歳をとる
今日、またひとつ「おばあさん」に近づく歳になる。
私はわりと子供の頃から、早くおばあさんになりたいと思ってきた。
自分のおばあちゃんが、すごく素敵で憧れて……というわけでは全然ない。
片方のおばあちゃんは、なんでも強烈にすぎて(言うことも、やることも)、真似したいとは思えないし、片方のおばあちゃんは、私の地続きな世界とはかけ離れていて、憧れるというより、こんな風に歳を重ねる人もいるんだよねえ、私には無理そうだけども、という世間のお手本すぎるような人だった。
なぜ、早く歳をとりたいかというと、早く自分のこと、周りのこと、人のことが分かる、生き字引的な人間になりたかったから。
相談されて、こうしなさい、ああしなさいと誰かにアドバイスしたいわけじゃなくて、世の中の事が分かる人間=おばあさん。という発想だった。
おばあさんになったからと言って、そんな人間になれるとは、限らないんだけど、少なくともそれに近づくには、おばあさんになるのが、一番と思った。
歳をとるのが、怖い、いやだ、劣化だ、とか色々言うけど、シワが増えていくのも、シミが育つのも、こういうもんかぁ。と思うと、結構楽しい。
シワは、笑いジワ。苦労したシワ。
シミは、日の下でよく働いた証。
ここまで生きてきた、自分の存在理由そのもの。
歳をとる。
生き字引的な人間になるには、まだまだ遠いなぁって毎年思うけど、少しは去年より成長してるといいなと、思う誕生日。
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