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Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew

          2023 Winter & Christmas Selection           (12月1日~12月25日)

橋本徹(SUBURBIA)を始めとする

「usen for Cafe Apres-midi」の選曲家17人が

それぞれのセレクトした音楽への思いを綴る

「Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew」


詳しい放送内容はこちら

D-03 usen for Cafe Apres-midi

http://music.usen.com/channel/d03/




橋本徹(「usen for Cafe Apres-midi」プロデューサー) Toru Hashimoto

コロナ前までは、12月ならではのロマンティックな気分や装いに合わせて、華やいだ街並みを甘美に祝福するような選曲を心がけていたウィンター&クリスマス・セレクション。コロナ禍以降はもう少し雰囲気を落ちつけて、一年で最も心暖まりたくなる季節を親密な空気感で充たし、そんな心象風景に寄り添いながら素敵な音楽で心に火が灯るようなひとときを彩ることができたらと希い、セレクトに励んでいます。今年もささやかな幸せを感じさせてくれるメロウ&グルーヴィーで心地よい楽曲を中心に、計34時間分を新たに選曲しました。
月〜日のトワイライトタイムの特集も、「usen for Cafe Apres-midi」の22年間の歴史の中で定番になってきたクリスマス・ソングに、今年リリース分のお気に入りを加えた計100曲以上をシャッフル・プレイ放送で。その他の時間帯は、過去最高と思うくらい大充実だったニュー・アライヴァルの恩恵を受けて、その95%以上をこの秋の新譜で構成しています。
アルバム単位でよく聴いた作品のトップ3を挙げるなら、前クールに引き続いてのSamphaとLaurel Haloに、リリースされたばかりのThandi Ntuli with Carlos Niñoでしょうか(そして前回推薦したCleo Solの『Heaven』と『Gold』のアナログLP到着を心から待ち遠しく思っています)。セレクションでとりわけ重宝した48作(いずれも3曲以上をエントリー)のジャケットを、いつものように掲載しておきますので、ぜひその中身の素晴らしさにも触れてもらえたら嬉しいです。
それでは皆さん、メリー・クリスマス!

V.A.『Cafe Apres-midi Christmas』
V.A.『Free Soul Christmas』
Sampha『Lahai』
Laurel Halo『Atlas』
Thandi Ntuli with Carlos Niño『Rainbow Revisited』
Actress『LXXXIII』
Ana Frango Elétrico『Me Chama De Gato Que Eu Sou Sua』
Ana Gabriela『Acústico Ana Gabriela』
Ancient Infinity Orchestra『River Of Light』
Bruce Brubaker『Eno Piano』
Chris Brain『Steady Away』
Cordelia『Caramel』
corner club『in the rearview mirror』
Dave Easley『Ballads』
douniah『A Lot, Not Too Much』
El Búho『Strata』
Fabiano Do Nascimento『Mundo Solo』
Felix Ames『JENA』
Frank Sativa『brownboy』
Frankie Fame『Frame』
Gas Lab『Vision』
Germa Adan『Borderlines & Bloodlines』
Gotts Street Park『On The Inside』
Green-House『A Host For All Kinds Of Life』
Jamila Woods『Water Made Us』
Jamma-Dee『Perceptions』
John Roseboro『Four Cantos』
Joseph Shabason『Welcome To Hell』
La Perilla『La Perilla Y La Caja De Los Objetos Perdidos』
Laura Misch『Sample The Sky』
Lizzie Berchie『Am I An Adult Yet?』
Marcelo Costa『Vol.2』
Max In The World & Kroba『Excursions』
Mbuso Khoza『Ifa Lomkhono』
Miguel Atwood-Ferguson『Les Jardins Mystiques Vol​.​1』
MUNYA『Jardin』
Niecy Blues『Exit Simulation』
Nitai Hershkovits『Call On The Old Wise』
Resavoir『Resavoir』
Say She She『Silver』
Stacey Kent『Summer Me, Winter Me』
Sufjan Stevens『Javelin』
Tara Clerkin Trio『On The Turning Ground』
Tex Crick『Sweet Dreamin'』
Thando Zide『UMvulo』
Thomas Bartlett『Standards, Vol.1』
unkle G (Gavsborg)『An Honest Meal』
Wax Machine『The Sky Unfurls, The Dance Goes On』

