絢爛たるグランドセーヌ

絢爛たるグランドセーヌ　１ (チャンピオンREDコミックス)

夜寝る前に、ピッコマで無料マンガを
数話読むのがささやかな楽しみのひとつ。
最近ハマっているマンガが
この『絢爛たるグランドセーヌ』。
表紙の通りバレエのお話しで、
近所のお姉さんのバレエの発表会を
見に行った事がきっかけで
バレエを始めた少女と
そのライバルたちの成長物語。
わたし自身はバレエを習ったこともないし、
幼い頃に友人のバレエ発表会を観に行ったり、
大人になってからもプロのバレエ団の
有名な演目の公演を数回観に行ったことが
ある程度で、バレエのことは全く分からない。
けれど、絵や登場人物の所作が美しいのと、
バレエを知らない人でも置いてけぼりにならない
程度に専門知識の解説が充実しているので、
読んでいてもちんぷんかんぷんではないし、
逆にそうだったのか！という発見もある。
何より主人公がとことん前向きなので、
読んでいて楽しい。
日本や世界のトップクラスのダンサーのお話し
なので、当然ライバルがたくさん現れる。
中には初対面でマウントを取ってくる
ライバルもいるが、そんな事をするのが
バカらしくなってしまうくらい主人公が
バレエバカなので、最終的にどんな相手とも
仲良くなってしまう。
主人公はどんな人たちの踊りからも学び、
その人の良いところを貪欲に吸収し、
ライバルたちを心から尊敬している。
そしてどんなに凄い相手であっても
怯むことなく、自分も負けじと精進し
切磋琢磨する。
この主人公の清々しさはバレエに限らず、
どんな世界でも見習うべき処世術でもある。
どんなに冷たくされても相手の本音を
引き出してしまう脅威のコミュ力、
しかしそれが押し付けがましくない。
出来そうでなかなか出来ない匙加減であるが、
本人がバレエという本気で打ち込める何かに
没頭しているが故に、心が充実しているからこそ
なせる技なのだろうと思う。
主人公があまりにトントン拍子に
トップダンサーへの階段を駆け上がるので、
リアルではそんなに甘くはないだろうとも
思いつつ、マンガなのでその展開の早さも
どんどん読み進めてしまう要素ではある。
とにかく何かを純粋に楽しむ気持ちを
思い出させてくれる素敵な作品。