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広告プロダクトを作る会社が見る、広告の未来(2020年版)

年1のペースでここに書いているものになるが、2020年版と書きながら、2020年はすでに半分が終わって7月になってしまったこともあり、さすがにそろそろ。と言っても、コロナでこれだけの変化が起きたので、もし仮に年初1月あたりに書いてたら大きく外していたのは間違いないので、2020年後半に書き出す方が、より冷静な内容になるだろうと言い訳させてもらう。

今回は、フリークアウト総会からの抜粋ではなく、コロナ禍以降取り組んでいる、社内向けライブ配信(社長独演会!)のコンテンツからまとめたものとなる。

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社内限定ライブ配信より

このnote投稿の内容及び趣旨は例年の通りで、プロダクトを作る会社は、自社のプロダクトがローンチされる数年先の未来を予測して(賭けて)、時間をかけてモノを作る宿命があることから、我々フリークアウト社の事業ドメインである広告業の未来を、自分たちがどう予測しているかを披露することで、興味・共感をもってもらえる人への採用アピールの狙い等などをもって書いているものだ。

それ以外の方でも、お読み頂ければ、広告系のプロダクト開発会社が世の中をどう見てプロダクトを仕込んでくるのかがわかる程度の成果は得られるだろう。それによって、フリークアウトという会社は、このようなことを社長から社員に情報発信し、社員の皆さんにも考えてもらっているのかと理解してもらえればありがたいし、こういうことを考えているモノづくり系の広告会社との共同事業に興味がおきたのであれば、もっとありがたい。(連絡先は一番下に↓)

さて、そのモノづくりのための未来予測という点において、今回のコロナの影響は本当に大きかった。広告に限らず、他のモノづくりの会社はどうしているんだろうという気持ちが強く頭をよぎる。例えば大人気だったAirPods Proにしても、一日中ビデオ会議の通話で使われるようになった途端、急に「つけっぱなしだと耳が痛い」というレビューをもらうようになったが、ああいうのは多数のプロダクトロードマップで、徐々に徐々に人類を未来にいざなう巨大企業Appleにしてみたら、全く予想していない出来事で大誤算だったのだろう。

またAR/VRの世界のように、まだ見ぬこれからのプロダクトを5年以上のスパンで開発を続けているようなところは、ローンチ時(未来)の人々の生活様式を予想してモノづくりがされているのだが、その開発途中にこれだけライフスタイルの有り様の変化が乗っかってきた中で、どのようなロードマップ変更を強いられているのかと思うと、その苦労が偲ばれるところだ。

さて。そのような中ではあるが、まずは広告・マーケティングに対し、コロナが起こしてきた変化について書いてみたい。とはいえ、アフターコロナやニューノーマルといった話題は、どこでもやっていることなので、それらには大きくは割かず、広告やマーケティングに影響を与えそうな部分のみに限るとする。

どのような変化であったか?

コロナが起こした変化とは、「まず先に世界規模でライフスタイルの有り様が大きく変わり、次に経済が長期に影響を受ける」。この順序であることが、2000年以降に起きたいかなる非常事態とも異なる。

ご存知のように、感染の恐怖に怯える人類は、自宅待機の状態を長期に亘って続けたのだが、物理的隔離が起こす情報遮断や心理的な不安を取り払い、人々を支えたのがインターネットだった。仮にインターネットが無かった時に、このようなウイルスが拡散し、人々が強制隔離させられる事態が起きたら、どうなっていただろうかと思うと、ゾッとするものである。

人々の不安を軽減しただけでなく、その状況下でもかろうじて経済が回り続けているのは、明らかにインターネットのおかげであり、ニューノーマルな世界においては、更にインターネットの立ち位置が強くなることは明確であり、ライフスタイルの変化に対し、更に強くなったインターネットがどう食い込んでいくのかを見ていく。

Our lives will be more internet-centric!

生活の有り様が変わる

ここでいう生活とは、プライベートもビジネスもだ。どちらの変化も、マーケティングに与えた影響は計り知れないのだが、その変化の質はそれぞれ違うこともあり、分けて見ていくことにする。

説明に使う図は、昨年使ったものと同様のものだ。これは広告会社にとっての顧客企業(広告主)が行う、マーケティング活動を表した図である。

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(このマーケティングサイクル図は、店舗などオフラインでの購買を想定したもので、ECなどのオンラインにおいては、右下の「流通」「配送」とした上で、左側の「セールス」「カスタマーサービス」の間に置く方がより適切。ここではこの図のみ用いる。)

