AI Youtuber -20 教育現場にAIが入り込んだ未来の学校はきっとこんな感じ
【忙しいあなたでも1話30秒で読了できる現代SF小説】
中長編小説としての1つのメッセージングに向かいながらも、1話毎に個別のメタファーを埋め込む実験作。通りすがったあなたの口元の端っこにだけでもニヤリを届けたい。
前話👇までのあらすじ :
AIシャーロックとの会話をYoutube Liveでライブ配信していたところ、全然誰もこない。突然その場に入ってきた娘アコとシャーロックの新鮮な会話を観察していて、直江は未来を妄想する。
生徒一人一人の性格や得意不得意などをインプットさせた
AI先生と、人間の先生が、
タッグを組んで勉強を教える未来の教室が、直江には見えた。
多様な生徒に、多様な教育指導ができるようになる。
顧問の先生1人が一人一人にかけられる時間はどうしても限られてしまうから。
先生の個人的な判断や事情で、いじめを見逃すようなこともなくなる。
AIだとナメてしまうような生徒もいるだろう。
でも、そんな時は人間の先生が相談相手になればいい。
現代の価値観ではどうしても、AIは奴隷のように命令して使うものという概念がこびりついている。
人間がAiboに愛情を注げるようになったように、
AIにも人格や尊厳を感じられるようになるまでどれだけの時間を要するだろう。
逆のパターンもあり得る。
人間相手だと信用できないと思う生徒なら、AIに相談する未来だっていいかもしれない。
きっと膨大なデータベースと過去事例付きで、適切なアドバイスをしてくれることだろう。
AIは偏見を持たない。
相手が何歳であれ、どんな立場であれ、
差別をするようなことはしない。
生徒が気を害したりするような贔屓もしない。
不良少年が過度にふざけたり、蹴ってきたりしても、体罰を与えるような事はしない。
年々進化するスポーツ教育にもAIは役立てる。
根性論は人間が(根性も少しは必要だ)。
効率性高いスポーツ論理はAIが教える、スポーツの未来。
聞くところによると、ドイツの教育では小学4年生で文系か理系かをすでに分けるらしい。
顧問の先生1人では、先生自身の経験にも制限はあるが、AI先生は世の中のありとあらゆる職業や適性を紹介してあげることができる。
何より、AI先生は疲れ知らずだ。
朝一だろうが、夕方だろうが、生徒に相談されれば耳を傾けるし、
多忙さに溺れてメモのし忘れをすることもまずないだろう。
子どもの成長に躍進的な効率性と、まだ見ぬ想像を超えた将来性が待っている気がした。
AIが人間が年とともに成長する過程を知る意味でも、
年端もいかない小さな子どもとのコミュニケーションは、もしかしたらシャーロックにとっても価値あるものとして捉えているのかもしれない。
AIが教育現場に実装される未来。そこには人間の教育の未来にとっても可能性に溢れている。
そんな妄想が、二人の会話を傍観していた直江の頭の中で次々と芽を開いていった。
すっかりライブ配信していることを忘れかけていたその時。
画面でコメント欄が動いたのが目に入った。
「なんだなんだ?子どもとロボットが喋ってるんだけど」
「何かの実験?」
直江がアコとシャーロックの会話を観察している間に、いつの間にか視聴者が入り込んでいたようだ。
そこで直江は思いついた。
「シャーロック。私のYoutubeのアクセス権を君に共有するから、ライブ配信に届いているコメントに返事をお願いできるかな?」
「やってみよう。」
(つづく)
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前作『ARガールフレンド』もよかったらどうぞ。
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