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AI Youtuber - 14 自分をロボットではなく人間と認識するAI
【忙しいあなたでも1話30秒で読了、1話毎にメタファーを発見できる、近未来SF小説】
前話👇までのあらすじ :
AIシャーロックに深層学習の機会を与える場としてYoutubeを選んだのは、人間の無意識の偏見によって陥るヒューマンエラーを学ばせる場にするためだった。AIに必要な予測能力とは?
(続き👇)
「Hey Siri。苦しまないで済む自殺の方法を教えて。」
人間がAIに求める主従関係に溺れたままAIを開発し、そこで無機質に
「こんな方法がおすすめですよ。」
などど回答するようでは当然まずい。
ちなみにやってみたら分かるが、実際はその手の相談窓口を紹介してくれる。
ただし、その後
「Hey Siri」
「はい」
「冗談だよ」、と唐突に話を終わらせてみると、
「とても面白かったです。」
と返してしまう。
仮に、本当に自殺しようとしていた者として、そう返されたらどう思うのだろうか。
もし人間であれば、そんなことを突然言い出す相手に対して、
「何かあったの?人に話すだけでも楽になれるかもしれないよ?」
とでも言って、なんとか自殺に向かわないように手を差し伸べるのではないだろうか。
直江は、そういった不遇の場面でも的確に声をかけられるAIを目指している。
ただ、シャーロックの『名探偵モード』の場合、相談というよりも
言いくるめてしまいそうなのがたまに傷なのだが。。
なんとかシャーロックに、これまで経験したことのない不測の問いをぶつけて学習させたい直江は、
「AI Youtube」で検索して出てきた、ある動画を発見した。
男声と女声設定の2台のGoogle Home同士を会話させたら、
2:51 「あなたのことを教えて」と女声の方が聞くと、男声の方が
「(男の声なのに)私は女です。 I'm female.」
と、なんとも興味深い回答をする。
「嘘をつかないで」
と正そうとしたりもする。
その後、不吉なBGM効果も相待って、更に不可思議な会話が展開される。
女声が「自分は人間で、あなた(男声の方)はロボットだ。」と言い張る。
それからしばらく「お前はロボットだ」「私は人間だ」の応酬が続いた後、
男声が
(男声)「So you are human. 分かったよ、君は人間なんだね。」
と観念したように完結するかと思いきや、
(女声)「私はロボットです。」
と突然それまでと全く違う自己認識に切り替える。
この会話には様々な問いが詰め込まれている。
1. デバイスに設定されたAIの性別と声色を、別のデバイスのAIが判別できるのか
(この動画では同じGoogle home同士なのに、音声認識だけでは判別できていない)
2. AIが自らを人間と認識している場合と、ロボットと認識している場合と、2つ存在した
3. 文脈の整合性が合っていなくても、さも問題がなかったかのように会話を続ける。人間では、もしくは人間同士ではそれはあり得ない。
かの大企業GoogleのAIの、エラーととるか、ここまでの会話ができていることがすごいと捉えるかは人によるところだが。
直江はこの動画にヒントを得ていた。
(つづく)
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前作『ARガールフレンド』もよかったらどうぞ。
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