魔女の幻想とフォトコラージュ
『岡上淑子 フォトコラージュ 沈黙の奇跡』(東京都庭園美術館)に行ってきた。
コラージュ(仏: 英: collage)とは現代絵画の技法の1つで、フランス語の「糊付け」を意味する言葉である。
通常の描画法によってではなく、ありとあらゆる性質とロジックのばらばらの素材(新聞の切り抜き、壁紙、書類、雑多な物体など)を組み合わせることで、例えば壁画のような造形作品を構成する芸術的な創作技法である。作品としての統一性は漸進的な並置を通して形成される。コラージュは絵画と彫刻の境界を消滅させることを可能にした。
コラージュ - Wikipediaより
岡上淑子氏は写真を素材としたフォトコラージュで、シュルレアリスム的な作品を数多く制作している。
私がこの展覧会を知ったのは偶然である。
あるとき何気なくNHKの日曜美術館をみたとき、岡上淑子を特集していた。
「魔女だ」
作品をみたとき、私はそう思った。
ここで言う魔女は、伝統的なソレとは違う。
「魔法少女まどか☆マギカ」というアニメ作品がある。
可愛いキャラクターとタイトルとは裏腹に、中々えげつない設定・展開で話題になったアレである。
そこに出てくる魔女のイメージと被ったのだ。
まどマギの魔女もまた、コラージュだった。
つぎはぎの不気味。
それが個人的にはツボで、まどマギの魔女のデザインは気に入っている。
岡上淑子の作品はどことなくそれに似ていた(熱烈なファンは怒るかもしれないけども)。
だからこそ惹かれたのである。
岡上淑子の作品はシュルレアリスム、超現実に分類される。
画家だと、ダリやマグリットが有名だろう。
ダリの描く世界は「夢」だった。
奇妙に柔らかかったり、明るい一方で不安になるような、入り乱れた不可思議な世界、といった印象がある。
マグリットはある種の静けさの中に、不思議を感じる作品が多い印象。
特に「ピレネーの城」はお気に入りの一つだ。
晴れた海辺。開けた空間の中で、圧倒的な存在感と重量感を示す、異質な岩の城。
ありそうでなさそうな世界。それを覗けるのがマグリットだと個人的には思っている。
岡上淑子の作品はどうだろうか。
私が岡上淑子の作品で気に入ったのは、『彷徨』と『夜間訪問』。
それらを基準に私が抱いた印象は、
”幻想”
モノクロで描かれた異国の情景。
そこに登場するドレスアップした女性。
しかし頭は人のそれではない。
異形の頭。しかし、彼女たちはまさにそれが自然であり、自分たちはこうした存在なのだ、と言わんばかりで、鑑賞者も「そうか」と納得してしまうほどに馴染んでいる。
違和感や、不気味さも織り交ぜながらも、そこには上品で優雅な、女性としての美があった。
それはまさに「幻想」という言葉のイメージとぴったりだと感じている。
もちろん他にも色々な作品がある。ひとくくりにすることは難しい。
特に戦後だったこともあり、戦争をテーマとしたものも多い。また、その時代を生き抜いた一人の女性として、メッセージ性の強いものも多く感じた。
その上で、私の好みの作品から独断と偏見で形成した印象が、幻想である。
コラージュによる、モノクロの幻想。
味わい深い時間を過ごせた。
以上。
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