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#13 中学2年の夏、動物病院での職場体験で学んだこと

僕らが小中学生の頃はちょうどキャリア教育が浸透し始めた時期で、中学生の時には「職場体験」なるものがほぼ全国で実施されていました。

学校が提携する地域の公共施設や小売店などに数日間お世話になり、仕事とはどんなものか?を身をもって学んでいくプログラムで、僕にとっては今でも忘れられない思い出になっています。

お世話になる職場は生徒それぞれの希望によって決めるわけですが、僕が選んだのは地元の小さな動物病院でした。

他の候補としてあったコンビニや飲食店などは、生活に馴染みがあって人気が高かったのですが(特に飲食は昼にまかないが頂ける嬉しいおまけもあった)、
仕事内容は中学生の僕でも何となく想像できますし、高校生になればバイトでも経験できそうなので選択肢からは除外していました。

獣医という仕事には興味はなかったものの、動物病院の裏側ってどうなっているんだろう?この機会を逃すと一生見られないかもしれない!という単なる未知への興味があり、動物病院を希望しました。
人気が無かったので希望はすんなり通りました。笑

仕事の内容は、病院の掃除に始まり、お預かりしているペットの散歩や餌やり、診察や治療の見学、時にはオペのお手伝い(猫の避妊手術に同席しました)など、一通りを見学・経験させていただけました。今思い出しても本当に貴重な経験でありがたい限りです。

若干13歳、終日働くという経験は人生で初めての経験でした。体力には自信があったものの、仕事の疲れは部活動とは訳が違い疲れ果てていました。
昼休みに爆睡かまして起きたら休憩終了1時間過ぎてたなんて日も。。

「働くってこんなに疲れるんだ、、」「でも自分がしたことが誰かのためになるってなんか楽しいかも」というのが率直な感想でした。

最終日には院長である獣医さんへインタビューをさせていただきました。
特に獣医という職には興味はなかった僕でしたが、学校からの宿題なので一応形だけでもということで、事前に用意していた何点かの質問を獣医さんにさせていただきました。

その中で今でも印象に残っているのが、
「獣医になるにあたって今のうちにしておいた方がいいことはなんですか?」という質問をしたときでした。(獣医になる気などさらさら無かったので本当に形だけの質問だったなあと思います。。大変失礼しました。)

理系職なので、「理科や数学だけはちゃんとやっといた方がいい」だとか、「動物を飼ってみるといい」みたいな返事が来るんかな〜と思っていたですが、獣医さんの回答は想像の斜め上をいくものでした。

獣医になるために中学生のうちから特別にやるべきことは何もありません。ただ、学校の勉強だったり、部活だったりなど、今きみたちの目の前にある課題に一生懸命になれる力は、たとえ獣医という道を選ばなくても必ず必要になる。
だから、将来のことよりも、まずはなんでもいいから目の前のことに集中して、いい結果を出せるような人になるのが夢を叶える一番の近道だと思うよ。

という、非常に素敵な回答をいただきました。
専門職と呼ばれる人は、小さい頃からコツコツその職業を目指すものだと思っていたので、意外さを感じたのですが、
それ以上に、現場の一線で働く仕事人からの意見は、それまで出会ってきたどんな大人よりも血が通っていて、強い説得力がありました。

それからというもの、何かと先が見えずに悩んだときは、無意識にこの言葉を思い出し自分を鼓舞するようになり、長い歳月を重ねて僕自身の価値観を作り上げていきました。
動物病院には一度直接お礼を申し上げたいくらいです。

スティーブ・ジョブズのコネクティングザドッツという言葉もあるように、学んだことが具体的にどこでどう役に立つのかなんて、渦中の自分には分かりようがありません。

目の前の課題に自分なりに勝手に意味を見出し、馬力をかけて取り組むことが将来的に自分を助けることは、間違いない事実です。

辛いときこそ、このシンプルな事実を見落とさないよう、気をつけていきたいものです。

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