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住まいの売買を「旅の記憶」のような楽しさに。 ウルカモのデザインの裏側と、目指したい体験の話。

はじめに

こんにちは。ウルカモ、そしてカウカモを運営する株式会社ツクルバのデザイナーの光井です。新サービス「ウルカモ」のローンチを数日前に控えたとある夜に、このnoteを書いています。

ウルカモは、MVP(Minimum Viable Product)として構想から4ヶ月でスピードローンチしたサービス。すごく濃密で長かった・・・そして作る時間はとてつもなく短かった・・・。その中でデザインが何をして、そして何を諦めたのか。すこしご紹介したいと思います。

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住まいの売買を「旅の記憶」のように思い出す。

私事ですが、昨年、人生ではじめて家を買いました。
そしてこの住まいの売主さんとは、契約と決済の二度だけお会いしました。

穏やかなおばあちゃんで、付き添いの娘さんとともにいらして、このマンションが新築のときから暮らしていたことなど、いくつか住まいの思い出話をしてくれました。

娘さんが生まれたころから住んでいたこと、夏になるとお囃子の音が聞こえること、すぐそばのお惣菜屋さんがおいしいこと。

ふと、それを思い出すとき、旅みたいだなあと思う。
家という大きな買い物の過程で、その一瞬すれ違った人との短い思い出がある。旅の記憶のように思い出す、そんな購入体験だったな。(ちなみにお惣菜屋さんはたいへん贔屓にしています。)

住まいの売買は通常、不動産会社の介在からプロセスが始まりますが、ウルカモは、住まいをお持ちの方が住まいを投稿し、お探しの方の購入意向とマッチングする新しいサービスです。

家を買う・売るというライフイベントは、今よりもっと「旅の記憶」みたいに、人と人との短い思い出とともにあるものになるかもしれない。
ウルカモをデザインしながら、自分の購入体験を思い出し、そんなことを考えました。

デザインスプリントでなにを作るか。粗くてもまずは具現化するということ。

話をウルカモに戻すと・・・
ウルカモのサービス開発は、デザインスプリントというフレームワークから始まりました。

デザインスプリントの詳しい説明については、☝🏻の記事にお任せするとして… いちデザイナーである私が、デザインスプリントの期間中に意識したことをあげてみます。

議論から離れて、メンバーのことばを観察する

デザインスプリントでは、一日目に多角的な「情報収集」・二日目にアイディアの「発散」。

そして三日目に、アイディアを「決定」し、以降は試作として具現化する準備に入ります。
午前に採用案が決定し、午後はサービスモデルやコンセプトの議論へと移りました。

私はデザインの作業そのものは割とスピード出せるものの、アウトプットするまでの思索が長いタイプです。しかしながらこのデザインスプリントでは、翌日、約4時間で押さえるところを押さえたプロトタイプを作らないといけない。

「今日の午後以降は、議論に参加しないほうがいいな」

スピード感を持ってアウトプットの筋道を立てるには、方向性・与件・イメージを組み立てるための情報収集が必要。午後からは議論には参加せず、メンバーをすこし離れた場所から観察することに決めました。観察している間は、このあと最速でデザインを進めるために、Figmaの作業環境や最低限のデザインアセットの準備を同時並行しました。(デザインスプリント、熟考型にはつらいスピード感。)

結論だけでなく、議論の「経過」を知ることがコレ重要で、

  • 各領域から見たサービスの力点

  • 固い与件と柔らかい与件

  • サービスの想いの乗っている部分 

等々、発せられた言葉の強弱やその流れから、与件の濃淡が見えてきました。また、議論の合間に、唐突に質問を投げかけることで、第三者的な視点をもたらせたり、今後引っかかりそうなポイントを見つけておくことができます(収集)。そしてこの間に、すこしずつ落書きのようにプロトタイプの輪郭を粗く描き始めました(発散)。

・・・考えてみれば、これ、デザインスプリントの五日間と通ずるものがあります。発散と決定の前に、まずは収集。チームでのデザインスプリントの中で、デザイナー個人としてデザインスプリントをまわしている。