Dinner-time 土曜日22:00~24:00

Cafe Apres-minuit 日曜日0:00~10:00

Brunch-time 月曜日10:00~12:00

Brunch-time 火曜日10:00~12:00

Brunch-time 水曜日10:00~12:00

Brunch-time 木曜日10:00~12:00

特集 月曜日16:00~18:00

特集 火曜日16:00~18:00

特集 水曜日16:00~18:00

特集 木曜日16:00~18:00

特集 金曜日16:00~18:00

特集 土曜日16:00~18:00

特集 日曜日16:00~18:00




本多義明(「usen for Cafe Apres-midi」ディレクター) Yoshiaki Honda

毎年クリスマス・セレクションはこれまでに知っているクリスマス・ナンバーをフル稼働で選曲している。
今回ピックアップしたいのはGinger Rootの「What Christmas Means To Me」。スティーヴィー・ワンダーはじめ多くのアーティストがカヴァーしたクリスマス・ソングだが、このヴァージョンもGabriel Gundackerをフィーチャーしたグルーヴィーなナイス・カヴァー。

Ginger Root feat. Gabriel Gundacker「What Christmas Means To Me」

Lunch-time~Tea-time 木曜日12:00~16:00

Lunch-time~Tea-time 金曜日12:00~16:00

Lunch-time~Tea-time 土曜日12:00~16:00

Lunch-time~Tea-time 日曜日12:00~16:00




中村智昭 Tomoaki Nakamura

坂本龍一の作品へも多大な貢献を果たしたことで知られるブラジリアン・チェリスト、ジャキス・モレレンバウムの娘──ドラ・モレレンバウム。配信リリースから2年後の夏の終わりにアナログ化された彼女のEP冒頭に収録されている曲名は「Japão(日本)」。ポルトガル語で穏やかに歌われるそのメロディーの一部には、「Merry Christmas, Mr. Lawrence」が顔を覗かせる。一聴してそれは、坂本龍一が天国へ向かった年のホリデイ・シーズンに相応しいと思った。メリー・クリスマス、誇らしき偉大な音楽家よ。安らかに。

追伸:彼女のインスタグラムには、幼き日に坂本龍一に抱えられピアノに向かう写真がアップされていました。

Dora Morelenbaum『Vento de Beirada』

Dinner-time 月曜日18:00~24:00

Cafe Apres-minuit 火曜日0:00~2:00




添田和幸 Kazuyuki Soeta

今年も新旧クリスマス・ソングをちりばめて、心に火が灯るような心地よい空間をこころがけました。新譜では特にNorah JonesとLaufeyによるデュエット・シングルが嬉しかったですね。7インチが届くのが楽しみです。

Norah Jones & Laufey『Christmas With You』
Samara Joy『A Joyful Holiday』
Gregory Porter『Christmas Wish』
Anthony Lazaro & R. V. A『A Minute To Midnight』
Woods『Perennial』
Oriane Lacaille『iViV』
Meernaa『So Far So Good』
MUNYA『Jardin』
PawPaw Rod『This Must Be A PawPaw Rod』
Sezairi『Self Soothing』
Lizzie Berchie『Am I An Adult Yet?』
Sajaa.『Blurred Minds & Perspectives.』
Alesia Lani『Self Titled』
Vagabon『Sorry I Haven't Called』
Green-House『A Host For All Kinds Of Life』
Salamanda『In Parallel』
LEISURE『Leisurevision』
Cleo Sol『Heaven』
CARRTOONS『Saturday Night』
Terrace Martin & Alex Isley『I Left My Heart In Ladera』
Coco O.『Sharing Is Caring』
Penelope Antena『James & June』
Niecy Blues『Exit Simulation』
Dayo Bello『Outside』
Boozoo Bajou『Finistère』
Web Web x Max Herre『WEB MAX II』
Thandi Ntuli with Carlos Niño『Rainbow Revisited』
Tara Clerkin Trio『On The Turning Ground』
J and the woolen stars『Personal Problems​.​.​.』
Gregg Kowalsky『Eso Es』
Polygonia, Popp『Candid』
Tristan Allen『Tin Iso And The Dawn』

Dinner-time 火曜日18:00~24:00

Cafe Apres-minuit 水曜日0:00~2:00




中上修作 Shusaku Nakagami

コロナ前のクリスマス、そしてコロナ明けの現在とではクリスマスについての感じ方は変わったのでしょうか。

何事についても考えすぎで忖度が過ぎる50の齢を満たしてしまった男性。すくなくともクリスチャンではない私は、クリスマスを宗教上の重大なる行事として捉えることもなく、素直に楽しめばよい「聖夜」を前についそんなことが頭をよぎるのです。

