アヌ・カーリナさんの祖父アルヴィさんは、ソ連が宣戦布告なしでフィンランドを国境を越えて攻撃し、1939年11月30日に始まった「冬戦争」の時代を生きました。等身大のフィンランド第11回は、アヌさんが追いかけたアルヴィさんの足跡を一緒に辿りたいと思います。
今回は第3話を紹介します。
前回のお話はこちら
アヌさんの記録から
1939.12.3
スヴィラハティは、元はカレリアのスオヤルヴィの南にある小さな村です。アヌさんの記録から、前回その場所を特定できずに保留していた〈アルタフフタ〉が、このスヴィラハティにあったことがわかりました。
そしてこのことから、ユヴァスキュラの付近と仮定して話を進めてきた「ミュッリュヤルヴィ」をカレリア地峡の南に発見しました!
これでようやく、話の辻褄が合います。1939年10月9日に結成された部隊は、故郷のウウクニエミから遥か南東のミュッリュヤルヴィを目指して230km以上の行程を進軍したのでした。道中、サウナで体を温めることも忘れずに。
凍土の上に張るテント
1939年12月下旬以降、フィンランドは記録的な寒波に見舞われ、マイナス40度を下回る時もあったそうです。当初、私はフィンランドブランドのサヴォッタにあるようなサウナテントを想像しながらアヌさんの記録を読み進めていたのですが、戦争博物館が公開しているいくつかの写真を確認していると、彼らが(おそらくは妥協して)追求した快適さと私が想像するそれが大きくかけ離れていることを実感します。
戦争博物館の記録から
1939.12.3
冬戦争が始まってまもなく、蒸気船ドナウがエストニアのタリンに向かってヘルシンキを出航しました。この船には443人のドイツ人と当時ヘルシンキにあったソビエト大使館の関係者69人が乗船したという記録が残っています。