石破茂が総理になれない&なってはいけない理由
１．選挙の投票義務化
万一、総理大臣になってもこれを実際にやるとは思ってないが、政治家が言葉にして出したからには、それを撤回しない限り、本当にやる可能性があるので、大いに警戒しておきたい。
過去にも書いたが、ヒトラーが勝った1933年3月の総選挙の投票率は9割近い。凄まじい高投票率だ。「投票率至上主義者」たちは、彼らにとって非常に都合の悪いこの事実については黙殺を決め込み、一切語ろうとしない。議論に応じることが、彼らにとって都合の悪いこの事実が世間に知られるきっかけになってしまうことを恐れているのだろうか。
むろん、ヒトラーのような熱狂的支持のない、シラけ選挙を「投票義務化」によって無理矢理高投票率にした場合はまた話は違ってくるだろうが、その場合でも、例えば「N国党」のような、あるいは佐野秀光氏の「支持政党なし」のような政党に票が集まることは容易に想像できる。
つまり、「投票義務化」をした場合、立花氏や佐野氏などのような勢力が、少なくとも一時的には、場合によってはキャスティングボートを握れてしまうくらい、大きな力を政界で持つことになるであろうと容易に想像が付く。
石破氏はそういう政治を望んでおられるのだろうか？
２．習近平の国賓来日を推進
石破氏は総裁選では議員票に期待できないから、2001年の小泉氏のように、党員票で圧勝することで総裁選を突破しようと考えておられるそうですが、だとしたらこれはあまりに空気読めてなさすぎでしょ。
二階幹事長の支援が欲しいのは分かるけど、二階氏に頭を下げて、我々国民にはお尻を向けるような政治家が、小泉氏のような旋風を起こせるわけがないでしょ。よしんば党員票でライバル候補を上回ったとしても、議員票で逆転されるのがオチ。小泉氏は橋本龍太郎氏に対して、当時は「県連票」という、アメリカの大統領選に近いシステムを採用していたが、そこで「123対15」という、とてつもない大差で圧勝し、これを見て国会議員も次々と小泉氏側に寝返ったわけだ。単に1位であるだけではダメなのだ、圧勝でなければ。だからこそ2012年の総裁選で石破氏は党員票では1位になりながらも敗北したのだが、それから8年経った現在、石破氏が当時よりも国民や党員からの支持が高まっているというようには見えない。
おそらく、石破氏もそれは自覚していると思う。だからこそ二階氏に尻尾を振るのだろうが、それをやるとますます国民や党員の支持が離れていくということを理解できないあたりが政治家として致命的にセンス悪い。
習近平の国賓訪日なんて野党支持者の間でもウケは良くないのに、ましてや総裁選に投票権のある自民党党員がどう思うか、想像もつかないのだろうか？
私は石破氏は中国に取り込まれているとは思ってない。ただ単に、ポリシーがないだけだろう。典型的なシラケ世代なんだと思う。
３．いまだに自民党草案に固執している
そもそも、「自民党草案」とは、自民党が野党時代に、谷垣総裁の下で作られたもので、その中心メンバーは石破氏や中谷元氏などだった。野党時代に作られたものなので、「エッジの効いた」（谷垣氏）草案となっているが、これが、自民党が与党に返り咲くと、主に野党支持者などから、憲法改正を目指す安倍総理へのネガティブキャンペーンとして大いに利用された。
自民党改憲草案には安倍氏も、麻生氏、福田氏、森氏らと共に「最高顧問」として名前を連ねている（要は総理経験者4人が最高顧問に祭り上げられているだけ）ので、全く無関係とは言えないのだが、では安倍氏にこの草案に対する強い思い入れがあるか否かと言えば、まあないだろう。
だから、自民党草案などまるでなかったかのように、「改憲4項目」なる、より実現性の高い素案をしれーっと出してくるわけだ。
一方で、石破氏はこの評判の悪い自民党草案を作った中心メンバーの一人と言っていい。また、安倍氏とそのブレーンだけでまとめた「改憲4項目」素案と違って、多くの自民党議員が議論に参加して、民主的に作られた草案だという思いもあるのかもしれない。
一方で、石破氏はこの草案が評判が悪いことも知っているはず。知らないわけはないだろう。
なので、憲法議論を拒む野党には何も言わずに、「安倍改憲では不十分」「15年議論しろ」「妥協するな」などと屁理屈を捏ねて安倍改憲案に反対しているのだ。
あのね。
「安倍改憲案では不十分」なのは、私もそう思ってます。たぶん安倍総理自身もそう思ってるはず。
石破議員が全面的に正しいです。
でも、それじゃ一歩も先に進めないでしょ。
だから、とりあえず不十分な改憲でもやるしかないですよ。
不十分な改憲をやって、それから10年後くらいにまたもう1度改正すれば良いでしょ。なぜそれじゃいけないの？
「妥協するな」じゃないんだよ。妥協するのが政治なんだよ。
だからあんたは総理になれないの。
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