このように左右に分断しているのは、左半分というのは、消費者との接点が発生する部分であり、(媒体を押さえていたり、データを保有するなど)消費者接点の多いデジタルマーケティング企業が、顧客企業に対しサービスを提供する形でマーケティング業務をお手伝いしやすい部分となる。

一方で右側の灰色部分というのは、マーケティング活動主体である、顧客企業自らが取り組む部分でもあり、その業務の中においては、直接的に消費者と接点をもつことは少ない部分でもある。主体が顧客企業自らであることから、仮に右側の業務に外部企業が関われるとしたら、コンサル企業のように、顧客企業の中に入り込むような形が関わりやすいのであろう。

コンサル企業については、昨年のnoteでも触れたとおりだ。繰り返しになるが、このような形で顧客企業の中に入ったコンサル会社が、広告代理店の仕事(つまり図の左側)に大きく侵食して来ているというトレンドについては詳しく触れさせてもらった。

このように、顧客企業のマーケティング活動内製化(実態はコンサル企業が主導)が起きたとしても、我々のようなマーケティングプロダクトの開発会社にとっては、外部コンサルにとって使いやすいツールを作っていれば、さほど問題はなかった。コンサル会社は、代理店と食い合うのであって、開発会社ではなかったのだから。

言うなれば、開発会社が顧客企業との打ち合わせの際、自分らと同じ側に座るのが代理店であるが、顧客の隣りに座っているのがコンサル企業みたいな違いである。(超大雑把に割り切った説明であるのは承知の上・・)

さて。そしてここにDX企業というのが、徐々に目につくようになりだしたのが2020年と言える。

B2B SaaSとか、AIといったキーワードに倣い、ほぼすべてのコンサル企業がDXを名乗ってくるのだろうし、そういった企業群によって、徐々に和製DXが定義づけられていくのだろうが、ここでは「プロダクト開発も請け負えるコンサル屋さん」程度の意味合いとさせてもらう。つまりマーケティングの世界においては、この図の右側業務区分を、顧客企業の中に入るなどして、直接的に顧客とやりとりをして進められるテクノロジー企業だ。

我々のようなマーケティングプロダクト開発会社にとって、少々厄介となりえるのが、過去にコンサル会社が広告代理店の業務を侵食してきたことと同じようなことが、DX企業との間に起こり得ないかという懸念だ。つまり右側業務のみならず、左側の消費者接点のところにまで、DX会社が顧客企業の内側にいる身として、始め出すことがこれから起こり得る場合、それに対して、どれだけの準備が出来ているかということだ。

もちろん常識的に考えれば、DXコンサルの特徴としては

1.物を作る技術があって、顧客の信頼は勝ち得ているかもしれないが、DX企業は消費者接点を広く押さえているわけでもないから、図の左側で出来ることは限られる。

2.コンサル的に顧客に接触している限りは、顧客の競合の案件は取れないので、広くあまねく使われるようなものを目指すプロダクト開発会社とは本質的には異なるもの。

といったものが挙げられるので、プロダクト開発会社とは異なるのだが、こういった理解を顧客企業が必ずしも理解しているわけではないし、それが下手に懐に入られているが故に、顧客がおかしな判断をしてしまうことも十分に起こりえる。

こういったことが起こり得る中、マーケティングプロダクトを開発する会社が何をすべきかであるが、しっかり得意領域である消費者接点を磨き続けるということに尽きる。この戦い方から逃げて、中途半端にDXっぽい顔をみせることは、「自分たちは広告マーケティングの世界で負けました」と言っているように見えかねない。

理想は、DXもマーケプロダクト開発会社も、双方の本物と呼べるような企業がそれぞれの得意を磨けばいいと思っているが、当然すべての企業がそのようなまっとうな動きをするとも思ってないので、今後注視すべき部分であろう。(マーケ落ち、DX成りみたいなのが、業界荒らしそうだけど、業界全体として気をつけていくべき)

またマーケプロダクト開発会社にとって恐ろしいのは、代理店を挟んで顧客と接していると、こういう動きの察知が遅くなることだ。

・同じ顧客を相手している。
・どちらも得意は技術。
・どちらがより顧客の懐に深く入り込んでいるか?