観察者側にまわり、情報のインプットに集中すること。私にとってはこれがうまく機能しました。

折り返しのこの日に、ドーナツをダズンで(強調)デリバリー(大事)。甘くて可愛くて大きなボックスは、チームに活気が、脳に糖分が戻ります🍩

コンセプトで共感を知り、プロトタイプでハードルを知る

四日目の「試作」の日。最終日のユーザーインタビューに備えて、「コンセプトシート」と「サービスページのプロトタイプ」を作ることにしました。

「そもそも、この時点でプロトタイプまでいるの?しかも、機能プロダクトじゃなくてサービスページの。」

と思われる方もいるかもしれません。
まずはコンセプトシートやサービス概念図をもとに、マーケットフィットをチェックするのではと。

ただ、ここで、粗くてもサービスページのプロトタイプを作ることは重要でした、とちょっとだけ声を大きくして言いたいと思います。

例えば、とあるサービスのコンセプトステートメントを見るとします。
「どう感じるか」、いわばサービスという「他者」に対する感情や印象を持ちます。ここでサービスと私は、物語を読むように一方通行の「接点」を持った状態。

一方で、プロトタイプを見るときはどうでしょうか。
「選ぶのか・使うのか」、サービスを「利用する自己」の姿が投影され自分ごと化される。より「関係のあるもの」としてのシミュレーションになる。
ここでサービスと私の間は、疑似体験みたいに「関与」することをイメージしやすくなる。

カウカモのブランドパーソナリティも、同様の考え方で設計しています

コンセプトでは直感や共感、プロトタイプでは意思や行動変容の阻害要因の正体の発見。その双方のインサイトが得られるインタビュー構成です。

そして最終日。ユーザーインタビューで実際にアイディアを「検証」。
すこし恥ずかしいですが、その際に使用したワイヤーフレームもチラッと・・・

プロジェクト初期のサービスページのプロトタイプより

インタビューで興味深かったことは、コンセプトステートやサービス概念図ではリラックスしてポジティブな反応だったのに対し、プロトタイプを眺めるときの被験者は、しっかりと読み込み、考え込むような様子でインタビュアーに懸念やサービスの具体について問いかけていたこと。

「関与」するという思考モードに入ると、疑問が出てくる。

この段階で「サービス利用時に感じるであろう不安・心理ハードルになるポイント」が浮き彫りになり、その後のデザイン工程の判断材料になりました。そしてコンセプトとサービスの埋めるべきギャップが表面化し、職域に限らない共通認識となったことは、その後のサービス開発においても重要な示唆でした。

共感をすることと、サービスを利用することとは必ずしもイコールではない。UXピラミッドにも通ずるものですが、底辺だけでも頂点だけでも成立しない。その検証ができた有意義なインタビューになりました。

プロトタイプを作ることには、全員の脳内が具現化され一体感が生まれるという利点もあります👯‍♀️ チームメンバー「最初のプロトタイプが始まりであり、何を作るかが全員の共通見解、イメージの合致になった瞬間が、ウルカモが生まれた瞬間だと思う。」

デザインの力点を決める。「統制」せず「拡張」を前提とする最小限単位で。

デザインスプリントの五日間を終え、本格的にサービス開発に入りました。

今回はMVP(Minimum Viable Product)として、まずはミニマムな機能で世に届けることを目指すことにしたウルカモ。当然ながら、デザイン・開発期間も通常と比較して短いものでした。要件定義・デザインはマルチタスクでおおよそ3週間・開発実装は2ヶ月程度。

作り手としては、普段のプロダクト開発以上に、「こだわること」と「諦めること」が必要になりました。その上で、今回の3週間のデザイン期間では、デザインを以下の方針で進めることにしました。

ウルカモのワイヤーフレーム。
プロトタイプ化し、事業企画・マーケ・オペレーション・リーガルと仕様を確認しました。

力点を決めること
まずは、全体のサイト構成とオブジェクトをざっくりと整理することからはじめました。
今回のサービスには様々な機能がありますが、おおまかには「物件情報の閲覧」「投稿」「住まい管理」「写真査定」「リアクション」「売却申し込み」がありました。
その上で、MVPにおいては「投稿〜住まい管理を合理的かつ楽しい体験にする」、そのフローに最も検討・設計の時間を割きました。
これは、一般的な査定・売却検討プロセスを、より楽しく・合理的・現代的なものにアップデートする、というサービスのコアコンセプトにおいて大きな部分を占めるから。このフロー部分については、事業責任者とも詳細仕様を確認し、それ以外の画面については基本的にPdMとデザイナーで意思決定。都度のデザイン確認は実施せず裁量を持って開発するフローで進めました。

