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#1 公園

私は都会のど真ん中育ちだが、近所に公園は比較的多かった。
都会の公園というのは2タイプある。1つは代々木公園や駒沢公園のように、緑を確保するように広く整備されている公園。もう1つは、四方八方を住宅に囲まれた公園だ。私の家の近くにも1つだけ整備された大きめの公園があったが、大概は住宅街にポツポツと存在する小さな公園で遊んでいた。

そういった公園の名前は、だいたい「○丁目児童公園」などという名前になっている。しかし、実際子どもたちはそのように呼んだりしない。
例えば、記憶にある最も幼い頃遊んでいた公園は「ひこうき公園」と呼んでいた。正式名称は私にもわからない。子どもの頃でさえ広く感じない敷地の広さに、飛行機型のジャングルジムのようなものがあった。
機長の真似をする男の子に、スチュワーデスになって乗せてくれる女の子。私はだいたいただの客。真似事なので、男の子は車の運転をするように激しいアクションをする。ちょっと目線の高いジャングルジムの客席から、「雲が見える」「お家が見える」とはしゃいだ。
ほかにも、何において真ん中なのかわからないけれど「中央公園」、どこからみて南なのかわからないけれど「南公園」などなど。

最も気に入っていた公園は、「ぶた公園」だった。入り口になぜかぶたの置物がある。地域の中では一番小さい公園で、公園と呼ぶべきかわからないほど小さな敷地に、ブランコと滑り台がある。滑り台の下は砂場だ。野良猫の多い地域なので、だいたい猫のトイレといったところだろう。いつ行っても猫がいた。でも猫公園ではない。ぶた公園。

ぶた公園はまわりが4件のアパートや一軒家に囲まれた公園だ。あまりにも狭いので、きっと子どもたちの遊ぶ声は、さぞうるさかったことだろう。でも当時はおかまいなし。
ブランコに立ち乗りをして、JUDY AND MARYの「Hello! Orange Sunshine」を大声で歌った。みんなで校歌を歌いまくった時もある。
駄菓子屋でお菓子を買って、ゴミをポイ捨てする男子をとっちめたこともあった。
傘でブランコのまわりを囲んで秘密基地も作った。
風邪で学校を休んだのに、家をこっそり逃げ出して、パジャマでブランコを漕いだ。
小学校高学年にもなると、公園で告白もした。夜は花火を打ち上げてめちゃくちゃ怒られた。

あんなにも長い間、変わらずブランコと滑り台と猫のトイレになっている砂場しかないのに、ずっと遊んでた。
最近は公園なんてめっきり行ってない。一人暮らしをして、付近に公園があるかさえも知らない。家と会社との行き来では子どもすら見ていなかったかもしれない。

いま公園に行ったら、何するかな。

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