と考えれば、DXを警戒すべきは当たり前で、「とりあえず業態違うし〜」と無頓着であることは論外と言えよう。そういった眼を養うためにも、テクノロジー企業と言えど顧客のマーケティング活動全体を見なければいけない。

ここまで書いてきたDX企業登場による顧客企業の変化は、元来コロナが起きなくても存在していたトレンドだ。コロナが速度を早めたにすぎない。

マイクロソフトのサティア・ナデラは2年早まったと述べたが、早まった理由は、コロナとDXというワードそのものが流行り言葉化したからだ。

DXというワードが流行ったおかげで、マーケティング活動の主体企業が自力で解決していた部分に対して、技術力をもったIT系の会社が入り込みやすくなっているのは、間違いない。コンサル的なアプローチだと、AWSやB2B SaaSほどの浸透力はないだろうが、それでもといったところか。

先進国版リープフロッグと呼ぶべき変化

さて一方で。左側の消費者接点を含むマーケティング活動の変化はどうだろう?こちらの変化は、右側以上に大きくなる。

序盤に書いたように、コロナが引き起こしたのは、まず何より先に生活の変化だったこともあり、人々のライフスタイルがこれだけ変化すると、マーケ企業が持っている消費者接点にも大きな変化が生まれるのは必然である。

それは、いきなり来るはずのなかった変化、飛び越えるような変化だ。リープフロッグという言葉がある。本来の意味は、「先進国と比べ、途上国の発展速度は、一足とびのような進化をする」ことから名付けられたのだが、このリープフロッグのような変化が先進国でも起きつつあり、更にはこれからいくらでも見られるのではないかと思えるほどだ。

この先進国版リープフロッグがどこで起きるのか?マーケティングの世界で、次のプロダクトを開発する立場だったら、今の時期は、この視点で考えてみるのはありだろう。

ここからは、目の付け方や検証の仕方について、披露してみたいと思っている。ただあまりに消費者接点のあるところの変化が多岐に渡ることから、ここでは一つだけ取り上げる形としたいが、ここではオンライン購買(主にEC)について深堀りたい。

かつて無いオンライン購買パワー

コロナ以降、ECの売上が強烈に伸びているのは、よく知られている。店舗で買えなくなった分、オンラインにシフトしたのはあるが、とはいえ、予期せぬ形で、それなりの期間に依存状態というほどECを使う経験をした多くの消費者が、コロナ後も一定層使い続けるのは間違いないだろう。

在宅で暇になり、あらゆるオンライン購買に手を出そうとする消費者は、通常のECでは飽き足りないのか、クラウドファンディングのようなものにも、積極的に参加する経験をしたようだ。

スクリーンショット 2020-07-12 22.44.37https://campfire.co.jp/press/2020/06/01/campfire-4billion/

この現象をみて考えたのは、仮にもっと日本のインターネット上で、多様な購買方法や多様なECサービスが存在していたら、まだまだ伸びる可能性があったのではないか?ということだ。

つまりは、少し前よりもオンラインにおける消費者の購買パワーは確実に強まっている。それなら、以前に早すぎてうまく行かなかったり、海外で流行っていたが日本ではうまく立ち上がらなかったサービスも、このタイミングなら通用しやすくなっているのではないか?という仮説だ。

日本ではうまくいかなかったもの・・

コマース関連で、海外では成功事例があるのに、日本ではうまく立ち上がらなかったものと言えば、やはり中国にあるような、コマース系の新興サービス郡が挙げられるだろう。

果たしてコロナ以前よりも購買パワーの増してきた今の日本のEC事情で、中国系のECサービスを投下した場合、うまくいくものなのだろうか?

もちろんそれはやってみなければわからないものではあるが、とは言えそれを予測するのに必要なのは、より精緻な中国事情との比較であろう。というのも、「中国消費者のバイイングパワーは強すぎて、他国事情にとって参考にならない」という話はよくきくのだが、果たして、その購買力の源が何かを正確に知っているのだろうか?それを知らずして、最近上向きになった日本のEC購買力をもって、中国系サービスを行うのに通用するのかを検証するというのは、難しいのではないか。

PinDuoDuoに見る、
購買力を生み出すための圧倒的オンライン価格競争力

中国のECサービスといえば、その圧倒的な売上規模がよく話題に上がる。先月18日に終了したばかりの「618セール」では、大手ECサイトのTaobaoがセール期間中のみで、Amazonの日本での年間売上の約6倍にあたる、約10兆5800億円という過去最大の売上を叩き出した。

そんな中国ECサービスの中でも、中国EC最大手Alibaba社の有するTaobaoに次いで、中国2位のMAUを誇るECサービスに急成長した共同購入型のEC(ソーシャルコマース)、Pinduoduo(以下、PDD)が注目されている。同社は2015年の創業以来3年でNASDAQ上場を果たし、eBayを上回る水準の時価総額を持つ企業である。(現在創業から5年程度)何よりも「安い」ことを強みとするPDDは、その「安さ」の裏に下記のような特徴を持つ。この中国国内においてさえ「安さ」を武器と出来る要因を分析することで、日本含む他国での同様ビジネス投下の現実性について考えてみたい。

