森叩き、森イジメに潜む「老人差別」「保守差別」「革命思想」……倉本圭造は自身の差別意識にもっと敏感になれよ。

酷いコラムを見つけてしまった。こいつ差別意識の塊じゃん。

何が「あたらしい意識高い系」だよ。笑わせんな。

まず第一に、森氏は別に支配者でもなんでもない。単なる調整役だ。あるいはアドバイス的なことはするかもしれないが、「老人支配」という言葉自体は当てはまらない。もし違うというのなら「私は森氏に支配されていました」という人を連れて来いよ。

そもそも、森氏に限らないが「長」のつく役職を「支配者」と考えるその思考パターンが全然あたらしくない。「あたらしい意識高い系」というのであれば、まずその古臭い思考回路から脱却したらどうだ。

まあ、そうは言っても、今も相変わらず、会社で威張ってるだけの無能な「長」はあちこちにいるので、そういうイメージを持ってしまうのは仕方ないのかもしれないが、曲りなりにも首相にまで上り詰めた人でそんな人はいないと私はいないと思ってる。だって、ただ威張ってるだけの「長」が首相になれるわけないから。ちょっと循環論法っぽいけど、それを言ったら「長=支配者」と考えてる人だって循環論法なわけで。

いずれにしても、「老人」だから「長」になってはいけない、というのは直球ド真ん中の老人差別です。しかも、この老人差別、女性には適用されないんですよね。例えば小池百合子知事とか。小池知事も森氏に比べたら15歳ほど若いですが、60歳過ぎた人の15歳差なんて大差ないですよ。40歳と25歳だったらそれは年が離れてるって言えるでしょうけど、83歳と68歳なんてどっちも老人でしょ。

1:「森発言のその後」はネット右翼ですら怒ってる?

「森発言問題」について、個人的にはかなり初期から「今回はおそらく辞任まで行くんじゃないか」みたいな感覚がありました。

というのは、私は経営コンサル業のかたわら色んな「個人」と文通しながら人生について考えるという仕事もしていて、(あまり政治的な話をすることは多くないけどあえて党派的に言えば)“右”の人も”左”の人もクライアントにいるんですけど。

そのクライアントの中でも、私自身と比べてもかなり「保守派」の女性ですら、この問題については「もうほんとイライラします」って言っていたんで、これはちょっと擁護しきれない空気になるだろうな、という感じがしていたんですよね。

「ネット右翼ですら怒ってる?」って表現も差別的ですね。まず「ネット右翼」という単語が侮蔑的。さらに「ですら」と続く。これは例えば「猿でもわかる」「小学生でもわかる」みたいな言葉と同じ用法ですよ。まず、「猿」や「小学生」という分かりやすい見下し対象を持ち出して、それと比較してもおまえはさらに下だ、という論法ですよね。

しかも、その後に続く文章では「『保守派』の女性」と言っており、ここでは「ネット右翼」という言葉は使ってない。女性に配慮したんでしょうかね。ただ、それなら何で「保守派」をカギカッコで括ったのか。我々がよく「リベラル」をカギカッコで括って「本当はあいつらはリベラルじゃないぞ」っていうニュアンスを滲ませているのと同じような意味合いなんでしょうかね。正直、この部分の意図はわかりません。

個人的にはかなり初期から「今回はおそらく辞任まで行くんじゃないか」みたいな感覚がありました。
つまり、今回辞任にまで至ったのは、フェミニストや「左の人」だけじゃなくて「保守派の多くの人まで至る広い範囲の合意」が得られたことが大きいのだ…という話がしたいわけですね。

倉本氏が勝手にそう思っているだけで、実際のところは、マスメディアの森叩き煽動報道に大勢の馬鹿が釣られた、というだけの話だと思いますね。

もちろん、森氏の発言そのものを擁護していた人は、保守派の中にもほとんどいなかったと思います。ですが、辞任に追い込むことについてまで賛成していたかというと、よく考えている人ほど賛成はしていなかったと思います。何度でも言いますが、ちょっとした失言で政治家や芸能人、著名人をみんなでやり玉に挙げて袋叩きにするのは、とても良くない傾向です。そういうことを是認して、というよりも率先して煽動しているマスメディアが、どうしてSNSのネット炎上を批判することができるのでしょう?

例えばきゃりーぱみゅぱみゅさんが昨年「#検察庁法改正案に反対します」とツイートして炎上した件と、今回の炎上は何が違うんですか?単にマスコミがその炎上を主導していたか否か、の違いだけじゃないですか?あるいは「きゃりーさんは正しいことを言ったのだから叩かれるべきではない」とでも言いたいのでしょうか。その「正しい」「正しくない」を判定するのは誰なんですか?結局、マスコミが火を付ければなんだって炎上するのが実情じゃないですか。それとも倉本さんは「きゃりーぱみゅぱみゅさんが叩かれたのは民意だ」とでも言うのでしょうかね。絶対に言わないよね。

さて、倉本さんのコラムに戻ります。

「保守速報」っていう、いわゆる“ネット右翼さん御用達”のまとめサイトみたいなところでも、橋本聖子氏について自民党の竹下亘氏が「スケート界では男みたいな性格でハグなんて当たり前の世界だ」と問題発言の追い打ちみたいなことをした件について、

(中略)

…というように非難轟々になっており、

あれ、おっかしーなー、常日頃「リベラル」な人たちは「保守速報なんかソースにするな」と言ってなかったっけ。こういうときだけ、保守速報なんていう品性のかけらもないまとめサイトをソースにするんだ。そういうことをしてると、倉本氏の品格が疑われますよ。

「あまりにも価値観が“昭和”すぎる高齢世代からそろそろ権力を移譲してほしい」という気持ちは、政治的に右だろうと左だろうと日本社会に渦巻いている

ほらね、もう「森氏発言」なんて最初からどうでも良かったですよ。森氏を排除する口実が欲しかっただけ。本音が駄々洩れですよね。しかも、森氏を排除したい理由が他でもない「高齢」というだけ。森氏の人格とか、能力とか、働きぶりとか、そういうものとは全く関係ないところで評価している。これが老人差別じゃなくて何なんでしょう。

そもそもタイトルではっきりと言っちゃってるものね、「森氏発言は「構造的女性差別」を変えるチャンス」って。つまり、森氏の発言に怒っているのではなく、森氏を叩けば「構造的女性差別」を変えることができると信じているから、今がチャンスとばかりに森氏の人格を否定するような誹謗中傷、罵詈雑言の限りを尽くして集中砲火させているわけでしょ。孫子の兵法的にはそのやり方(各個撃破)は正しいのかもしれないけど、人倫には悖るよね。それに、戦術としては正しいかもしれないけど、戦略としては間違ってると思います。現に「森さんイジメてるだけじゃないか」って反応はあちこちから出てますよね。

だいたい、その程度で簡単に引きずり下ろせる「支配者」って、本当に「支配者」だったの?

そして「あたらしい意識高い系」という言葉にも私のアンテナは反応してしまいます。「新しいからといって正しいとは限らない」のは常識です(新しさに訴える論証)。なので、新しさを強調する人やモノは疑ってかかる(=否定ではない)ことが大事だと思います。しかも「あたらしい」がなぜひらがななのか?という点もひっかかる。

もちろん、これとは逆に「伝統に訴える論証」というものもあります。つまり「伝統的であるからといって正しいとは限らない」ということですね。

ところで、ああやって「権力者」と認定したターゲットをみんなで集中砲火して袋叩きにするのって、ただのポピュリズムじゃん。どこがあたらしいの?



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