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スピーチロックと虐待③ ~研修用~

スピーチロックの防止方法

ここまでの説明でも分かる通り、普段の会話の中にも、自然とスピーチロックとなる言葉は入っています。ではこれらの言葉を言わなければいいのかというと、それでは会話が成り立たなくなってしまいます。

ではどうしたら良いのか? 事例で上げたものに着目してみましょう。
「ちょっと待って」「だめ」「何してるの」「座ってて」などは、すべて「なぜ」が不足しているせいで、ただ命令しているだけになっています。

また、「さっきも言った…」「やってあげない」という言葉も適切ではありません。
認知症の中核症状の一つ、記憶障害がある方に対しては、「さっき」という部分を覚えていない(経験していない)ため、ただ否定をしていることになります。
結果“話を聞いてもらえない”“邪険に扱われている”と感じさせてしまい、不穏・立ち上がり・あるき出し・怒り出す・帰宅願望などの、周辺症状を誘発してしまいます。

つまり、スピーチロックを予防する方法は、命令や否定をするのではなく、丁寧な言葉を使い、なぜ?を説明すること、優しく話を聞くこと、本人が納得もしくは妥協する説明を、することが必要です。

普段から丁寧な言葉を使えるようにすることと、TPOに合わせて使い分けるスキルを身につける必要もあります。

このスキルは、一朝一夕で身につくものではありません。自然と使えるようになるためには、ご利用者だけでなく 職員どうしの会話でも、丁寧な言葉づかいと優しい言葉かけができるように心がける必要があります。


丁寧な言葉を使うことによる恩恵は非常に大きく、認知症の周辺症状の軽減や、信頼関係の構築が可能となり、悩みや相談だけでなく、嬉しいこと楽しいことなど、話してきてくれるようにもなります。結果的にスピーチロックの防止策が、認知症の悪化防止・精神面の安定に効果的であり、職員の精神安定にもつながります。

また、優しく話しを聞くということは、傾聴するということです。傾聴とは、相手の話しに耳を傾け、聞く姿勢を見せることにもなります。傾聴することで、本人の訴えの真意を理解し、会話の内容や接し方を見定めましょう。



続く・・・

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