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【1】6割のユーザーが農村/地方都市
第三、第四の地方都市ユーザー比率が約6割と、都市部のユーザーをターゲットとする他のECとは異なるユーザー層をメインとしている。こういった中国の地方都市ユーザーの所得は低く、「1円でも安く」といった限界コスト差を重視する、中国14億の人口のうち6億人の農村/地方都市ボリュームゾーンにうまくマーケットフィットしている。地方都市ユーザーが飛びつくほどの価格競争力をPDDが持つ要因を挙げてみる。

【2】4割のユーザーがWeChatミニプログラム経由
1で挙げたような、「価格に敏感だが、これまでEC購買をしてこなかった地方都市の消費者」は、必ずしもPDDアプリをDLする必要はなく、WeChat上のミニプログラムで購買をすることも出来、PDDの全MAU1.6億人のうち、1億人がアプリ経由、6000万人がWeChatミニプログラム経由の購買、という割合になっている。決済はWeChatペイがメインとなっており、地方都市のターゲットユーザーにとっては、使い慣れたWeChatで購買から決済までが可能なので、非常にシームレスな購買体験ができるようになっている。

この裏には、昨年までPDD最大の外部株主であったTencentが、自社のチャットツールWeChat上のエコシステムでPDDが成長することが、win-winであるとの判断の元、プラットフォームの傘のもとで育つことができたことが大きい。

一方でTencentの戦略は極めてしたたかで、競合AlibabaのEC郡に対しては、PDDのような形で資本参加したECを、自社PF内で育て戦わせてきた。そしてPDDが育ってきたら、自社傘下のJD.comにPDDパクったソーシャルコマースをやらせてから(2019年9月)、PDDの株式を手放したり(2019年10月)、最近ではWeChat内のミニプログラムを進化させ、WeChat自体のEC化を急速に推し進めつつ、PDDのようなサードパーティのWeChat内の活動に制限を設け始めている。そのような2大PFの挾間で、絶妙な舵取りをしながらも、PDDは驚異的なペースでサービスを伸ばし続けているのだ。

リアル三国志、リアルキングダムというダイナミズム、これぞ中国・・

【3】配送込の低価格を後押しするロジの安さと、ダイレクト構造の強さ
掲載商品全体のうち約6割が750円以下と、低価格の商品が多い。一番の売れ筋商品はティッシュで、生活必需品/消耗品を出来る限りやすく買いたい、というユーザーニーズに答えている。これだけ商品単価が下がっても、配送料を含むはずのECが、地方都市で価格に敏感なはずの消費者に対し、価格競争力を持ちつづけられるのは、中国国内の配送料の安さが強く下支えしているからである。地方都市の一番安くて遅い郵便であれば、送料は30円程と圧倒的に安く、これこそが超低価格商品のオンライン購買を可能にしている。更にPDDはC2M(Consumer to Manufacturer)モデル、つまり工場や生産者を消費者とダイレクトにつなぎ、多重構造を解消し、物流コストを下げることに成功している。

つまり共同購入といってもPDDは、日本の生協のような共同購入モデル(近所の代表者にまとめて配送)とは大きく異なる。圧倒的な物流コストの安さと、生産者と消費者をダイレクトに繋ぐ仕組みに乗っかった上で、WeChatなどソーシャルの仕組みで消費者の注文を束ねる形の共同購入モデルなのだ。これにより、生産者に大きなロットで発注しつつ、個々の消費者への配送を含めて、低価格購買が可能となっているのだ。

そのほかにも、検索型ではなくフィード型のECで、オフラインのショッピングに近い体験を提供していたり、「インタラクティブで楽しい購買行動」を実現した、「購買そのものが楽しくなる」ような(中毒性の高い)仕掛けが多く仕込まれており、7Days Retention Rateが77%と、検索して商品を探すような、競合ECと比べても非常に高い数字を誇っている。

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結論の前に、購買力とそれを作り出す低価格を実現する仕組みをまとめると以下の通り。

・世界の工場中国だから可能な超低価格。(それに飛びつく地方都市F2層)
・WeChatでの利便性の高いシームレスな決済(と手数料の安さ)。
・配送料の驚異的な安さ(悪かろうを気にしないから更に下げられる)
・WeChat共同購買とC2Mにより、大量発注と多重構造解消を実現。
・人口(まだある伸びしろ含め)

これらの条件が揃ったことで、PDDのソーシャルコマースは実現可能になっている。どうだろう?あまりに前提条件が違いすぎる日本では、このままでは通用しないだろうというのがよくわかるのではないか。

