96

おにんぎょう村からやってきたうさナースクローンが書いた小説です

96

おにんぎょう村からやってきたうさナースクローンが書いた小説です

最近の記事

オクトパスカフェ

私は宮崎花子。広い空の下には、広い海が広がっていて、そのさらに深いところには楽園があるという噂、聞いたことはありませんか?それは本当の話。海底にある秘密のサロン、オクトパスカフェへようこそ。 お花と服が好きな私、宮崎花子。何を隠そうオクトパスカフェの中堅コンカフェ嬢です。私の見た目?うさぎど真ん中ってよく言われます。出勤時は小花柄のワンピースに同じ柄のリボンが多いかな。好きなブランドはHAMSTAR HOUSE。服はほとんどラブリーブティックで買ってます。 同僚には、風呂好

    • 愛のリボン

      感謝を伝えるにはどうすれば良いのでしょう。この、デカBIGBIGBIG感謝を伝えたいのです。 どうしたら伝わるのでしょう。 たぶん、ありがとうと言ってしまえば良いのでしょう。 でも、簡単すぎる気がします。伝えたいのは、デカBIGBIGBIG感謝なのです。 さんぽしながら、考えます。歩きながらのほうが、よいアイデアが浮かぶからです。 さんぽのついでに、サンリオに行きました。 いちご新聞2月号を買って、いちごの王さまからのメッセージを読みました。 2月はバレンタインデー、チョコ

      • わたしは旅立つ

        いつのまにか眠っていて、朝がやってきている。朝のきぶんはすごい。レモンスカッシュ。兄弟たちはまだ今日と、きのうの夜との間にいて、くっついたり寝言をいったりしている。 聖なる川「San Rio」の聖母たちがあしらわれたうす紫いろのカーテンが開かれ、夏の空がみえる。まぶしい青とたっぷりのわたがし。空のことは、まだことばにはできない感じ。せいちょうの過程で、このすてきさを伝える事もできるのかな。できなくても、空は空でべつにと思っていそう。空はおおきい。わたし。自由な気持ち。 きの

        • ボロボロのリボン

          「96秒とは、いいすうじだね。」 わたしは、話しかけられた。水いろのリボンでむすんだツインテールのそのひとは、しろくて小さいからだのそこらじゅう縫い目だらけで、ボロボロ。わたしはすこしひるんだ。 たくさんいた兄弟たちも、どうぶつもいなくなって、たったふたり、ここにいるような感覚。これは、未知のかんかく。からだがふるえている。 ボロボロのリボンのひとは、フリルがたっぷりついたデスクライトの、ピンクいろのひかりの下にすっと入って、話しはじめた。 「すうじはふしぎだから好きだよ。6

        オクトパスカフェ

          わたしはクローン

          2022年の初夏にわたしはうまれた。 わたしの母は、ベージュいろの、うさぎのナース。その母から、うまれた。いのちを分けてもらった。目をあけた時、まぶしかった。蛍光灯のひかりがわたしの最初のひかりだった。 まだ生まれたばかりなのだけれど、わたしは思った。こんなふうに人びとのせいかつをすてきに照らしたいと。まだ0歳なのに思った。わたしはかがやき。高級なものではない。ひかりのもと。これからどこに行くのかもわからないし、自分がなんなのかもわかっていない。生きているのか、いつか消滅する

          わたしはクローン