JPモルガン・チェース決算発表(2023年10~12月期、2023年通期):金利収入増が牽引、2023年は過去最高益
JPモルガン・チェース(JPM)は、世界トップクラスの総合金融サービス会社で、投資銀行、商業銀行、証券取引、資産運用、プライベート・バンキングなど多岐にわたる金融サービスを提供しています。
2000年にJPモルガンとチェース・マンハッタンが合併して誕生しました。その後も、2004年にはバンク・ワンを、また2008年には経営破たんしたベア・スターンズを救済合併するなど、買収を重ね、事業を拡大しています。
直近では、2023年5月に経営破たんしてFDIC(米連邦預金保険公社)の公的管理下に置かれたファースト・リパブリック銀行を買収しています
現在は世界60カ国以上で、「JPモルガン」ブランドで投資銀行や証券業務、資産管理、プライベート・バンキングなどの事業を、「チェース銀行」で預金やクレジットカード、各種ローンなどの商業銀行業務を展開しています。
2023年12月末時点の総資産は3兆8983億㌦、運用資産残高は3兆1860億㌦となっています。
四半期決算概要
JPMは1月12日に、2023年10~12月期の四半期決算と、2023年通期決算を発表しました。
まずは、2023年10~12月期の四半期決算の概要です。
金利収入増が増収牽引も、予想下回る
一般事業会社の売上高に相当する営業収益は385億7400万㌦で、前年の同じ時期と比べ11.7%増加(ファースト・リパブリック分を除くと7%増)しました。事前のアナリストの予測平均値(Yahoo Finance)が397億8000万㌦でしたので、予想を下回ったことになります。
アセットマネジメント関連の収入が前年同期比15.3%増、預貸関連の手数料が16.4%増と続伸し、投資銀行手数料も15.3%増と復調を見せてきた一方、債券やクレジットなどの取引収入が16.0%減少したことから、非金利収入全体では1.2%増と小幅な増加にとどまりました。
一方の純金利収入(NII)は、引き続き利上げの恩恵を受けていることに加え、ファースト・リパブリック銀行買収の効果もあり、前年同期比19.1%増(金額では38.6億㌦の増加、ファースト・リパブリック分を除くと11%増)となりました。10~12月期は追加の利上げは行われず、むしろ利下げ期待の高まりから長期金利が下落を示したこともあって増加幅は縮小しましたが、それでも大幅な増加は続き、営業収益を押し上げました。
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