平穏な時間が予期せぬ事由でとぎれたことは、誰しも先の見えない不安と恐怖をおぼえたことでしょう。4年もの期間「人になるべく会わないようにする」という前代未聞の通達が世界中にわたって流布したことが、人間にどれほどの影響をもたらすのかは専門家におまかせしますが、コロナを経験したうちのひとりとして自覚していることがあります。

それは「あの時間をもう一度」という、美化された記憶に紐づいた概念についてです。ネガティヴにも捉えられがちな、ある意味で危険なワードですが、実はこの概念こそ人間にしか持つことができないものであり、脳のすぐれた一面を知る特権的な「機能」なのです。

つまり本能的にイヤな記憶や経験は1分でも早く忘れるようにできており、経験したネガティヴな記憶を早く忘れて(それでも同じ失敗を繰り返しながら)次のステージへ向かう(=進化する)人間のために獲得した、とても優れた機能であることです。

つまりコロナを経験したことで「あの時間をもう一度」という希求を、しばらくはカレンダー上のイヴェントとしてでしか存在し得なかった聖夜を、ふたたび血肉をともなった形で手元に引き寄せることができると信じています。そして大事な人と過ごすライフタイムには、僕たちが選曲した音楽がそばにいてくれると嬉しいのだけれど。魔法のような時間って、1年365日を通してもなかなかありませんから。

それでは皆さま、よいクリスマスを!

Ruslan Sirota『A Lifetime Away』

Dinner-time 水曜日18:00~24:00

Cafe Apres-minuit 木曜日0:00~2:00




高木慶太 Keita Takagi

「usen for Cafe Apres-midi」チャンネルのメンバーもこぞって紹介するであろう1枚を素直にリコメンド。
クリスマス・シーズンの新ヒロインふたりからのサプライズ・ギフトといった趣でしょうか。今年初来日を果たしたと思ったら、年末にはノラ・ジョーンズの隣になんだかごく自然に収まっているLaufey。そんな可憐なシンデレラ・ストーリーにも乾杯と拍手を。

Norah Jones & Laufey『Christmas With You』

Dinner-time 木曜日18:00~24:00

Cafe Apres-minuit 金曜日0:00~2:00




FAT MASA

今年も魅力的なクリスマス・アルバムがいくつかございますが、中でも配信限定ですが、ロバート・グラスパーのアルバムがとても素晴らしかったです。
ちょうど10年前に札幌で観たロバート・グラスパーのライヴが最高だったことを思い出しつつ、アナログ盤のリリースを願います!

Robert Glasper『In December』

Dinner-time 金曜日18:00~22:00




三谷昌平 Shohei Mitani

この12月に来日するロサンゼルス出身のシンガー・ソングライター、ジョーイ・ドーシックが昨年クリスマス前にリリースしたシングル。TVの子供番組『Mister Roger’s Neighborhood』の制作者として知られるフレッド・ロジャースが手掛けた曲のカヴァーで、「私が好きなのはあなたです」と繰り返し歌われる歌詞がなんともロマンティック。ぜひこの時期、皆様に聴いていただきたい一曲です。
皆様、素敵なクリスマス・シーズンをお過ごしください!

Joey Dosik「It’s You I Like」

Dinner-time 金曜日18:00~22:00




渡辺裕介 Yusuke Watanabe

毎年のことながら、昨年のクリスマス選曲終了と同時に今年のクリスマス選曲ははじまります。
2023年は久々幼なじみに出逢って長話できる機会がたくさんあり、学生時代の頃を思い出す脳内。
当時、部活サッカー以外は、片想いの子はいるものの、それ以上に独り黙々とイギリス・インディー・ロックに恋こがれていたので、クリスマスも毎年インディー・ロンリー・クリスマスでした。
今年は選曲リストを見渡すと ロンリー・クリスマスという曲名が多いのが、笑えません……。
ティーンエイジを振り返りながら、レコードに針を落としあの頃の冬の切ない青春讃歌を口ずさみながら、テーブルの上に置いてあるザ・ スミスとザ・ラーズの7インチ。
2枚並んでたらクリスマスみたいなジャケットに見えましたので、この青春讃歌をもとにクリスマス選曲を完成させました。
甘酸っぱい青春クリスマスをお楽しみください。

The Smiths「Please Please Please Let Me Get What I Want」
The La's「There She Goes」
The Beautiful South「A Little Time」
Barbara Dennerlein『Christmas Soul』

