日向坂と逢いましょう
『3年目のデビュー』という映画を観てきた。
私がいま積極的に活動を追っている「日向坂46」というアイドルグループの歴史を追ったドキュメンタリー作品である。改名前からのファン、新規ファン、一般の方いずれも楽しめる作品になっていたのではないかと感じた。
また、あくまでドキュメント作品なのだが要所で挟まる楽曲が非常に引き立っていた。彼女達の歴史の明るい面とは言えない瞬間(メンバー脱退、ストーカー被害、スキャンダル等)も決して隠す事なく、それでも日向坂46というグループがしっかりと前へ進んでいく姿を描いた非常に誠実な作品だった。
以下この記事では、自分が如何にして彼女達のファンになったか、を主題に書いていこうと思うので興味のある方は気休めにでも見てやってほしい。
自分の人生を振り返ってみると、辛い時にアイドル(声優)にハマってしまう癖がある。癒しを求めてしまうのだろうか。
荒れている東北の地元で過ごした中高時代は水樹奈々、震災が起きた大学時代はアイドリング!!!、社会人1年目はWake Up,Girls!、2年前に転職した付近からはわーすた。そして2020年現在はいろいろあって病気離職、療養している。(追記:2022年に社会復帰しました、お世話になりました)
そんな前職在籍中に心を摩耗していた最中、日向坂46はデビューを果たしていた。その時はグループの名前くらいは知っていたが、「けやき坂46」(こっちも名前だけは知ってた)が改名したグループとは知らず、メンバーの名前も誰一人として認知していなかった。
…というより、全くもって興味がなかった。
やや話が逸れるが、私は学生のお遊び程度のレベルでバンドごっこをしていた経験が7年程ある。高校生の時は一応オリジナル曲的なのを作って披露していた。
そんな背景もあり、当時は音楽に対しては浅ましくも一家言を持っていた。”自らが楽曲を作ってない、もしくは歌唱選任でもそれがプロのレベルにない人達を「歌手」「アーティスト」と呼びたくないという持論”だ。
私が高校生の時はAKB全盛期であったが、本当に苦手だった。何十人とも知らない女子達のユニゾン合唱、純粋な楽曲評価ではなく握手券によるCD売上記録の積み重ね、メンバーに順位をつける総選挙制度など…正直音楽を愚弄しているのか、とまで思った(365日の紙飛行機とか、楽曲として好きな曲は何曲かあるけども)。
後に坂道シリーズとして乃木坂46が誕生した際は「あーなんかAKBの亜種ね」、欅坂46が"サイレントマジョリティー"で一世を風靡した際は「なんか大人が書いた大人に支配されるな的な歌詞をアーティストっぽく歌ってる子達ね」位の印象だった。けやき坂46は、「あーなんかジュニアみたいなのがあんのね」程度の認識。
そして何より、このシステムを作り出した秋元康をどうしても好きになれなかった。平たくいうと関連グループ含めた見本的なアンチだ。
話を戻す。
先述の通り、昨年の年末〜今年度初頭に至るまでは精神的に病気の兆候を見せていた。それと重なり、当時お付き合いしていた女性からも別れを告げられた。この子となら結婚とかもありかな、と当時は本気で考えていた。絶望である。
そんな折にYouTubeの荒波を漂っていると「ドレミソラシド」という曲が目に入った。リリースから半年遅れての初聴である。
この時点でも正直、秋元グループにはいまいち好感を抱いていなかった。
ただこの楽曲、サムネイルが清潔感あってオシャレである。
一度再生してみるか…と出来心で再生ボタンを押した。
「何でファだけないねん」「ドレミじゃなくてこれミファソやろ頭おかしなるわ」「やっぱり多人数女子のユニゾンボーカルか」
ただ、なにか違和感含め耳に残る、…もう一度聴いてみよう。そして、この楽曲にいつの間にか少しずつ魅かれていった。
歌詞を咀嚼すると、恋心の揺れ動きをドレミの音階、ファがない理由を婉曲的に表している。バックトラックも単なるアイドルソングかと思いきや、ソカのリズムを取り入れていたり、現代に即した爽やかな音色で計算されているサウンド。PVも清涼感溢れている。水色がフェイバリットカラーの自分にとっては衣装含め清潔感。余計なドラマ仕立て要素もなくシンプルで好感。
そしてセンターの子がクソ可愛い。振り付けも良い。
…あれ?このグループ悪くないのか?
