観客席で描くトレース
2002年2月。ソルトレイクシティーオリンピックを何の気なしに見ていた私は、ある一人の選手の演技に釘付けになった。
その選手の名は、アレクセイ・ヤグディン。ソルトレイクシティーオリンピックのフィギュアスケート競技において、男子シングルの覇者となった人物だった。
それは、私のフィギュアスケートへのイメージを一変する出来事だった。同年に開催された世界選手権のビデオを擦り切れるまで見て、当時は少なかった関連書籍を集めるだけに飽き足らず、どうしてもこの目でヤグディンを見てみたくて、