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こころ からだ癒される、至福の忘年会旅行in三重ーおでかけがしたい。⑭ー


旅や散歩にまつわるエッセイ+写真のシリーズ『おでかけがしたい。』第14回。

今回は、三重県にある癒しと食の総合リゾート「アクアイグニス」と伊勢神宮参拝&食べ歩き旅の模様をお送りします。
年始に恐縮ですが、年忘れ気分を思い出しつつお楽しみください。


今年の汚れ、今年のうちに

いつもの旅仲間と名古屋駅で集合。常に人でごった返す待ち合わせの定番「金時計前」でも、友人Rの髪色は一発なので非常に便利だ(現在は金とピンクのグラデーション)。
近鉄に乗り、湯の山温泉駅へ。
乗り換え含め約70分という手頃な移動にも関わらず、駅を出た途端「遠くに来たなあ~」と思わせてくれる山々の絶景が広がっていた。

駅から国道沿いにたった数分。目的地・アクアイグニスは、もっと陸の孤島みたいにポツンと浮いているロケーションかと思っていたが、実際は道の駅くらいの気安い雰囲気。みかんがいっぱい詰まった袋を手におじさんがぶらぶらと歩いている。
とりあえず、腹ごしらえ。イタリアンのお店でお互いのグラスを合わせる。
「2022年もお疲れ様でした」
そう今回は、忘年会旅行なのである。

きのこがどっさりのったおいしいピザを頬張りながら、先ほど電車で中断し「後の楽しみに取っておこう」と温めていた『鴨居玲展』についての感想が止まらないふたり。食後は敷地内を散策し、人気パティシエ・辻口シェフのお店でケーキをぺろりと食べた。

「癒しと食の総合リゾート」がキャッチコピーのアクアイグニスは、敷地の大部分に水面が広がっていて、その揺らめきと、だんだん日が暮れてライトアップされた建物が映りこむ感じが、到着時よりもさらに美しかった。建物の背景には新名神の高速道路が丸見えで、興ざめするかと思いきや、不思議と嫌な感じはない。まわりを囲む山とも相まって不思議な異世界感を醸し出している。

チェックイン後、部屋に荷物を置きひと休みしてから再び出掛けた散策で、夕食前だというのにパン屋に入り(ここも辻口さんのお店)あまりにもキラキラしたパンたちを前に手がつい、トレイとトングを掴んでしまう。
ああ、パン屋さんってどうしてこうも人をワクワクさせるのだろう?
夜食用にしては多すぎる量を買いこみ、戻った和室でごろりと寝転び1時間ほど仮眠した。

今回は、毎度ツアコン担当のRにしては非常にゆったりと、目的地の少ない旅になっている。
こころとからだ、癒しの旅。
夕食はお魚中心の和食コース。とてもやさしい味わいの料理に体はめちゃくちゃ満たされた……のだが、つい私が「今年嫌だった出来事」を話し出してしまったせいで、後半、せっかくの料理を自らの心が半減させてしまった気がして反省する。

おいしいものを食べているとき、暗い話はイカン。2022年最後の学び。

それでもRは嫌なリアクションもせず、
「今年の嫌なことは今日ぜんぶ出して、明日は来年の話をしよう」
と、温泉でもそのままお互いの今年の膿を容赦なく吐き出し合った。
今年の汚れ、今年のうちに。(花王さんのCM)
きれいなこころとからだで明日、お伊勢さんに行こう。

宿の中にある片岡温泉は、かすかに硫黄が香る無色透明な湯で源泉100%かけ流し。入った瞬間から肌がつるつるとしだす、効能が即実感できるすごくいい湯質だった。
風呂上がりにオススメの二の腕マッサージ&ストレッチを教え合う30代後半女たちの夜は更け、布団に入るといつもそこから長話をしてしまうのに、この夜はすぐ眠ってしまった。