もう一つの大国インドでは・・

もう一カ国。ソーシャルコマースが盛り上がっているのがインドだ。ここでは中国の事情ほどは詳しくは書かないが、この国を取り上げるのは、インドは中国のモデルを参考にしながらも、自国流でソーシャルコマースが盛り上がりつつあるので、その要因理解は、日本での展開可能性を探る上でいくらか参考になるからだ。

インドの盛り上がり要因は非常に特殊だ。例えば、女性の社会進出が進んでいないために、実力があるのに家庭にとどまらざるを得ない女性が多いため、彼女らが現地の女性向けSNSや、WhatsAppコマース上で、KOL(Key Opinion Leader)的な役割を果たす機会が多い。

もちろん家庭に縛られた範囲の中なので、一人のKOLが出来ることは限りがあるだろうが、それでもソーシャルでのコミュニティリーダーとしての発言や、料理レシピ動画の投稿など、人口の半分を成す女性向けのクオリティの高いコンテンツが非常に安価に生成されているのが、インドのインターネットの特徴でもある。これにコマースが乗っかろうとするならば、必然的にソーシャルコマースとの相性が良くなるのだ。

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更にこれに加え、中国ほどではないが中国的な大国の強み(人口規模及び生産と配送の安価な労働力からくるオンライン商品の価格競争力)が加わるのが中国の成功要素を比較的うまく取り入れようとしているインドの背景事情だ。

そのままでは無理なのはわかったが・・

さて、比較した国がいささか極端だったかもしれないが、結論から言うと、日本もオンラインでの購買パワーが強まったとは言え、さすがに本場大国のサービスをそのまま持っていくのは無理がありそうなのはわかった。

しかし、今以上ではあるが大国サービス未満くらい・・そんな今の日本事情向けにアレンジした、新たなオンライン購買体験が求められていると思えるほどに、かつて無いほどECは順調に伸びているし、またその強気のECによる広告出稿も伸びている。

翻って、広告プロダクトを作る側の立場であるが。広告プロダクトを作る会社というのは、ここに書いたような消費者に新しい購買体験を提供する立場ではないが、新しい購買体験をすることになる消費者に新しい広告体験を提供する側である。それこそが広告出稿の意欲が強くなったECがこれから広告事業者に求めてくるものになるだろうし、であるからこそ、消費者の新しい購買体験がどんなものとなるかまで含めて未来を予測し、その上に乗っかることとなる、次なる広告プロダクトを仕込んでいくべきと考える。

以上、ここでは、マーケティングの消費者接点における、購買行動の変化一つのみから、新たなコマース形態の日本での展開の可能性について検証を進めてみた。コロナが作り出した消費者生活習慣の変化による、ブランドと消費者の接点変化はこれだけではなく、いくらでも起こっており(例えばウーバーのような会社が、ウーバーイーツにより力を入れだすような現象は世界中で見られてたり)、このような変化は今後は更に増えていくわけで、それらに対し広告プロダクトを作る側は、アンテナを張らなければならないと同時に、その数多ある変化のどこにフォーカスして、次の仕込みを作るべきと考えている。広告事業で一部に厳しい側面もあれど、耐えるだけではダメなのだ。未来を読み取った仕込みと、既存で耐える部分の、正しい塩梅が問われているのが2020年なのだ。

フリークアウトHD GlobalCEO / 本田 謙

ここから採用メッセージです

ここまでご覧いただきありがとうございます!!

いきなりカミングアウトみたいになってしまいますが、私は、人の話を聞くのが本当に苦手で、ちゃんと聞こうとするほど、集中しすぎて、別のものが聞こえて、会話が頭に入らず、仕事上は障害に近い体質持ちでして・・。

と書いても意味がわからないと思うので、話を集中して聞くと、何が起きるかわかるような動画を作ってみました。

ありがたいことに、こんな社長が企むことを多少なりとも面白いと思ってもらえているのか、フリークアウトには、優秀な人が集まり、日本以外にも世界各地にて、ビジネス展開を仕掛けています。

実ビジネスを各国で手掛けているからこそ得られる、鮮度の高いリアルな情報、現地のコネクションなどを、世界各国から必要に応じ集約し、また新たなビジネスを仕掛けていく。10年ほど会社をやっていく中で、ようやくそんな仕掛け方が出来るようになってきたことを実感しています。

現に、毎年私が一人で全て書いていたこの文章ですが、今回、中国ECの調査箇所は、新卒入社6年目で、現在はフリークアウトChinaの代表を務める岡田梨佐にまとめてもらっており、その岡田の現地コネクションから、X Asia門奈様からも情報提供頂いたとのこと、こちらにクレジット記載させて頂きます。

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