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深夜に、スウェーデンのスーパーの地下で働く夢

スウェーデンのとある地方都市の郊外に、一軒の大型スーパーがある。駐車場は驚くほど広く、夜になると青みがかった照明が灯る。照明が青いのか、外気の影響なのか分からない。私はこの店で、夜間勤務として働いている。私はなぜか女性になっている。階段を下った地下には広く、冷たく、真っ暗な貯蔵庫がある。私はここで小さな灯りを頼りに、納品されたたくさんの食料品を夜の間じゅう定められた位置に陳列するのだ。

ここで作業していると、ときおり違和感がある。どこからか風が吹いてきて、土の匂いがしてくる。かさかさ葉っぱの音もしてきて、外にいるのかと錯覚してしまうほどだ。するときまって幽霊が出てくる。それも当たり前のように出てきて「そこのビールの箱が出っ張ってて通れないのよね」などと話しかけてきたりする。中にはゾンビみたいな振る舞いのやつもいるが、襲ってくることはあまりない。それでもたまに襲ってはくるが向こうも仕事半分といった感じで、こちらから顔をしかめて威嚇するとすぐにヘコんで去ってしまう。

ワインを保管しておく空間は独立していて狭く、その細い通路に入るといつも老婆や小人や、手のひらサイズの猫の霊までぞろぞろ出てきて集まってくる。猫の霊に向かって話しかけると、自分の口から黒い砂か霧のようなものが出てきて猫を取り巻く。他の幽霊も一緒になって話しかけるが、幽霊の口からも同じように黒い砂が出てきて猫を取り巻く。猫の霊はその砂のにおいを嗅いでごろごろ寝転がる。年下の女性の同僚が小さなお菓子の缶を持ってくると、猫の霊はすぐさま缶の中に飛び込む。黒い砂はやがて缶を満たし、そこは彼(女)の寝床になる。すると自分も同僚も、幽霊たちまで猫の眠りを邪魔しないように声をひそめ、寝返りを打つのを見守る。

そうして、至ってのんきな空気のまま夜が更けていく。私はこの仕事場が好きだ。黒い砂の中で眠り続けた猫の霊はやがて大きくなり、もっと攻撃的で邪悪な存在に変貌するかもしれないが、そうなってしまえばそれも仕方がないという雰囲気をみんなと共有している感じがする。考えてみると、缶を持ってきた同僚の彼女も幽霊だったような気がする。

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