多分一生転勤のない妻が一生転勤し続ける夫の仕事を考える
私には夫の車と仕事には口を出さない。
という自分ルールがある。
何故なら、私は車に乗らないし、私が夫の仕事をやるわけではないから。
ただ、仕事の方は、
働いている会社の社風や仕事内容・価値観があまりにも夫と真逆なので、いくら無駄な争いに時間を割きたくない平和主義な私でも、
『それって必要ある?』
『もっとこうした方が良くない?』
という共働き夫婦家庭に一個は埋まっている
『何も知らないくせに相手の仕事に対して適当なアドバイスをして喧嘩になる地雷』
を踏みそうになる。
特に、国内外問わず発生しうる夫の『転勤』というものに関しては、
日本から海外の仕事をしている私にとっては
不思議な制度ランキングベスト1。
そして少なからず家族として影響をうける。
だからこそ、今日は
自分が一生しないであろう『転勤』というものがどういう場合に必要なのか、夫の会社を理解するためにも自分なりに考えてみることにした。
※今回は医療機関や建設業などその場にいないと仕事が成り立たない職種は除外して述べている。
対人関係による付加価値が大きい仕事
どんな会社も何らかの商品かサービスを提供し、お金を払う『買う側』がいて、
そこから利益を得ているが、
そんな対社外の観点から、
①『商品・サービス』自体に大きな差はつけられないので、売る側の人間力の差が買う側の選択に大きく影響するもの。
② 『商品・サービス』自体に(技術や革新的なサービス内容等で)圧倒的な差をつけられるので、売る側の人間力が買う側の選択に影響をあまり与えないもの。
の2パターンに大まかに分けられると思っている。
※下記、棒の長さは買う側にとっての価値とする。
ここで言うところの人間力とは、
信頼関係や人柄など「この人が勧めるもの/この人が担当して対応してくれるなら安心」
といった対人関係による付加価値を指す。
例えば、
※ビールを飲食店に対して売る場合※
めちゃくちゃ美味しいものとそんなに美味しくないものはあると思うが、各社切磋琢磨して開発したビールは大体全て美味しく、
【美味しいもの同士】
で戦っており、大差がない。
つまり上図①、他社との競争で勝って飲食店に買ってもらうために人間力は比較的重要と考えられる。
※昨今話題のワクチンを病院に売る場合※
こちらは商品に差が出やすく、いくら営業担当のMRが素晴らしい人柄だとしてもワクチン自体の効果や副作用を比較して医師は選ぶわけで、人間力で押し通すのには限界がある②のパターン。しかも、そもそも技術やモノがなければ売ることすら出来ない。
(某ワクチンなどはおそらく新規開拓営業をする必要性さえないだろう)
分かりやすいので、モノで例えてしまったが、
サービスだとしても同様。
つまり、人間力=対人関係の付加価値で買う側からの選択に差がつく場合、
『リモート』+たまの出張しか顔を出さない人
よりも
現地に『転勤』し、対面にて相手の信頼を得た人
の商品・サービスの方が選ばれ、
会社の利益に結びつくので『転勤』は必要だと考える会社もあるのではないだろうか。
リモートワーカーが少数派な会社・業界の環境
次に社内のカルチャー(ソフト面)にフォーカスをしてみる。
コロナ以前より在宅勤務が週3まで可能だった私の会社では、せっかく出勤したのに他参加者が全員在宅勤務なので結局会議室にぽつんと1人会議参加をすることになるという、
シュール現象がよく発生していた。
こうなってくると、出社してその場にいる意義がどんどんなくなっていき、在宅勤務/遠隔勤務がさらにしやすくなるというスパイラルに入る。
逆も然りで、
基本的にほとんど出社している会社や業界の場合、1人だけ遠隔地にいて仕事をするのは難しい、というのはあると思う。
例えば、自分以外が会議室でポストイットにてブレストなんて始めた日にはもう遠隔にいる人間はお手上げだ。
ただ、ここに関しては完全にカルチャーの問題なので、この段階で諦めてほしくないかなと思う。
海外リモートワーカーさえ認めている
在宅勤務先進国な私の会社でも、最初は
会社にいる人vs在宅勤務の人
の壁があり、在宅勤務者を考慮しない会議進行が横行していた。
現在の状態は会社としてそのカルチャーを変える努力をした賜物なのである。
先程の例で言えば、本当に紙のポストイットを使う必要があるのか?ウェブ上で同様のワークを出来るツールを検討したか?など、検討すべきだし、
後でエクセル等に抽出できるので紙でやるより何万倍も便利なツールも実際にある
他にも遠隔だと何が問題なのか、それは果たして乗り越えられないことなのか、検討した上で『転勤』の必要性を考えてもよさそうだ。
個人的には、周囲が何をやっているか様子が分からなかったり、周りにいる人にすぐ聞けないと仕事が進まないので在宅勤務/遠隔勤務は難しいという意見についても、
本当にそうなのか?と疑問を投げかけたい。
私はむしろ在宅勤務の方がチャット等のツールで話しかけやすくなったし、意識的に実施中作業を開示するカルチャーが根付いたのでやりやすいと思ったりするのだが、どうだろうか。
プラットフォームがなく不可能、もしくは不可能と思い込んでいる
プラットフォームというと、会議ツールから始まり、その他会社特有の書類、会議形態やプロセスも含む。
つまり先程のカルチャーに対して今度は社内のハード面に限界がある場合『転勤』をさせざるおえない会社もあるかもしれない。
うちの会社の〇〇支社はFAXしかないし、ツール導入する予算もないのでリモート会議なんて全く無理です!
と言われたら、それは仕方ないですね、必要なら『転勤』せざるおえないですねとなるが、
これだけ全世界同時に在宅勤務が浸透した昨今、チャンスを逃さぬように、
思考停止の決めつけはすべきではない。
先日も世界はここまで来たかと感動した案件を紹介すると、イギリスの学会に日本からリモート参加出来ただけでなく、
参加者同士の交流が出来るようにシャッフルで部屋を分けて話す時間があったり、
学会後の交流会も様々なツールを駆使して【ヨガタイム】や【料理教室】、【脱出ゲーム】までも計画されていたので、
今まで対面でしか実現出来ないと思われていた部分についても色々と工夫して実現出来る世の中に今後なっていくはずだ。
『転勤』のあり方の今後
転勤の一生ないであろう私がどういった場合に転勤せざるおえないのかを考えてみたが、
今後も上記の理由を掲げて完全に『転勤』自体がなくなることはないと思っている。
(現にこのご時世でも夫の会社は元気に転勤者を輩出している模様)
ただし、
「本当にその転勤必要ですか?」と問いかけられる土壌は出来たので、各社費用対効果や社員の働き方の希望も含めて検討が進み、
夫の会社含め、
『本当に必要な転勤』のみが残っていくのではないかと期待している。
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ちなみに、
転勤族の家庭で育った身としては様々な土地に住んで色々な経験をつめた人生は振り返るとなかなか楽しかったので、ライフイベント的に困ることも多々あるが、実は本人や家族にとっても転勤って意外と良いこともあるし、そういうのがなくなるのも寂しいものだな、と
この記事のスタンスと相反することを思う自分もいたりするわけです。
#日経COMEMO #転勤は本当に必要か
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