現実に打ち上がる幻想

「あるゲーム」のネタバレになってしまうかもしれないので、この先を読まれる場合はお気をつけください。もちろん核心は書かないつもりですけれど。

もう二週間も前の話になってしまいますが、全国で一斉に花火が打ち上げられるというイベントがありましたね。疫病の退散を願って、全国の花火師の方々が協力して企画されたというお話だったかと思います。
いちばん最初にその告知を見た時に思ったのです。これは「あるゲーム」とまったく同じシチュエーションだと。

人の密集を避けるために当初は日時が発表されていませんでしたが、後に6月1日の20時と判明。

20時。
なんという符号。

全国各地で花火大会が行われることはあれど、全国で一斉に同時刻に花火が打ち上げられるという話はこれまでに聞いたことがありません。おそらくこれからも無いでしょう。それはゲームだから、架空の話だから可能なのだと思っていた。きっと皆そう思っていたのではないでしょうか。
その「絶対にないと思っていたこと」が、まさかこんな形で実現するなんて。運命というものは時にとんでもないイタズラをするものです。

6月1日の20時。私の目には打ち上がる花火は見えず、街の灯りと夜空が映るばかりだったけど、頭の中にはずっと、「あるゲーム」の、花火とともに流れる美しい音楽が鳴り響いていました。
のちにテレビに流れる映像を見て、本当に全国で打ち上げられたのだと感慨深い気持ちでした。ほんの数分の幻。でもその幻は日本全国の人の目に焼き付いている。なんという儚く、美しい幻想…。

これまでに色々ゲームは遊んだけれど、どうしようもないくらい本気で泣いたゲームは片手の指で数えられるくらいしかありません。「あるゲーム」はそのうちの1本でした。最後の最後に辿り着く、謎の答え。たぶん一生忘れないでしょう。

ネタバレになってしまうかもしれないので、タイトルは最後に書きます。


そのゲームのタイトルは『街』。1998年にセガサターンで発売されたゲームです。20年以上前のゲームですが、今でも遊ぶ価値は十二分にあると思います。
人はきっとひとりでは生きていけない。一瞬すれ違っただけの、二度と会うことは無いかもしれない誰かも、自分の人生という運命には欠かせないピースかもしれない。自分もまた誰かにとってのそんな存在かもしれない。人間の人生はそうやって作られているのかもしれない。
そんなことを考えさせてくれるゲームです。

プレイステーションなどでも発売されていますので、機会があれば是非遊んでみてください。何故私が20時の花火に震えたのか、きっとわかります。
あとですね、雪印のコーヒー牛乳が飲みたくなるかもしれませんよ。私は花火の告知を聞いてからゲームを思い出してうっかり買いに行ってしまいました(笑)。


※過去にゲームの感想を書いてるのでこちらもどうぞ。どうしてもネタバレ気味になるので遊んだことのある方向けです→

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