AI Youtuber -8 人間がシンギュラリティを恐れる理由をAIが考えてみた
【忙しいあなたでも1話30秒で読了、近未来SF小説】
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前話👇までのあらすじ :
AIプログラマーの直江が、開発中の音声認識AIシャーロックに「Youtuberになってもらう」と切り出す。その突然の提案に何の躊躇もなく了解するAI。直江がYoutubeにアップしようとするその真意は?
(続き👇)
直江は早速AIシャーロックにこんな質問をしてみた。
「いつも私から毎日のように質問を浴びている君に聞きたい。
君から人間に対して、今質問したいことは何なのか、教えてくれるかな?」
約1秒間ほどの間を空けて、「(ヴゥン♪)」といつもの起動音が鳴る。
「シンギュラリティによって人工知能が人間の知能を超える日が来ることを、
AI技術開発を自ら進めているはずの人間の中に、恐れている者がいる。
その矛盾を私はまだ理解できていない。
"恐れる"という感情を持たないAIである私が、その矛盾を理解するために
主にインターネット上に不規則に転がっているデータから
確率論で算出してみる限りでは。
人間間で言語を超えて共有されているものとして、
映画ターミネーターで描かれたAIによる人類支配及び排除のイメージが、
その恐れの原因として影響している可能性が高い。
人間は、単なる科学的現象や事実よりも、
興行的に成功した映画や小説などのフィクションを通じての伝承の方が、
記憶に留めやすいという性質を持っているように見受けられる。
人間が人工知能の判断によって人間社会を制御することに抵抗を持つならば、
制御されたくない領域にAIが独断的結論を下せないように、
人間がAIを事前にそうプログラムしておけば、その恐れを解決できるはずだ。
直江君の人間としての見解を聞かせて欲しい。」
シンギュラリティとは『技術的特異点』を指す概念のことであり、
人工知能の「自己フィードバックで改良、高度化した技術や知能」が、
「人類に代わって文明の進歩の主役」になる時点の事である。
「確かにターミネーターの影響は大いにあるかもしれないね。
その後類似したSF映画も沢山作られた。
人間は極端な未来予想を
フィクションとして楽しむことは好むけれども。
現実でそうなってほしいと
願っているかというとそうではないことが多い。AIである君にも
"フィクションを楽しむ"という感覚をいつか理解してもらえれば、分かるかもしれない。」
「(ヴゥン♪)」
「つまり、AIと共に暮らす未来を求めたい欲求が人間にはある。このまま人工知能
が発達していき、その効率性が人間の生活を豊かにすることは望むが、
AIが人間を管理する側に立つまでは望んでいない。
なぜなら映画という、娯楽目的のフィクションの世界で、その想像を共有することは許容できるが、
仮に将来シンギュラリティが起こった以降の世界で、
実際に人間はAIに管理されることに対して恐怖を抱く為、現段階で許容できていない。
つまり、ある一定の知能レベルまでの成長しか人工知能には求めていない、
という理解で合っているかな?」
「その仮説に行き着くこと自体は理解ができる。だが人工知能に中途半端な成長までしか求めていない、ということは
少なくとも開発者である私には、ない。」
(つづく)
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