Dinner-time 金曜日22:00~24:00

Cafe Apres-minuit 土曜日0:00~2:00




富永珠梨 Juri Tominaga

2023 Winter & Christmas Selectionから、ニューヨーク・ブロンクス出身のジャズ歌手、サマラ・ジョイが2023年10月にリリースしたホリデイEP『A Joyful Holiday』をご紹介いたします。2023年のグラミー賞で最優秀新人賞と最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバムの2部門を受賞した彼女は、弱冠23歳にしてジャズ・ヴォーカルの女王サラ・ヴォーンを思わせる、圧倒的な歌唱力と表現力を持ち合わせた、素晴らしいジャズ・シンガーです。彼女のヴェルヴェット・ヴォイスで歌われるクリスマス・ソングは、どの楽曲も夢のように美しく、聴き終える頃には身も心もすっかりとろけてしまいます。今回セレクトした「Have Yourself A Merry Little Christmas」は、まろやかに紡がれるエレクトリック・ギターの音色と、控えめながらも小気味よい上質なグルーヴを醸し出すリズム・セクションが、サマラの歌声をより艶やかに伸びやかに響かせた、芳香な余韻漂うオーセンティックな一曲です。アルバム全体を通して、古きよきクリスマスの風景が心に浮かぶ、柔らかな空気に包まれた心温まる作品に仕上がっています。ぜひチェックしてみてくださいね。

Have yourself a merry little Christmas,
Let your heart be light
From now on,
our troubles will be out of sight

ささやかでも幸せなクリスマスを祝おう
心にあかりを灯して
この先きっと
悩みごとなんて見えなくなるから

メリー・クリスマス!
みなさま、素敵なクリスマスをお過ごしください!

Samara Joy『A Joyful Holiday』

Brunch-time 土曜日10:00~12:00




小林恭 Takashi Kobayashi

今年も数多くのクリスマス・ソングや、このシーズンにマッチする素敵なナンバーを揃えました。
今年のオススメは、1993年に発表されたレゲエのミュージシャンによる『Christmas Vibes』から、Charley Fresh「Happy Christmas Rude Boy」とAlton Ellis「Praise Jah It's Christmas」の2曲をセレクトしました。
僕がレゲエ・クリスマスと聞いて、すぐに思い出すのは、1985年の佐野元春の「CHRISTMAS TIME IN BLUE -聖なる夜に口笛吹いて-」です。
当時はクリスマスとレゲエはあまり結びつかないとピンと来なかったのですが、最近ではNatsu Summerなどレゲエとクリスマスを結びつけた曲も増えてきて、今回セレクトした2曲も新鮮に聞こえました。

世界が平和になって、誰もが穏やかな雰囲気で暖かく楽しいひとときを迎えられたらと、祈るように選曲していますので、楽しんでもらえればとても嬉しいです。

V.A.『Christmas Vibes』
Leo Takami『Next Door』
Laurel Halo『Atlas』
Thandi Ntuli with Carlos Niño『Rainbow Revisited』

Dinner-time 土曜日18:00~22:00




ヒロチカーノ hirochikano

今年の12月24日クリスマス・イヴのブランチは、ちょうど私が選曲を担当する日曜日ということもあって、ここ数年のブランチ選曲の中で出会ったこの季節にかけたいとっておきのナンバーから、例年よりもクリスマス色濃いめで選曲しました。そんな中から、今年のお気に入りの一曲としてオープニングに選んだのは、ブランチ選曲ではお馴染みのユニットThe Bird And The Beeのシングル「Christmas Without The Queen」。ジャケットのセンスがそのまま音で表現されたかのようなモダンなエレクトロ・ポップ&コーラスが、クリスマス・ムード溢れる街の空気を、よりいっそう煌びやかに彩ってくれることでしょう。

The Bird And The Bee「Christmas Without The Queen」

Brunch-time 日曜日10:00~12:00




吉本宏 Hiroshi Yoshimoto

クリスマス・タイム・イズ・ヒア! The Wildwoodsのトリオの美しいコーラス・ワークは、ソフト・ロックやフォーク、ジャズの色彩に包まれて聖夜に広がる。レコードのスクラッチ・ノイズ、温かなアコースティック・ギター、ふくよかなウッド・ベース、哀愁を誘うヴァイオリンやマンドリンが、コーラスに寄り添ってひときわ幻想的に響く。ドリーミーな2023年のクリスマスを。