ザ・食べ歩く2日目

悪夢で目が覚めた2日目の朝。温泉効果か体もぽかぽかで、寝汗をかいてしまった。
きのう、たくさん愚痴を吐き出した余韻だろうか…。

しかし寝しなに夕方買ったパンを食べるという暴挙をやらかしたにも関わらず、胃の調子は悪くない。そして何より、朝ごはんが最高だった。
今まで食べた旅館の朝食で個人的ナンバーワンかもしれない。ご飯のお供がちょっとずつたくさん並ぶスタイルで、なんと鯛茶漬けまで作れる!きのうに引き続きお魚料理が多くて嬉しい。

朝食後はすぐチェックアウト。湯の山温泉駅から四日市駅までは車両が貸し切り状態だったが、四日市から乗り換えた電車は大学生で満車。立ったまま寝て耐える。
乗り継ぎを経て、伊勢市駅。まずは伊勢神宮の外宮からお参りする。

想像より空いていたので「平日だから、あまり混んでなくて良かった~」と思っていたが、内宮へ移動すると、テレビでおなじみのあの入り口(宇治橋)が人で溢れ返っていた。やはりお伊勢さんである。
しかもなぜか、学生らしき若者グループが特に目立って多かった。鳥居の前で「みんなこっち来てー!一緒にお辞儀するで~」と高らかに叫んだポニーテールの女の子が、一礼のあと元気よく、
「よろしくゥ!」
と横浜銀蝿みたいな挨拶を神様にしていて、なんかすごく可愛かった。
私も昔は神社に革ブーツとかで来ていたけれど、砂利で真っ白になりあとで後悔することを学んでいる今は万能の無印スニーカーである。

参拝のあとはお楽しみの食べ歩き。
「伊勢うどん」を食べたことがないというRの希望で、まずは老舗の人気店へ。いつ見てもこの、つゆの色の濃さと味のやさしさのギャップが不思議な食べ物だなあと思う。ふわふわのうどんがおいしくて、あっというまに食べ終えた。

うどんを食べてお腹いっぱいどころか食欲に火が付いた我々は、次に「プリントースト」と書かれた店に入った。鉄板に、卵液でひたひたになった厚切り食パンが置かれ、ざらめをまぶし、バーナーでじっくりと焼き目がつけられていく。目の前で繰り広げられる悪魔的作業工程。

しかも出来上がりの皿にはソフトクリームと生クリームがダブルで添えられていた。まさに背徳の極みである。
店先で立ったまま、前世がパンとは思えない程ぷるぷる食感のプリントーストをえもいわれぬ表情で頬張る私とRは
「ねえあれ、めっちゃおいしそうじゃない?!」
と道行く人々の視線を釘付けにし、食べ終える頃振り返ると、長い行列が出来ていた。
まだまだ止まらない私たちはみたらし団子の列に並び、はちみつ店ではおじさんに勧められるまま蜜源の違うはちみつをいくつも試食し、実のところお腹はまだぜんぜん余裕だったけれど、次の目的地への時間が迫っていたので、後ろ髪をひかれつつおかげ横丁とおはらい町を出た。

このあと、鳥羽水族館に行くためにいちど五十鈴川駅に出ようとタクシーを待った。すると、目の前で信号待ちをしていたバスになんと「鳥羽水族館行」と書いてあるではないか!
信号が青になる前に走ってバス停に先回りし、ちょうど乗れた。すごいラッキー。
ふたりで座席に落ち着くと、安心して、終点まで眠りこけてしまった。


2日間の三重旅行。残りの滞在時間は約2時間。
ここに来て私のテンションは、予想だにしない急上昇でピークを迎えることとなる。

(来週につづく)





今週もお読みいただきありがとうございました。
年末に行った三重の旅、充実しすぎて来週に続きます。

◆次回予告◆
「おでかけがしたい。⑮」ジュゴンに会いに。鳥羽水族館ズ・ハイ。

それではまた、次の月曜に。



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