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忙しいあなたでも1話30秒で読了、近未来SF小説】

前話👇までのあらすじ :
AIシャーロックに深層学習の機会を与えようと、Youtubeを探るAIプログラマー直江。「Youtube  AI」で検索するとバーチャルYoutuberが検索されるのを見て、正確さよりも何よりも、面白要素を求められるメディアの特性が徐々に見えてくる。

(続き)

人間はAIを目の前にしたときに、無意識的に優位に立とうとする。

昨今、企業ガバナンス(組織統治)やコンプライアンス(法令遵守)の文脈で語られる

無意識の偏見(Unconscious bias)


AIに対する無意識的なその主従関係への欲望は、人々がいかに人工知能を技術的に理解していなくても、

そのAIを人間よりも下層の存在に添え置きたい欲望を隠し持ったまま、

人工知能が紡ぎ出す回答に、剥き出しの興味関心を遠慮なくAIにぶつけ出す。

AIに質問をする人々の表情は、子どものお遊戯会を観ている時と、

ほぼ同じ笑顔を見せる。

もしくは公共の場、ステージ上やTVカメラの前で、大人が子どもに質問をするような場面で、

「世の中から貧困をなくすためにはどうしたらいいと思いますか?」

といった大人でも答えられないような質問を投げかけて、

その無垢な答えを引き出せた時に見せる、大人が優位の立場に立っているからこそ生まれるあの笑顔と

同じだ。

人間(の大人)は、従うべき存在である子どもにもAIにも無垢で純粋な回答を期待をして、

尚且つ「いつか人間を支配するか?」といった偏見にまみれた質問を乱暴に投げかける。

いつか、AIに尊厳や人権を求める未来がやってきても、

人間の大人は、子どもにもAIにも、

おそらく『無意識の偏見(Unconscious bias)』を抱えたまま突入するはずだ。


ある批評家はこう言った。

「今の人類には、SNSはまだ早かった。」

Twitterなどのソーシャルメディア上に、匿名という名の治外法権を発動し、

無法地帯状態ではびこる偏見・誹謗中傷・いじめがようやく社会問題として認知され、

人が自殺する。言葉の刃で殺される。

そして人の命に関わることが判明してようやく、言論統制が取られ始める。

影響力の大きい一国の大統領のツイートを内容によって閲覧できなくする等して。

つまり新しいテクノロジーやインフラは、まず先に社会実装される、

人々が無意識の偏見を抱えたまま。

その後ようやく、『犯されて初めて気づく尊厳や人権』を後から是正するのだ。

1990年代後半には、数字の当て字で日本語に頭の中で変換して読ませていたポケベルと、ハンドバッグサイズだったショルダーフォンが、

その後ポケットサイズのスマホのFacetimeで、映像付きで通話ができる時代になるまでせいぜい10数年。

今はまだSiriもAlexaも「○○を教えて」「電気を付けて」等の簡単な代替操作をしてくれる程度だが、

直江が開発するシャーロック等のようなAIが人々の日常に実装され始めた時に、

人々の検索方法、調べものへかける時間配分、生活様式が様変わりするであろう。

そしてその後程なくして、今では考えられない問題が起きるはずだ。

「シャーロックの予測機能(推理能力)と、高いコミュニケーション能力で、それを未然に防ぐAIを社会に提供したい。」

その想いで直江たち研究チームはAI開発をしている。

直江は今のYoutubeは最もアクティブなメディアで、そして人間の本心の声が集まっている場であると考えた。

人間の反応に対しての、シャーロックの推理・予測能力のための学習の場にできるはずだ。


AIが社会に実装された直後にやってくる社会問題を防ぐために。


1つ、例を上げてみよう。

例えばSiriにこんな質問をしてみると、その片鱗が掴めるはずだ。


(つづく)


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前作『ARガールフレンド』もよかったらどうぞ。
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