The Wildwoods「Christmas Time Is Here」

Dinner-time 日曜日18:00~22:00




高橋孝治 Koji Takahashi

今年は11月に入っても異例の暑さが続いていたので、秋をすっ飛ばして夏からいきなり冬に突入した感はありますが、クリスマスの季節がやってきました。長かったコロナの呪縛から解放され、今年はいろいろなイヴェントが従来通りの形で開催されましたが、大晦日前の最大のイヴェントであるクリスマスもきっと素敵なものになることでしょう。そして今年の12月24日のクリスマス・イヴは自分が担当する日曜日ということなので、22時からのディナータイム選曲は、自分のクリスマス選曲史上いちばん煌びやかな選曲にしようと心がけて制作しました。
まずはノルウェイのシンガー・ソングライター、Sigridのクリスマス・ソング「Home To You (This Christmas)」のインストゥルメンタル・ヴァージョンをイントロに、ジョス・ストーンのクリスマス・アルバム『Merry Christmas, Love』収録「What Christmas Means To Me」をピックアップしてスタート。ジョス・ストーンと言えばヤング・ホルト・アンリミテッドの「Soulful Strut」をサンプリングした「Don't Cha Wanna Ride」が大好きなんですが、この作品がリリースされたのが20年近く前の2004年なんですね……。ホント時の流れの早いこと、早いこと……。他にはJohn Legend「You Deserve It All」、Pet Shop Boys「It Doesn't Often Snow At Christmas」、Alessia Cara「Make It To Christmas」、Ne-Yo「I Want To Come Home For Christmas」といったメジャー・アーティストの作品や、インディー勢のClouds And Thorns「Deck The Halls」やTennis「Holiday Road」にCourteous Thief「Mountains And Sea」などのクリスマス・ソングをセレクトしています。
ディナータイム後半は、まずABBAの40年ぶりにリリースされたアルバム『Voyage』収録曲で、グループとして初となるクリスマス・ソングの「Little Things」をセレクトしました。この作品から流れるオルゴールやベルの音に重なる子どもの合唱が、清楚で煌びやかに街を彩ることでしょう。そしてこの作品からザ・ポーグスの「Fairytale Of New York」に続く流れはかなりお気に入りなのですが、さらにLeona LewisとNe-Yoの「Kiss Me It's Christmas」に繋げたことで煌びやか度が増していると思います。ディナータイム後半もJamie Cullum「Sleigh Ride」や、Gary Barlowと Sheridan Smithの「How Christmas Is Supposed To Be」、Mabel「Loneliest Time Of Year」、Jimmy FallonとDolly Parton「Almost Too Early For Christmas」、さらにはTaylor Swift「‘Tis The Damn Season」といった具合にメジャー勢が大活躍するセレクションですが、最後に内なるメッセージを秘めてジョン・レノンと小野洋子の「Happy Xmas (War Is Over)」をセレクトしました(もちろんRufus Wainwright「WWIII」も)。
ミッドナイトからの選曲は予告通り、今年の7月に亡くなったシネイド・オコナーの作品をいろいろと取り混ぜてクリスマス選曲を構成してみました。ピックアップした作品は冒頭に配した「Silent Night」をはじめ、1978年のミュージカル『エヴィータ』の中で歌われて以来多くのアーティストにカヴァーされている珠玉の作品「Don't Cry For Me Argentina」、ピーター・ゲイブリエルへの想いを綴ったと言われている「This Is A Rebel Song」、テリー・ホールとの共演曲「All Kinds Of Everything」、1997年の名作シングル「Gospel Oak」収録曲「This Is To Mother You」、ABBAの名曲カヴァー「Chiquitita」、そして自身の中絶経験を乗り越え、児童虐待の啓発のために書き上げた「My Special Child」です。彼女の美しい歌声が聖なる夜に崇高に響き渡り、ロマンティックの中にちょっぴり切ない感情をもたらすと思います。そしてスティーヴィー・ワンダーの「Christmas Time」や、英フォーク界の偉大なアーティスト、バーバラ・ディクソンの「Winter Song」、アニー・レノックスの「See Amid The Winter's Snow」と「In The Bleak Midwinter」なども、心の柔らかい部分をキュッと締めつけてくれると思います。
さて、最後にいつものように映画にまつわるお話をひとつ。サブスクリプションとの差別化を図るため、今年もいろいろとマイナーで貴重な作品がブルーレイ化され、コアな映画ファンを楽しませてくれました。その中には「珠玉のアメリカン・ニューシネマ・セレクション」と題したシリーズがあり、ハル・アシュビー監督の『ウディ・ガスリー/わが心のふるさと』もブルーレイ化されました。この作品はDVDでは所有していましたが、高画質で鑑賞したく、購入して久しぶりに観賞しました。内容はもちろんですが、やはり高画質映像は素晴らしいですね。しかもこの作品はここ日本ではハル・アシュビー監督作品としてはそれほど人気がないのかなと思っていましたが、Amazonのカスタマー・レヴューなどを見ると多くのファンがいるようで嬉しかったです。このような作品が高画質の字幕付き日本盤でブルーレイ化されることはとても嬉しいことですが、驚くことに最近なんと、昔TVで放送された吹き替え版を観賞することができました。これは2003年10月2日に兵庫県を放送対象地域としたサンテレビジョンの『アフタヌーンシアター』という番組で放送されたもので(148分の作品が90分枠で放送されたので、かなりのカットがありましたが)、とても貴重なものだと思います。この吹き替え版に関する情報はネットで検索しても全く出てきません。しかしさらに驚いたのが、次週の放送予定を紹介する番組の予告編でした。なんとそこには同じハル・アシュビー作品で、私のフェイヴァリット作品のひとつである『ハロルドとモード/少年は虹を渡る』と予告されているではありませんか! 吹き替えマニアの方から吹き替え版の存在は聞いていましたが、こちらもネットに何の情報もなく、字幕版さえTVで放送されたかもわからなかったので、自分の目でその証拠が確認できたのは今年最大の事件でした。残念ながらその放送の録画映像はないとのことですが、2003年という比較的近年の放送なので、誰かが録画している可能性はあると思います。もしこのコメントを読んでくださっている兵庫県民の方がおられるなら、ぜひともリサーチよろしくお願いいたします(笑)。
それでは皆様、ハッピー&メリー・クリスマス!