欲張らないこと
ありがちな話ですが、プロダクトの解像度があがると事業としての「欲」が出ます。プロダクトに対し、すべてのユーザー行動、CV経路を網羅的にカバーするリクエストがチームから生まれはじめます。
しかし、立ち上げサービスにおいては、細い未舗装の道をたくさん作るよりも、太い一本の道をしっかりと整備することが大事。特にウルカモのような既存の不動産サービスにはないサービス体験の場合は、複雑化することはサービスコンセプトやベネフィットの理解を難しくするリスクがありました(あと、MVPだし)。
サービスとして・事業としてのゴールを1点にしぼる。フロー分岐をシンプルにする。議論の中で遠心力にさらわれないよう、この点を体験・デザイン設計の軸として持つことにしました。

コンポーネント集の一部

デザインシステムは構築しない
カウカモ」のプロダクトは、立ち上げから構築フェーズに入り、サービスモデルが一定型化しているため、ブランドパーソナリティ・デザインプリンシプル・オブジェクト定義・体験方針などを包括したデザインシステムの構築を進めています。
でも、「ウルカモ」のような事業フェーズとローンチスケジュールの場合は労働対効果が見合いません。
ページの設計パターンもできるだけ削る(それでも思っていたよりは増えてしまいましたが・・・)。最低限のUIコンポーネント集で、さらにローンチ後に改修・拡充していく前提で、作業効率と改修の柔軟性にフォーカスする形で、インターフェースのデザインを進めました。

デザイン画面の一覧

現在はリモートワークがメインですが、特に細かな調整が溜まっている頃合いでは最少人数で集まりました。作業しながら「ねえ、ここって・・・」とその場で解消できる日を作ることが、スピードを要する開発には必要かも。

不動産サービスに、ソーシャルな高揚感を。インターフェースデザインのコンセプト。

サービス提供者ではなく「使う人」が主役の不動産サービス。

現在「カウカモ」のプロダクトはデザインシステムを構築中で、メイン・アクセントカラーを「グリーン」「チェリー」「チャコール」と定めています。ウルカモは、そのカウカモのデザインシステムをベースにカラー設計をしています。
デザインシステム設計時に、購入/売却で同じカラーパレットを、異なるパランスで組み立てるという構想があり、今回採用した形です。

姉妹サービスである「カウカモ」は、暮らしやライフスタイリング、提供するサービスの暖かさを彷彿させる「グリーン」がキーカラーなのに対し、「ウルカモ」ではユーザーの参加やマッチングの心の色めきを印象づける「チェリー」をアクセントに。

カラーパレット

その上で、特に売却サービスカラーとさだめている「チャコール」の無彩色で、落ち着きとキリリと締まった印象づくりを意識しています。高額商材、そして売却という経済的価値も重要なサービスとしての「信頼感」の味付けと、「カジュアルになりすぎない」ことの実現を目指しました。

チャコールというシックな色を使用する場合は、背景色とのメリハリが要でした。初期デザインで淡い背景色を使ってみたところ、なんだか途端に「toBサービス」のような印象になりました。

Product Design
Hiroyuki Shibata, Eiko Mitsui (TSUKURUBA Inc.)
Illustration
Yuta Mihira (and Supply Inc.) , Ayumu Kurashima (and Supply Inc.)

おわりに

とあるアニメ作品に、こんなセリフがありました。
「終わるとか完成するとかではなく、魂をこめた妥協と諦めの結石が出る」。

わかる。いろんな制約の中で、「選ぶ」こと、逆を言えば「諦める」こと。そして、プロダクトはそれを繰り返しながら、進歩できる。

MVPとして、短期間でウルカモをデザインするにあたり、「魂を込めた妥協と諦め」もありました。
これからは、その結石も集め、サービスは改善と進歩の季節へと入っていきます。実用的な機能や有意義なサービス設計はもちろんのこと、細部のデザインのブラッシュアップや気持ちの良い体験や高揚感も。

そんな新しい不動産売買体験を、試行錯誤しながら一緒に作ってくれるデザイナーを募集しています(宣伝)。

生まれたてのウルカモを、どうぞよろしくお願いします。
より手軽で、信頼できて、楽しく、新しい不動産体験のできるサービスとして育つよう、これからもアップデートしていきます。

そしていつか、旅の記憶のような住まいの売買の思い出を作れる助けになれたら、嬉しく思います。

ツクルバでは新サービス「ウルカモ」はもちろん、「cowcamo(カウカモ)」をはじめとしたやがて文化になるサービスをともにつくっていく仲間を募集中です。
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