そう思った時、自然とYouTubeで「日向坂46」と検索をかけていた。そして日向坂が「けやき坂46」というグループが改名して新生の坂道グループになったという事実を知った。
公開されている音源を一通り辿った後、YouTubeの再生回数が多い順でソートするとPV以外の動画でメンバーの加藤志帆とオードリー若林がフィーチャーされたものがやたら伸びていた(今はもう消されている)。
公式chではないアップロード動画なので余り褒められたものではない視聴ではあるのだが、この動画を機に「日向坂で会いましょう(略称:ひなあい)」というバラエティ番組があることを認知した。売れっ子芸人のオードリーがMCを務めている、というのもこのタイミングで知った。
話が逸れるが、自分はオードリーという芸人が好きだ。他人を傷つける言葉の応酬ではなく、テンションも騒がしくない、けどシュールに寄りすぎない品のある関東風の笑いが性に合ったのだろう。
わたしは今20代後半で、中学時代にM-1グランプリでの敗者復活をリアルタイムで観て刺さった世代である。当時は第一次オードリーブームで、TVに引っ張りだこでよく観かけた記憶がある。
ただ、高校進学しバンドにのめり込んだり、いわゆる雛壇バラエティのノリが苦手になってしまったりでテレビを見る機会は減ってしまっていた。
そして前述の通り、震災時自分は宮城に居た。
受けた被害は微々たるものではあるが被災者のカテゴリーには入る。被災後1カ月程自宅待機を余儀なくされていたが、ほどなくしてライフラインが復旧したタイミングにおいて、暇つぶしにもともと好きだったバカリズムの動画を見漁っていた。
そしてこれも決して褒められた視聴方法ではないが、そこからアイドリング!!!というバラエティ番組があることを認知し、恐らくYouTubeにある動画の殆どを見漁った。自分(当時18歳)と変わらないくらいの女子達が本気でぶつかってバラエティを作り上げている姿に大笑いし、感動した。やがてグループ自体にも興味を持ち、CD・DVD等彼女達にお金を費やす価値があると感じた。
アイドル・そしてアイドルバラエティも捨てたものではないと思った。
その後も、上記の通り人生において随所でプライベートで荒んだ際アイドルバラエティで癒されていた時期があった。そういった意味で、日向坂を知った当時はベストタイミングで明るい癒しに飢えていたのかもしれない。
閑話休題。
昨年末付近より、自宅と職場の往復に加え日向坂関連の番組を見漁るという日課が増えていた。入口は前述の加藤志帆と若林の動画だった。
「かとし」とか言う子、見た目ギャルっぽいなと思いきや喋り方がへにょへにょして超可愛い。そして若林へのアピールが健気。
「こさかな」と言う子は件のドレミソングのセンターらしい。多くの楽曲でセンターをやっているが、どうやら二期生の後輩組らしい。センターというからには番組でも目立つタイプなのかと思いきや、控えめで読書家らしい。
「上村ひなの」は最年少ながら、ひなあいのBBQや若林贔屓企画でそこらのタレント顔負けの天才発想を持っている。でも歳相応に幼い。一方でソロ曲では今風のサウンドに良い意味で危うさと儚さを合わせ持ったパフォーマンスを披露している。
「齊藤京子」はひたすら歌がうまい。秋元アイドルは歌えないという先入観をひっくり返してくれた。
「花ちゃんズ」とかいう2人はギターの弾き語りが出来て2人の楽曲もあるらしい。音楽面でも期待できる。
「丹生ちゃん」はオードリー春日との妄想シチュエーションでとんでもない可愛さを見せていた。沼が深そうである。
「柿崎・宮田」はぶりっこ2トップらしい。その様子を見たら文句のつけようのないあざとさだ。アイドルがあざとくて何が悪い。女子があざとくて何が悪い。
挙げていくだけでもキリがないくらい、メンバーの名前と特徴を覚えていった。完全に「日向坂で会いましょう」という番組の虜になってしまい、同時にメンバー1人1人も好きになっていった。企画に対して常に全力を見せる姿、要所で締める礼儀正しさと品の良さ。
まさに、こんなに好きになるなんて思っていなかった。
その後、ユニゾンエアーというアプリゲームをダウンロードしプレイすることによって、楽曲の良さにも徐々に気付いていった。既発CDを全部集めた。
中でも特に好きになった楽曲は「君に話しておきたいこと」という曲だ。
けやき坂46時代の曲である。
ミディアムテンポの曲で決して派手な曲ではないが、サビこそユニゾンであるがA、Bメロはメンバー個々の歌唱がある。そして単純にメロディが良い。ハロプロでいう『I WISH』の香りも感じる。
しかしこの楽曲、如何せん時期が悪く、改名前の発売ということもありアルバムには未収録である。「ハッピーオーラ」もそうだが、こんな良い曲が世に出ないのは勿体ない。1stアルバムへの収録を期待。
日向坂を好きになった理由。
それは紛れもなくひなあいで、メンバーとオードリーの2人が全力で良いバラエティを作り上げようとしているその姿勢である。だけど品もある。決して不快にならないラインを絶妙に突いている。グループとしても初めから成功が約束されていた訳ではない。勿論坂道グループというのもあり、そこらの有象無象のアイドルと比べたらまた話は違ってくるのだが。しかし、ハッピーオーラを貫き通すことで今や東京ドームでのライブの切符を手に入れた。期待されていない状態から、走り出したその結果の功績なのだ。
もう一つ言うと、日向坂は秋元康カラーが他グループに比べ非常に薄い気がする。プロデュース、作詞を他グループ同様に行っているが、基本的には最終的な意思決定と楽曲に関する関わりなのかもしれない。彼の存在が薄まっているように思うこの感じが運営の思うツボなのかもしれないが。
こうして自分は日向坂46のまごうことなきファンとなった。
因みに、非常に困るのが「推しは誰?」という質問。
強いて挙げるとするなら、松田好花、宮田愛萌(才女が好き傾向にある)。ただもし長濱ねると柿崎芽美が今も在籍していたら、ここに加わっていた可能性は非常に高い。日向坂を好きになったあと、卒業メンバーだったことを知る。つくづく卒業が悔やまれる。
とにかく今は、日向坂46の22人を応援していくこと、そして来たる9月のアルバム発売を楽しみに待つばかりである。
そしてもし、この記事を見て日向坂46に興味を持ってもらえたなら現在公開中の「3年目のデビュー」という映画を見て欲しい。
もしかしたら貴方も自分のように、このグループに興味が無かった状態から明るい光に包まれた太陽という名の沼に落ちるかもしれないのだから。
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