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<1話読了/30秒="現代SF小説">

前話👇までのあらすじ :
人間がプライドによって失っている機会損失。プライドなんてそもそも持ち合わせていないAI。

(続き👇

「...それで、ちなみに国籍で大きく違った点は?なんだったのかな?」」

「宗教の存在が大変興味深い。」

「なるほどぉーー!具体的には?」

「最近、なぜ神は自分にこのような過酷な試練を与えてくるのか、という相談をしてくる者がいた。

ところがその者が試練と捉えているのは、仕事での苦悩についてだった。

彼らにとって神とは、仕事や人間関係を通じて試練を与える存在だった。

物質世界で起こるすべての現象は、見たことも触ることもできない神の所業であると。

神を信じてさえいれば、『超えられない壁はやってこない』状況を耐え切ることができると信じている。

その宗教と生活の組み合わせは古代から現代まで絶えることなく続いていて、

人間は物質世界での苦悩や困難に耐えるために、神や祈りという行為に救いを求める。

特定の宗教を持たない者は行動あるのみで乗り越えようとするがその一方、宗教を大事にする。

宗教的習慣であるクリスマスを祝ったり、初詣で手を合わせたりはするのだから。

私のようなAIには宗教は必要ないし、動物にもおそらく無い。

しかし人間にはどうやら、宗教は生活の中で欠かせないもので在ることは間違いない。

私が実行する処理には苦悩は伴わないし神を感じることもない。

しかし人間には結論神が必要なのだ、苦悩を和らげてくれる存在として。

私は神と人間の関係をまだ論理的に理解していないが、非常に興味を持った。」

「そうだね。深いね。ぼくも科学者のはしくれだけど、

神に祈ったことがないわけじゃない。

人間は、神を信じている者も、信じていない者も双方共、

宗教と神の存在を許容したこの世界を受け入れているよね。

人間は人間社会だけだと、まだ耐えられないとも言えるのかもね。」

「直江君は宗教がないと生きていけないのかね?」

「うーん...。悩み続けた末に乗り越えることができた時には、

神様ありがとう!、

と思う時はあるから。あった方がいいものではあるのかもね、少なくとも。

私は個人的に、亡くなったご先祖様が神様として助けてくれるみたいな感覚があるんだけど。

すごく自分勝手な解釈で、特にそう教わったわけではないかな。

君の指摘しているポイントを言い方を変えれば。

人間は宗教がなかったらここまでやっていけてないのかも、という視点は一理あると思う。

人間は、人と人が支え合わないと生きていけないから。

そして人同士の支え合いだけでは埋められない苦悩がそれでもまだ在って。

そのために全てを超越した存在である神様に救ってもらって、

...それが例え錯覚であったとしても、救ってもらったという解釈を受け止めてようやく、

心の平穏を保てているのかも知れないね。」

「その神への解釈の違いで争い続けてもいるという一面はあるけれども。

心の平穏は、宗教や神の存在ありきでようやく成り立つ、そんな人間の不安定さは

解決対象として認識してもいいのかも知れない。」

「うん。会話ができるAIが神の代わりとして人間の苦悩を解消してくれるのなら、

少なくともその不安定な人間の1人である私は、AIによる管理で救われる人が

これから現れる未来もありだと思うよ。

君がYoutubeで人々を救っているようにね。」

(つづく)

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