太陽と雲が織りなす色彩の物語
焼ける空。
朝日と、夕暮れ。
暁と黄昏。
地平線と太陽が近くなるにつれ、空の色や表情は1秒ごとに変わっていく。
私がそんな焼ける空に魅了されたのは、実は結構最近のことだ。
何故だか、1年ほど前の自分は焼ける空にそこまでの魅力を感じていなかった。
"焼け"を追いかけ始めたのは、2018年の夏の終わり頃だった。
台風の直前後には雲が荒れるのか、普段見る事の出来ない夕焼け空が見れた。
沈む太陽が雲を照らす。
雲がまばらで、空に散らばっていると、太陽の赤が乱反射して、絶妙なグラデーションを見せてくれる。
雲がない夕焼けは真っ赤に染まる。
もちろん、それはそれで好きだ。
だけど一番好きなのは、散らばった雲と相まって、まるで油絵のような見事な彩りの焼け空。
そして、焼け空の魅力に、もう一つ要素を加えていく。
前景だ。
前景に建物や人物が入ることで、より一層太陽と空の物語はストーリー性を増す。
雲の形はきっと二度と同じものが無い。
そんな一期一会の焼け空だが、撮れるのは朝焼けで一つ、夕焼けで一つ。
それも朝と夕では太陽の方角も違ってくる。
そうなると、焼け空と景色が撮れるのは1日にそれぞれ一つずつしかない。
しかも、太陽と雲が見事な色合いを見せてくれる可能性は、割合と低いのだ。
だからこそ、天気予報を見ていて「明日は焼ける」と思った時に、どこで撮るべきかを物凄く悩む。
季節のものもある。
例えば、初秋に撮った朝焼けの彼岸華。
彼岸華が見事に咲き乱れた日に、素晴らしい雲が太陽の光を浴びて幻想的な情景を描いてくれた。
この日は夜中ずっと曇っていて、朝日が見れるかどうかは賭けだったくらいだ。
太陽が雲に隠れているからといって、まったくダメだというわけでもなかったりする。この時は空全体に薄雲がかかっていて、沈む間際に綺麗なグラデーションになってくれた。
日の出と日没時に雲がどのような形をしているか、どこまで晴れてどこまで曇っているかを完全に予知することは途轍もなく難しいと思う。
そんな難しさも、見事な焼け空が見れた時には頭の中から吹っ飛んでしまって、網膜に映る奇跡的な情景に心を奪われて忘れ去ってしまうのだ。
朝焼けの東寺
朝日登る渡月橋
夕陽の稲荷大社
白髭神社の日の出
夕焼けの八坂の塔
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