代表取締役の方が来てくださるなんて!!とすごい緊張していたのを覚えています・・・w)

 その後、KAGURAは学校に導入することとなり授業も実践。2019年には授業をワークショップ化して学校外で実施もできました。
(▼こちらの記事になりました)

 そして中村さんが会いに来てくださった時に同じく紹介してもらったもうひとつのツールがビジュアルプログラミングアプリケーションSpringin'。これもとーっても面白かったのですが・・・なんとiOSでないと使えない!!勤務していた学校の端末はwindowsタブレット。VISCUITもembotもKAGURAも使えたのですが、これだけは使えない・・・。でも、それが逆にモチベーションとなって、学校外でテクノロジー系のワークショップの依頼を受ける時には、普段学校ではできないSpringin'を選ぶことが多くなりました。
 これも本当に子供たちが夢中になって楽しみます。その顔を見るのがたまらなく嬉しいし楽しいのです。
(▼ 2019年夏に博多で開催したSpringin'ワークショップがこちら)

材料や道具と子供たちの最良の出会いの場をつくりたい

 こうして振り返ってみると、色々なツールを楽しませてもらっているなぁと改めて感じます。どのツールでも、僕はプログラミングを教えていません。子供たちが「動かしたい!」って思うから、自分達で学び合って、遊ぶように習得していきます。だから「プログラミングの先生」っていうのには違和感があるのです。

 こんな風にいくつものツールを(言葉は悪いのですが)つまみ食いするような人は、あまりいないと思うんですよね。
 でも、図工で「材料はずっと”紙”のみ!」みたいな授業をつくる先生はいないですね。”粘土”も”木”もその他あらゆる材料に触れて欲しい。そして、あらゆる道具もつかって、自分の見方や感じ方を広げていって欲しいと、図工の先生は願っているのです。こうしたテクノロジーツールも”紙””木””粘土”などと並列して存在する道具・材料のひとつだと思っています。さらに、ひとえにテクノロジーツール/プログラミングツールといっても千差万別、様々あります。僕はやっぱり、そのひとつをグググっと深める(自分自身がクリエイターとなる)人ではなく、色々な道具・材料と子供たちの最良の出会いの場をつくりたい人なのです。

 ですので、僕はVISCUITもSpringin'も深い知識や技術はありません。embotも、最近取り組んだKOOVで使用するブロックプログラミングにおいても、複雑なことは全くできません。きっと慣れてきた子供たちなら、軽く超えていけるくらいの存在です。それはテクノロジーツールだけじゃなくて、例えば、のこぎりも、絵の具も同じこと。

でも、その材料・道具と初めて出会う子供たちを、夢中にさせる出会わせ方を考えることに一生懸命になれます。「え?なにそれ!やってみたい!!」と思ってもらいたい。どういう仕掛けをしたら、そうなるのか。それを考えるのが楽しくてしかたないんです。

▼トイデザイナーになりました。

”自分って一体何者なんだ?”
”肩書きなんていらないかもしれないけど、こんな仕事を説明するとしたら、なんて呼べばいいんだろう?”

実は新年明けて早々にそんなことをこのイベントで相談させてもらいました。

こちらの加来さんから、こんな素敵な”理念”をいただきました。

「つくりたくなる問いを”TOY"にする トイデザイナー」

すっきり。

「え?なにそれ!やってみたい!!」と思ってもらいたい。=「つくりたくなる”問い”」をデザインし、そうして発進した子供たちのアイデアをとにかく面白がる(TOYにするように)。なるほどなるほど。確かに僕にぴったり!

材料や道具と、そして街と、社会と、子供たちの最良の出会いの場をつくる!
つくりたくなる問いを”TOY"にするデザイン!

これからも楽しんでいきます。
すっかり長文になってしまいました・・・。ここまでお付き合いいただき本当にありがとうございました!これからもどうぞどうぞよろしくお願いいたします!