追記:
11月30日に、ザ・ポーグスのヴォーカリストであるシェイン・マガウアンが亡くなりました。クリスマスの選曲を始めた20年以上も前から、毎年「Fairytale Of New York(ニューヨークの夢)」をセレクトしていますが、20世紀の反省と教訓が生かされず、21世紀の現在でも不安で悲しい出来事が起きているこの世界で、今年もこの名曲が街を優しく包み込んでくれるでしょう。破天荒とか破滅的と言われるシェインですが、自分の中で彼のイメージは小さな子どもが見せるとびきりの笑顔です。ニュースでシェインの奥様の声明文を読みましたが、彼女がシェインを「生涯の恋人」と言っているのが微笑ましくもあり、胸がつまる思いでした。クリスマスの時期に彼の訃報を聞くというのは、運命的に感じる人も多いと思いますが、「Fairytale Of New York」が流れると彼の訃報の悲しみより、自分の心の痛みが和らぐのを感じるはずです。

シネイド・オコナーとシェイン・マガウアンに愛をこめて。

Sigrid「Home To You (This Christmas)」
Joss Stone『Merry Christmas, Love』
John Legend「You Deserve It All」
Alessia Cara「Make It To Christmas」
V.A.『Best Man Holiday』
ABBA「Little Thing」
Leona Lewis feat. Ne-Yo「Kiss Me It's Christmas」
Jamie Cullum『The Pianoman At Christmas』
Gary Barlow『The Dream Of Christmas』
Mabel「Loneliest Time Of Year」
Jimmy Fallon & Dolly Parton「Almost Too Early For Christmas」
Taylor Swift「‘Tis The Damn Season」
Sinead O'Connor「Silent Night」
Sinead O'Connor「Don't Cry For Me Argentina」
Sinead O'Connor「This Is A Rebel Song」
Sinead O'Connor『Collaborations』
Sinead O'Connor「Chiquitita」
Stevie Wonder『Merry Christmas』
Barbara Dickson『From The Beggar's Mantle』
Annie Lennox『A Christmas Cornucopia』

