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夢日記 14日目

二十歳を迎えることが出来なかった友人が
夢の中まで会いに来た。

いつでも会えると思ってたから
あんまり遊びに誘うなんてこともなくて
駅やなんやでバタッと会えば
日を跨ぐまで馬鹿話をするのが面白かったな
無茶苦茶なボケをしてるのを見て
悔しかったし羨ましかったよ

意外に気の利く奴で
俺が色々あった時は喫茶店で奢るからって
二人で無理に煙草をふかしたりなんかしてサァ
楽しかったよな、笑いのセンスがあるよお前は

死ぬなよォ、阿呆たれ
どうして死んだかなんて親御さんに
聞けるような図太い奴じゃないヨォ、俺は。
お前は知ってんだろォ、
俺が本当は気のちっちゃな奴だってことくらい

お前の家に行くたんびに歳食ったなって
悲しくなるよ、お前の写真は若いんだもん。
おぼこいお前と歳を取りたかったよ。
泣いちゃうよまったく

夢の中で何も喋んねえのはなんだありゃ。
そのくせ、やたら桃のタルトを
食べたそうにしてて、やんなっちゃうよ。
お盆にでも持って行ってやるから
食べたいから奢ってくださいって
白装束着て土下座でもしてボケりゃいいのに
そんなにくだらねえのかあの世はヨォ

コンビニで何か買った時にお前が俺に向かって
お前、ちゃんとありがとうございますって
言うのえらいよな、良いところやな
とか言うからサァ、
まあそれだけはお前のおかげでしっかり
今も変わらずにやれてるよ
見られてる気がするんだもんナ

やましいことしてる時も
なんだかお前に見られてて、俺が死んだら
向こうでイジられるんじゃないかと思うと
楽しむもんも楽しめないよ、困るよほんとに
そのせいで妙に死ぬのが恥ずかしくなって
死ぬに死ねないよ。

今度はちゃんと合法的にお酒とか飲みてえな
知らないおじさんに声掛けて
頭下げて煙草買ってきてもらう
とかもうやめようなアレ。

まあ、次は
盆に桃のタルト買って俺が会いに行くよ
おもしろく過ごせよ毎日あの世で

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