弁護士内藤悠作

都内法律事務所所属。 企業法務全般を手掛けています。 これまで勉強したことや普段の業務…

弁護士内藤悠作

都内法律事務所所属。 企業法務全般を手掛けています。 これまで勉強したことや普段の業務で知ったこと・考えたことの整理のために記事を掲載します。

最近の記事

労働分野で紛争になりやすい問題

労働分野のルールをいくつか書いてきましたが、特に紛争になりやすい分野は解雇と残業代です。 この二つが紛争になりやすいはいくつか考えられますが、次のような理由が思いつきます。 ・お金になりやすいこと 詳しくは後で書きますが、解雇も残業代も労働者にとってはとてもお金になりやすい問題です。解雇が違法の場合は、解雇後も給料が発生します。また、残業代も過去2年分遡れるので、2年分たまった残業代は結構な金額になります。 このため、労働者も使用者も自分の主張が認められないとシャレにならな

    • 有給休暇について

      労働者には有給休暇というものがあります。有給休暇とは、文字どおり、給料ありの休みです。これは労働者の権利として法律が定めたことであり、一定期間続けて勤務をすれば、有給休暇を与えなければなりません。 よく求人広告で「有給制度あり」などの記載がありますが、法律が定めたことなので、有給を取れない会社は日本にはありません。 どれくらい有給休暇を取れるかは、継続勤務の期間によって変わってきます。 6か月間継続勤務をすれば、10日の有給休暇が可能になります。 継続勤務が1年増えるごとに

      • 働く時間の決まり

        仕事の現場においては、業務としてやらなければならないことが次々と変わったりします。 しかし、法律では、そのような現場の状況とは全く関係なく、労働者の労働時間は決まっています。 原則として、  1週間 40時間以内  1日 8時間以内 となっています。 1日8時間以内、1週間40時間以内ですので、1週間のうち5日働けば40時間使い切るので、残り2日は休みとなります。 ただし、休みは最低1日与えれば良いので、月~金が7時間で土曜日5時間(合計40時間)という方法でも良いです。 ま

        • 就業規則と給与

          雇用契約は契約です。 契約である以上、一度決めた内容は勝手に変えられないのが原則です。契約は合意により成立するのと同様、変更も合意によるのが原則となります。 給料その他の雇用条件はまさに雇用契約の内容なので、雇用主が労働者の同意なしに変更することは、本来の契約の考え方からすればできないはずです。 しかし、雇用主は「就業規則」というものを作成することができます(労働者が常時10人以上になると作成義務になります。)。 就業規則は、労働条件を一方的に定めるもので、学校の校則のよう

        労働分野で紛争になりやすい問題

          雇用契約の終わり方

          人を雇うと、雇用主と労働者との間に雇用契約というものが成立します。実際に契約書が作られるかどうかにかかわらず、これは一種の契約が存在することを意味します。 契約というものは、お互いが合意しないと成立することはありません。一方的に誰かとの契約を成立させることはできないのです。しかし、契約が終わる時は、一方的に終わらせることもあります。 雇用契約の終わり方は、簡単に整理すると3パターンあります。 ① 労働者が「退職届」を出して終わる ② 労働者が「退職願」を出し雇用主がそれを

          雇用契約の終わり方

          雇用に関する諸問題

          今回は、労働分野の法律の主なルールを書きます。 労働分野の仕組み( 雇用制度)は、時代の流れに従って変わりますが、労働者の保護という基本的な理念はいつも同じです。労働者の保護は、様々な法律などにより、主に、雇用主の権利や自由を制限(規制)し(つまり雇用主に有利過ぎるやり方は認めない)、反対に労働者に権利を与えるという方法により実施されます。 では、なぜ労働者が守られるのでしょうか。労働者は会社のために一生懸命働いているのだから、守ってあげないと可哀想というイメージはあるか

          雇用に関する諸問題