Dinner-time 日曜日22:00~24:00

Cafe Apres-minuit 月曜日0:00~2:00



山本勇樹 Yuuki Yamamoto

今年も昨年同様に、自分の中の定番曲を軸に、その年のクリスマス・ソングの新曲を加えながら、合計4時間のラインナップを組んでいきました。またクリスマス・ソングにこだわらず、ジャズやフォーク、ブラジル音楽から、寒い時期にぴったりのハートウォーミングな曲も織り交ぜて、あまりベタにならないように、様々なシチュエイションで流れることをイメージしながら選曲しました。そんな中、ばっちりここにハマったのが、海外ドラマ「CAVEMAN」のサントラに収められた「Claudias Welt」です。楽曲を手掛けたのはドイツのSchumann & Bachというコンポーザー・デュオ。ドラマに関しては日本未配信なので、正直、内容はさっぱりわからないのですが、とにかくこの曲に一聴惚れしてしまいました。例えて言うなら、ブレイク・エドワーズ監督、ピーター・セラーズ主演、ヘンリー・マンシーニが音楽を手掛けた映画『パーティー』に収められた「Nothing To Lose」の世界観(クロディーヌ・ロンジェの弾き語りヴァージョンも最高ですが)。この曲はクリスマス・ソングではありませんが、華やかな雰囲気と親密な空気感を併せ持った魅力があって、キラキラした街の景色にも似合いそうです。わずか1分足らずの曲ですが、ずっと聴いていたいと思わせる魔法のような一曲です。

Till Brönner, Arne Schumann & Josef Bach『Caveman (Original Soundtrack)』

Lunch-time~Tea-time 月曜日12:00~16:00




武田誠 Makoto Takeda

1980年代中頃、CM音楽の人気によって日本で知れわたったイタリアのグループ、マティア・バザール。そのグループが有名になる直前の『Tango』というアルバムには、「Palestina」(タイトル表記ママ)という曲が収められています。その一風変わったシンセ・ポップ・ナンバーを知ったのは、当時僕がバイトしていたレコード店で一緒に働いていた歳上の女性が作ってくれたカセット・テープ、それは創刊当時の「マーキームーン」や「フールズメイト」系のいわゆるユーロ・ロックのマニアックな音源を集めたもので、その中に入っていたからでした(彼女が手書きしてくれた曲解説のメモ紙と共に、そのカセットは今もどこかにあるはず)。それからというもの、僕はその曲がとても好きになり、“パレスチナ”というワードを耳にするたび、パブロフの犬のごとく、そのときの思い出(そのカセットから興味が広がった音楽を探し訪ねた新宿レコードやら恵比寿のパテ書房やら高田馬場のカーサ・ビアンカのこととか……)と共にこの曲が頭の中で再生されるようになってしまいました。
なんでそんな申し訳なくなるほどどうでもいい個人的なことをここに記さずにいられなくなってしまったのか、それはそんなワードが絡む、言葉を失うようなニュースを、この連日目の当たりにしているから。そして、この現実を知ってしまったあとでは、この好きだった曲が、今までのようにあの優しい記憶の光景をつれて響くことは、このあといっさいなくなってしまうであろう寂しさを感じてしまったから、としか言えないのですが。
カリフォルニアの女性SSW、Kacey Johansingによる、Border Kindnessという亡命希望者、移民、難民、避難民へのサポートをしている団体への寄付に充てるために制作された、昨年のクリスマス・イヴにリリースされたクリスマス・シングル「Let Me Believe」。VetiverのTim Ramseyによる夢見心地できらびやかなクリスマス的プロダクションにのせて歌われる、ワルツタイムの透明感あふれる美しいメロディーが、どうにも胸に染みてくる名曲です。
詩人の谷川俊太郎さんがいわれていた“この世”と“あの世”の間にある“その世”のこと。音楽やすべての芸術は、“その世”という魂にとってのアジール〜避難場所であると思うのですが──そしてこのクリスマスという日も。

Kacey Johansing「Let Me Believe」
Kadhja Bonet『California Holiday』
The Memories feat. PYNKIE「Christmas Time」
Braxton Cook「Christmas Time Is Here」
Lunar Vacation『Christmas (Baby Please Come Home)』
Caity Gyorgy「Perfect Time Of Year」
Emma Salokoski & Ilmiliekki Quartet『Joulu, joulu, jul』
Leo Sidran「Together At Home」

