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ヨーロッパでただ1人プロ自転車選手を目指して奮闘中!小山智也選手インタビュー

今回は昨年より弊社がスポンサー契約させていただいている小山智也選手がレースのために帰国しているので、スケジュールの合間をぬってインタビューのお時間をいただきました。

昨年より縁あってサポートさせていただいいている小山智也選手。今年はGlobal 6 Cycling所属。

プロフィール:小山智也選手
大阪府松原市出身
1998年7月18日生まれ 身長173cm体重70kg
UCIコンチネンタルチーム・Global 6 Cycling所属

ヨーロッパでプロ自転車選手になるという夢を追って活動を続けている小山選手。自転車との出会いやヨーロッパで生活しているからこそ感じる欧州と日本人の違いについてお伺いしました。



小山選手が自転車を始めたきっかけ

―小山さん、本日はよろしくお願いいたします。

「よろしくお願いいたします。」

―では、まず自転車との出会いについてお聞きしても良いでしょうか。

「はい、端的に言うと自転車はダイエットのために始めました

中学の頃に体格が良かったことから、陸上で砲丸投げをしていました。高校で陸上は引退したのですが、体重が戻らず、気が付けば100キロオーバーになっていて、自分の健康のためにダイエットを開始しました。ダイエットに有効な有酸素運動の中で、自分が取り組みやすそうな自転車(クロスバイク)に乗り始めたのがきっかけです。」

―体重100キロオーバーって、今の小山さんからは想像がつかないですね。自転車でダイエットって、そこまで落ちていくものなんでしょうか?

「そうですね、もともとの体重があったので、面白いように落ちていきました。早い時には、練習前と後で5キロくらい違う時もありましたよ。かく汗の量もすごいですしね。どんどん減っていくのがおもしろくて、サウナスーツを着て自転車に乗ったり、実家のある大阪から和歌山まで長距離ライドに行ってみたり、栄養計算をしてみたりと工夫をこらすようになっていきました。

体重が減るとスピードも出せるようになってきて、クロスバイクでもロードバイクを抜かすなんてことも増えてきました。そのうちもっと早く走ってみたいと競争心が湧いてきて、ロードバイクを購入して、関西方面で開催されているいろいろなレースに出場するようになりました。高校3年生の時には、本格的にレースに参加していましたね。」

―始めてからの展開がとても早いですね。

「そうですね、子どもの頃からなにかをやるなら『その場で一番になりたい』という気持ちが強い子どもでした。目標を掲げて、とにかくガムシャラに頑張る。最後にはなんとか辻褄を合わせるということをずっとやってきていました。」

選手活動を続けていく難しさはやはりコレ

2023年ツアーオブジャパン参戦時。Global 6 Cyclingのチームメイトと。一番左端が小山選手。

―自転車を始めてあっという間にレースに参加するようになって、その先も順調に進んで行ったのでしょうか?

「もともと自転車の指導をしてくださっていた方から『ヨーロッパが自転車の本場』と教え込まれていたので、ヨーロッパでプロ選手になりたいというのは、自転車を始めたころから常に言っていました。サポートしてくださる方との縁ができたりして、今の活動を続けていますが、選手活動を続けていくことは楽しい反面、難しさもあると感じています。

まず、自転車はとにかくお金のかかるスポーツです。今はチームに所属しているので、自転車は提供していただいていますが、それ以外にも消耗品がとても多いのです。

タイヤは1本1万円以上しますが1ヶ月に一度は新しいものに変えますし、チェーンも2、3ヶ月に一度は交換が必要です。ディスクブレーキのローターの交換もひとつ1万円くらい。サドルの交換、シューズのインソール、補給食などなど数えだしたらキリがないほどの消耗品があって、自転車は本当に乗れば乗るほどお金がかかります。

もちろん生活すること自体にもお金はかかりますし、練習量(消費カロリー)も多いので、食事量もかなりしっかりと必要です。潤沢な資金がある人はまれだと思いますし、選手ストレスの99%は、どこにいくらお金を使うかだと思います。そういう苦労も込みで選手活動と捉えています

僕は今、USE Inc.をはじめさまざまな企業さんにスポンサーになっていただいて活動を続けています。その安心感があるからこそ、レースの勝負どころで突っ込んでいけるというのはあります。この自転車が壊れたら後がない……といった不安のある状況の中では、勝負どころでもそういう心理にはなれないと思います。」

―そうなんですね。小山さんの公式ウェブサイト(https://tomoyakoyama.com/)を見ると、スポンサーとしてさまざまな企業名がありますよね。

「ありがたいことに、現状はそうです。これも自分でひとつひとつアタックして縁を繋いでいったものなんです。最初は資料の作り方を教わったりはしましたが、基本的に自分で切り開く道ですし、今現在もスポンサーは探し続けています。」

文化の違う中で生活するからこそ思うこと

アンドラ公国を拠点に活動する小山選手。自転車選手にとっては理想の練習環境と聞くが……。

―今はアンドラ公国に拠点を置いていますが、環境としてはいかがですか?

