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🇫🇮 等身大のフィンランド vol.11 アヌさんと辿る冬戦争の記録(11)

アヌ・カーリナさんの祖父アルヴィさんは、ソ連が宣戦布告なしでフィンランドを国境を越えて攻撃し、1939年11月30日に始まった「冬戦争」の時代を生きました。

等身大のフィンランド第11回は、アヌさんが追いかけたアルヴィさんの足跡を一緒に辿ってみたいと思います。

今回は第11話を紹介します。

前回(1939年12月10日)のお話はこちら


 

アヌさんの記録から
1939.12.11


コッラー川にて。

「朝8時15分頃、砲兵が敵に向かって発砲を開始した。敵の反応は鈍い。17時30分、援護砲撃で敵がいる地形を一掃。」

『冬戦争の記録』1334ページによれば、夕方、祖父アルヴィが所属する第34歩兵連隊第5中隊には兵士が5人補充されました。

” 一掃する“ は興味深い用語です。それは敵の部隊を殺したり、負傷者や捕虜を集めたりすることを意味していますか?それとも他に意味がありますか?
それらは全て実際に起こったことです。

12月11日は、1日がはじまってすぐに先発隊のテントに砲弾が直撃したにもかかわらず、「通常運行」だったようです。4人が即死し、4人が負傷しました。

内偵、部隊の強化、軍司令部での計画の練り上げ。
夜間の活動を減らすように企てがなされました。敵を混乱させるためです。

情報官パロランピが撮影した写真は、今日では、彼が「直撃レース」と表現している、大量の戦車の破壊に関連しています。

トイヴィアイネンの部隊、つまり祖父アルヴィが所属する第34歩兵連隊第5中隊に関して、パロランピは「ムーッコ事件」についても言及していますが、私はまだ戦争日誌からその記録を見つけられずにいます。

Anu KaarinaさんのInstagramを翻訳


直撃レースの結果


Haavoittunutta viedään ahkiolla linjojen taakse. Kollaanjoki 1939.12.10 【SA- kuva-arkisto】


アヌさんの記録に登場する「情報官パロランピが撮影した写真」は、実は既に第9話で紹介した写真でした。コッラー川での戦いで負傷した兵士が前線の後ろに運ばれる様子が撮影されたものです。


記録のことば


アヌさんの記録についてもう一点、誤解がないように補足します。

アヌさんは、puhdistusという表現が興味深いとおっしゃっていますが、これは限りなく皮肉に近いニュアンスだと思われます。

この単語の直訳は「掃除」あるいは「浄化」を意味します。敵といえど、人の命を「掃除する、片付ける」として描写することに違和感を感じたのではないでしょうか。わたしも同意です。

次回に続きます。


戦争博物館の記録から
1939.12.11


Ruokailumarssilla Impilahdella Impilahti, Vuonilampi 1939.12.11 【SA- kuva-arkisto】


アヌさんの記録にも度々登場する、部隊の食事の場面です。
この写真は、カレリア地峡のラドガ湖のほとりにあったイムピラハティで、ヴオリランピさんによって撮影されました。

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