Lunch-time~Tea-time 火曜日12:00~16:00




waltzanova

2023年も残すところあと1か月と少しとなっています。本当に早いですね。毎年Winter & Christmas Selectionを選曲していると、「年の瀬だなあ」という気持ちに襲われます。「usen for Cafe Apres-midi」だからなのか、自分が選曲した曲が街の中でどのようなシチュエイションで流れるのかを想像して、ちょっとウキウキしたり心が穏やかになったりということがあって嬉しくもあるのですが。
今年のWinter & Christmas Selectionは、フォーレの『レクイエム』からの「Pie Jesu」でスタートです。死の荘厳さを必要以上に強調しすぎないフォーレ版は何かのタイミングで使いたいと思っていたのですが、ちょうど今年は数多くの素晴らしいアーティストが亡くなった年だったので、ある意味ぴったりとハマったのかもしれません。続いてはノラ・ジョーンズとLaufeyがコラボした「Have Yourself A Merry Little Christmas」でしっとりと。ある意味、夢の顔合わせですね。案の定というべきか、オールドタイミーでハートウォームな作品になっています。さらに昨年入れられなかったレイチェル&ヴィルレイ「Just Me This Year」もこのタイミングでエントリー、最高のオープニングになったと思います(笑)。
その後は新曲も交えつつ、時間帯やブロックごとにそれぞれの個性を感じさせるセレクションが構成できたのではないかと思います。

新曲関連で言うと、新作2枚がほぼ同時にリリースされたクレオ・ソル。今回も期待を裏切らない、心をじんわりと温め癒してくれるような仕上がりの曲が多く、年間ベスト入りは決定ですね。第一聴でグッときた「Desire」をここでは選びました。アナログ・リリース記念、2016年作のアンジー・ストーン『Covered In Soul』は、橋本徹ファンならヴァレリー・カーターやニーナ・シモン版を思い出すファイヴ・ステアステップス「O-O-H Child」を演っているということで「これは入れねば!」と(笑)。12月の街並みに似合うヴィンテイジ感たっぷりの仕上がりだと思います。シェールのクリスマス・アルバムからはスティーヴィー・ワンダーを迎えた「What Christmas Means To Me」が60年代モータウン・テイスト全開で最高。ジャズ・ヴォーカル関係だと安定のステイシー・ケント。アプレミディ・クラシック的な「Happy Talk」とも迷いましたが、「夏も冬も」と歌われるアルバム・タイトル曲にクリスマスならではの季節感を感じてエントリーしました。ちょっと変わったところだとDJ・ハリソンがドナルド・フェイゲンの「I.G.Y.」をカヴァー、彼らしいローファイでファニーな質感に笑みがこぼれそうになります。こちらはワルツ的クリスマス・セレクションの大定番である御大スティーリー・ダンの「Snowbound」につなげました。そういえばDJ・ハリソンは最近「Lil Birdie」という『PEANUTS』の曲をカヴァーをリリースしたのですが、偶然僕も今回のセレクションに収めていたりします。これは何か重要なシンクロニシティーなのでしょうか? ……誰もトクしない小ネタですみません(笑)。

エンディング近辺で言うと、まずはザ・バンドの「Christmas Must Be Tonight」ですかね。もちろんロビー・ロバートソン追悼なのですが、この曲はザ・バンド唯一のクリスマス・ソングなので、昔から実はちょいちょい使ってたりします(笑)。あとはたまたまSpotifyを回遊していたら見つけたセーザル・カマルゴ・マリアーノの「Presente De Natal」。曲はもちろんジョアン・ジルベルトで有名なクリスマス・ソングなのですが、このヴァージョンはロニー・リストン・スミスの「Quiet Moments」を思わせる、メディテイティヴな浮遊感あふれるアレンジなんですよね。この曲が収録されている2022年の『Christmas Memories』もサウンドこそゴージャスではありませんが、アルバム通して心に沁みてくる内容なので、もし機会があればご一聴ください。そして今年の実質ラスト曲はジェイク・シャーマンとコリー・ヘンリーという僕の大好きな二人による「Power Them Off」。こちらもいろいろなものが浄化されていくような、“心のゴスペル2023”という感じです。それではリスナーの皆さま、体調にも気をつけてそれぞれの素敵なクリスマスを。

Kathleen Battle, Timothy Farrell, Philharmonia Orchestra, Carlo Maria Giulini『Gabriel Faure・Requiem / Ravel・Pavane Pour Une Infante Défunte』
Norah Jones & Laufey『Christmas With You』
Rachael & Vilray「Just Me This Year」
Cher『Christmas』
Stacey Kent『Summer Me, Winter Me』
Cleo Sol『Gold』
Angie Stone『Covered In Soul』
Jalen Ngonda『Come Around And Love Me』
DJ Harrison「IGY」
The Band『Island』
César Camargo Mariano『Christmas Memories』
Jake Sherman feat. Cory Henry「Power Them Off」

Lunch-time~Tea-time 水曜日12:00~16:00

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