アンドラ公国はとても好きで、自転車に関わっている限りはアンドラやこの近辺に住みたいと思っています。幸い水や食べ物が合わないということもありません。日本食が食べたくなれば、レストランが4、5件あるので安心なんです。

あとは、世界トップレベルの自転車選手も多く住んでいるので、近所ですれ違ったり、今アンドラではキンタナ選手(※1)に声をかけていただいて一緒に練習ができたりと、とてもメリットを感じています。」
※1 コロンビア出身のロードレース選手、ナイロ・キンタナ選手。

小山選手の愛車 TREK 新型Madone SLR

―海外の選手に交じって練習や生活をしていて、なにか感じることはありますか?

「そうですね、僕自身も課題だと感じていることですが、日本人は『長いものには巻かれる』『輪を乱さない』『ものごとをスムーズに進める』ということを重視して、自分の意見を言わない傾向にあります。

例えばキンタナ選手に『今日はトレーニングで〇〇(地名)に行くが、一緒に来るか?』と聞かれます。一緒に練習できるメリットはあまりにも大きいので、『YES』と言ってしまいますが、実はその練習だと自分のトレーニングメニューはこなせない。そうすると、言われるんですよね。『これだと、お前のトレーニングメニューはこなせないじゃないか。なぜYESと言うんだ! 自分の主張はもっとして良いんだ!』と。

選手としてのレベルも、年齢も上の人に言われると、つい反射的に『YES』と言ってしまうのですが、海外ではこれは危険だと言われています。自分の意見を主張したい時にできなくなってしまうと。」

Global 6 Cyclingに所属している日本人選手は小山選手のみ

―確かに、日本人はこの傾向はありますよね。特に目上の人に言われると飲み込んでしまう時があるというか……。

「そうですよね。僕も今意識して変えているのが、相手に対しての最低限の礼儀を踏まえた上で、迷惑をかけない範囲でならば、できるかできないかはおいておいて、まず自分の主張は言ってみても良い、むしろ言った方が良いということです。

『YES』だけを言う必要はない、というのは、チームメイトからも言われる言葉です。『まあ、いいか』が積み重なっていくのは、選手としても良くないし、日常生活の中で得られる満足度も減ってしまうような気がします。誰かが小さな我慢をしてスムーズに進んだ時の最高到達点よりも、自己主張し合った結果の最高到達点のほうが高いようにも思います。

小山選手の描く今後の夢

弊社会長の山口と小山選手

―海外で日本人の自己主張が足りないと言われるのは、本当によく聞く話ですよね。
最後に、今後のことをお伺いできますか?

「まずはヨーロッパでプロの選手になるというのが目標で、日々これに取り組んでいます。明確な道があるわけではないのですが、やっていればいつか行けるんじゃないかと自分の中で思える限りは挑戦し続けていきたいと思っています。

あとは、ヨーロッパでプロ選手を目指す日本人がとても少ないので、なにかしらヨーロッパと日本を繋ぐ存在でありたいとも思っていますが、先ほどもお話したように資金面も、メンタル面もいずれもハードルが高いので、具体的なイメージは湧いていないです。今は自分自身を育成している真っ最中なので、若手の育成なんて言葉も気軽には言えないですね。

挑戦を続ける原動力は、自転車への情熱

ただ言えるのは、とにかく自転車が大好きなので、できる限り長く自転車に乗っていたいということと、レースも大好きなので、可能な限り現役の選手としてやっていきたいということです。選手としての限界は40才くらいかなと思っていますが、とにかく長く続けて、それによって生きていければそれが一番幸せです。理想は90歳まで自転車に乗っていたいと思っています。」

―小山さんだったら、90才でも自転車に乗れていそうですね。

「選手として引退したとしても、自転車はどんな年齢でもどんな性別でもいろいろな楽しみ方ができる乗り物だし、一生できる健康スポーツです。免許返納したお年寄りが今度は自転車に乗っているというのも聞くと嬉しくなりますし、そういうムーブメントが起きたら良いなと思っています。」

―小山さん、お話どうもありがとうございました。


編集後記

インタビュー終了後に、自転車関連製品の開発を行っている若手エンジニアと座談会を行いました。現在使用している機材などの選手目線での改善点や、次なる開発アイテムのヒント、開発中のアイテムに対する現役選手ならではのしっかりしたご意見など貴重なお話を聴くことができました。

小山選手は、このあと全日本自転車選手権ロードレース2023に参加して、またアンドラに戻る予定です。
USE Inc.はヨーロッパでの活動も引き続き応援します。

小山智也選手のHP/SNS
HP/Tomoya Koyama – official website
Twitter/Tomoya Koyama/小山智也🇯🇵(@TomoyaKoyama1)
Instagram/Tomoya Koyama(@tomoya.story) 
Youtube/Tomoya Koyama - YouTube

小山選手からご提供いただいている自転車写真など日々発信中🚴
USE Inc. 公式Twitterアカウント

USE Inc. お問合せ先
https://www.use-inc.co.jp/contact/

インタビュー実施:2023年6月 
Interview & Text 渡部美里

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